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代謝

温度による酵素の失活と熱変性の違いを分かりやすく解説

酵素 失活 温度 熱変性




今回の記事では

温度が関係する酵素の失活と熱変性の違いについて

図やグラフを使いながらわかりやすく解説していきます。

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温度が関係する酵素の失活と熱変性の違いとは?

酵素というのはほぼタンパク質です。
だから酵素の性質は『ほぼタンパク質の性質』だといえます。

では具体的に酵素にはどんな性質があるか?というと
酵素は熱に弱い』です。

以下の図をご覧ください。
酵素だとしましょう。

酵素 失活 温度 熱変性

白い図形全体が酵素、酵素の中でも黄色い部分が活性中心(活性部位)です。
酵素の活性部位とはどういうこと?わかりやすく解説
酵素の活性中心と最適pH・最適温度の関係についてわかりやすく解説

この酵素に対して55℃以上の熱を加えるとどうなるでしょう?
以下の図をご覧ください。

失活

酵素は壊れ違う形になってしまいます。
上記図のような感じです。
そうなると基質Sと結合することはできません。
こうなると酵素は触媒能力を失ってしまいます。
基質特異性とは?酵素と触媒の違いも含めてわかりやすく解説

このことを失活といいます。
つまり失活とは触媒能力を失うことです。

失活に対して、酵素が壊れることを変性といいます。
今回の場合、熱で酵素が壊れたので『熱変性』といいます。

ですから熱変性と失活は意味が違います。

熱変性と失活の違いは

・熱変性・・・酵素タンパク質が熱を加えられて壊れたこと
・失活・・・熱をくわえられ酵素が壊れた結果、活性部位が違ったものになり触媒能力を失うこと

です。

失活と熱変性の違いをしっかりと使い分けれるようにしておきましょう。

また、熱変性したら元に戻りません。
覆水盆に返らず的な話です。

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温度が関係する酵素の失活と熱変性の違いをグラフ化してみると・・・

このことをグラフ化すると以下のようなグラフになります。

失活のグラフ

だいたい酵素の活性が高い場所があります。
人間だと36℃です。36℃は人間の体温です。
ここは最適温度といいます。

上記グラフの横軸があなたの体温だったとしましょう。
体温が下がる(低体温症)と命を落とす危険性があります。
逆に体温が上がる(高熱)と苦しいですよね。

もしあなたが40℃の熱を出したとき、
最適温度から右側にグラフが移動するので、
少なからずあなたの酵素やタンパク質が壊れます。

ですから温度が少しでも上がると
酵素やタンパク質がどんどん破壊されて能力が低下していきます。
あなたも熱が出ると苦しいと感じますよね。

それはタンパク質や酵素が壊れるのも関係しています。

失活のグラフ

だいたい縦軸の活性が0になるのが55℃くらいです。
たとえば、私が獣医師国家試験で勉強した時に習った中に
低温殺菌牛乳の温度がありますが、だいたい55℃から66℃です。
プロフィール

低温殺菌牛乳はタンパク質を壊して作っています。

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失活のグラフ

ここで注意して欲しいことがあります。
グラフ右側の55℃付近。
垂直ではありませんが、まっすぐにおります。
でも、低温(グラフ左側)部分はすそがあります。

低温と高温でグラフがまったく違うことを知っておきましょう。
また55℃付近は酵素が失活しています。
なぜなら熱変性で酵素が壊れているからです。
しかも酵素が壊れているので不可逆的(元に戻らない)です。

失活のグラフ

また、左側の低温部分も失活しています。
ですが、低温部分は失活しているといっても熱変性していません。
温度を下げただけでエネルギー不足なだけです。
だから温度が上がれば元に戻ります。

低温では単純にエネルギーが不足しているだけです。
たとえば、冷蔵庫にブリを入れて冷やしても生のブリです。
同じです。タンパク質(酵素)は変性しません。

だから温度を上げればエネルギーを手に入れて元に戻ります。
でも、55℃の高温はブリを茹でた状態です。
茹でたブリは冷やしても元に戻りません。

低温の失活と高温の失活は区別できるようになりましょう。

低温と高温の失活の違い

・低温の失活はエネルギー不足が原因⇒温度を上げれば元に戻る
・高温の失活は熱変性⇒不可逆的、元に戻らない

です。

お昼、お弁当を持っていったら卵焼きがドロドロになっていることはありませんね。
そう考えると理解しやすいでしょう。

以上で解説を終わります。