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ツツジ科

アセビの花にはどんな毒がある?【獣医師解説】

アセビ(馬酔木)




アセビはツツジ科の植物です。
ツツジ科の植物は毒がないものがほとんどです。

ジャノメエリカ

たとえばジャノメエリカはツツジ科の植物ですが
毒はありません。
ジャノメエリカの花言葉と由来
ジャノメエリカの花の特徴は?

ブルーベリー

他にもブルーベリーもツツジ科の植物です。
ブルーベリーに毒があるわけないですよね。
いろんな人が食べているわけですから。
ブルーベリーの花が咲かない原因7選

こんな感じでツツジ科の植物って毒がないものがほとんど。
でも同じツツジ科のアセビの花には毒があります

私は獣医師としてアセビなどの有害植物を食べて中毒を起こした
犬猫の治療をしています。
当ブログ管理人のプロフィール

そこで今回の記事ではアセビにはどんな毒があるのか?
わかりやすく解説したいと思います。

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アセビの花に含まれる毒とは?

アセビ(馬酔木)

アセビの場合、花や葉っぱによって毒の種類が違う

アセビの場合、花や葉っぱによって毒の種類が違うので要注意です。

以下http://www.e-yakusou.com/sou/soum055.htmより引用

有毒成分は、葉には、苦味質アセボトキシン、グラヤノトキシンⅢ、アセボチン、アセボクエルチトリン
花には、クエルセチン、特に毒性の強い、ピエルストキシンA.B.C

有毒部位:花、葉、茎すべて有毒。
中毒症状:嘔吐、下痢、酩酊状態、四肢痙攣、呼吸麻痺
以上引用終了

上記のようにアセビの花、葉、茎すべてに毒が含まれています。

特に

アセビの

・葉っぱにはアセボトキシンという毒など
・花にはクエルセチンとピエルストキシンA.B.Cいう毒

が含まれています。

ちなみに

ドウダンツツジ

アセビと似ているドウダンツツジの花には毒がありません。
すごくよく似ているので注意です。

毒のないドウダンツツジかと思ったら
毒のあるアセビの花だったというオチのないようにお願いします。

アセビの花の毒を摂取するとどんな症状がでる?

アセビ(馬酔木)

間違ってアセビの花などを食べてしまったらどんな症状が出るのでしょう?
よくあるのがお腹が痛くなって下痢して吐いてしまうという症状です。
最悪呼吸困難を起こして亡くなってしまうという可能性もあります。

特にアセビの花に含まれているピエルストキシンは毒性が強いです。
足が麻痺するなどの中毒症状が出ることもあるようです。

アセビという名前の語源は毒が関係している

アセビ(馬酔木)

アセビを漢字で書くと馬酔木になります。
漢字の名前が存在していることからもわかるように馬酔木は日本固有種です。
ではどうして馬酔木と馬が酔った木という名前になったのでしょう?
馬酔木を食べると馬がヨタヨタ酔っぱらったみたいな状態になることから名づけられたのだそうです。
名前の由来からも馬酔木には毒があるということが
昔の人もわかっていたということでしょう。

馬がよろよろ歩く原因になるのは
馬酔木の葉っぱに含まれるアセトポキシンという物質だといわれています。

ちなみに鹿がたくさんいる奈良公園にはアセビの花をいっぱい見ることができます。
これは毒の存在がわかっている鹿はアセビの葉っぱを食べないからだそうです。
そんなこともあって奈良公園はアセビがたくさん生き残っているようです。

アセビの毒は動物にとっても危険

アセビ(馬酔木)

アセビの毒によって動物も命を落とすことがあります。

反芻動物である牛や羊だと体重の0.1%で中毒症状を起こし
1%だと亡くなる可能性があるようです。

とはいえ、牛の体重は1トンちかくあります。
それの1%が致死量なわけですから
そんな大量のアセビが周りに存在しないでしょうし
他の植物だって食べるでしょう。

だから牛などの反芻動物がアセビを食べて死亡する事例なんて
ほとんどないでしょう。

ちなみにアセビの落ち葉には他の植物の成長を抑制する物質が含まれているようです。
なので、アセビの周りには他の植物が育ちにくいようです。
となると馬酔木だけがどんどん増えるという話になってしまいますね。

アセビは毒を持っていて動物に食べられないようになっているし
落ち葉には他の植物を成長させないような物質が入っているし。
自分たちだけが生き残れるような進化を遂げてきたってことでしょう。

ナガミヒナゲシ

これってナガミヒナゲシがもっている○○活性と似ていますね。
だからナガミヒナゲシは増えすぎるようなら駆除しないといけない植物だと言われているわけです。
ナガミヒナゲシはなぜ駆除しないといけないの?

アセビの毒活用法

以下wikipediaより引用

アセビが有毒植物である事を利用し、その葉を煎じてその液を植物に撒いて殺虫剤として利用されている[9][5]。古くは葉の煎汁がシラミ、ウジ、菜園の虫退治に用いられた[13]。そこで、アセビの殺虫効果を、自然農薬として利用する試みもなされている。

ここまで解説してきたように
アセビには花にも葉っぱにも毒があります。
人間はアセビの毒に恐れをなして逃げるのではなく
むしろ利用してきたようです。

たとえば人間はアセビの葉を煎じて殺虫剤を作っていたようです。
本草綱目啓蒙という本の中で「アセビを煎じた液を庭にまけ」と
記載されています。

また昔のぼっとん便所(汲み取り式トイレ)では
ウジ虫を駆除するためにアセビの毒が利用されていたようです。

こんな感じでアセビには強力な毒が含まれているがゆえに
殺虫剤として人間は利用していたわけですね。

以下wikipediaより引用

なお、ニホンジカが忌避する植物であるため、シカの生息密度が高く食害を受け易い森林では、アセビをシキミなど共に混植する試みが行われた事例も有る[14]。

シキミの葉シキミの葉

また、鹿の食害を防ぐために
あえて毒を持つアセビやシキミを植えるということもしています。
シキミの葉の特徴

それからアセビの毒を利用しているのは人間に限った話ではありません。
ヒョウモンエダシャクの幼虫アセビの葉っぱを食べます。
もちろんアセビの葉っぱには毒があるのでヒョウモンエダシャクの体内に蓄積されます。
人間や動物みたいにアセビの毒で命を落としたりしません。

それでヒョウモンエダシャクの幼虫は成虫になり
羽ばたいていきます。
もちろんアセビの毒は体内に蓄積されたままです。

そしてヒョウモンエダシャクの成虫を鳥は食べようとします。
でも、アセビの毒のため、一度はヒョウモンエダシャクを食べようとしますが
以後鳥は学習して食べなくなるんだそうです。
そうやってヒョウモンエダシャクは絶滅することなく
現在でも存在するわけですね。

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アセビの花に含まれる毒まとめ

アセビ(馬酔木)

最後にまとめますと馬酔木には葉っぱにも花にも毒があります。
もし人間や動物が食べれば嘔吐や下痢などの中毒症状が出て
最悪命を落とす危険性があります。

なので絶対にアセビを見かけても口に入れないようにお願いします。