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学術

植物が動くって本当?屈性と傾性の違いで解き明かす動きのメカニズム

屈性と傾性の違いを知ることで植物を深く理解! ホルモンが果たす役割とは?




今日は植物生理学の世界へ、
少しだけ足を踏み入れてみませんか?

たとえば、「植物の運動」って聞いて、
何を思い浮かべますか?
「植物が運動?え、どういうこと?」と
疑問に思った方もいるかもしれません。

でも、実はこれ、
知れば知るほど驚きの連続なんです。

さて、その不思議で魅力的な植物の運動について、
少しずつお話ししていきますね。

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「屈性」と「傾性」で紐解く!植物の驚きの動きとホルモンの秘密

Q: 植物が「動く」って、知ってましたか?

ムスカリ 葉が伸びすぎる

「え、植物が動く?」と驚く方も多いかもしれませんが、
実は植物にも様々な動きがあるんです。

まず、植物の「運動」について考えてみましょう。
植物がどのように反応するか、
その仕組みを理解すると、
大きく二つのタイプに分けられることがわかります。

一つは「屈性」、そしてもう一つが「傾性」と呼ばれるものです。

この二つの動きが、
植物がどのように環境に適応しているのかを示しているんです。
さあ、植物の不思議な世界を一緒に探ってみましょう!

植物の反応がどうして起こるかを考えると、
屈性と傾性は、大きく成長運動と膨圧運動の2つに分けられます。

まず、屈性についてですが、
これは主に成長運動が原因で起こります。

たとえば、植物がどちらから刺激を受けたかによって、
その曲がり方が変わる反応のことです。

あなたが学校の帰り道に、
どちらの道を通って帰るか迷ったとします。
もし、右の道からおいしいパンの香りがしてきたら、
そちらの道に進みたくなりますよね?

植物も同じで、
どちらの方向から光や水などの刺激が来るかによって、
そちらに向かって成長するんです。
このように、植物にとって刺激の方向がとても重要なんです。

次に、傾性について説明します。
傾性は、成長運動の場合もありますし、
膨圧運動の場合もあります。

つまり、傾性が起こる原因は成長運動か膨圧運動のどちらかです。

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屈性と傾性の違い

ここで、屈性と傾性の違いを簡単に説明しますね。

屈性とは、刺激を受けた方向によって
植物の曲がり方が変わる反応のことです。

つまり、どちらの方向から刺激があったかが、
植物の動きにとってとても重要です。

一方、傾性は、刺激の方向に関係なく、
植物の器官(たとえば葉や茎など)が決まった動きをする反応です。

ジャングルジム

これは、植物の構造によって決まる動きです。
たとえば、ジャングルジムを登るときに、
手足をどう動かすかを考えなくても、
自然に決まった動きで登れることがありますよね?

植物も同じように、構造上の特徴によって、
どんな刺激があっても決まった動きをするのです。

つまり、「屈性」は刺激の方向で動きが変わりますが、
「傾性」はどの方向から刺激を受けても、
植物の構造によって同じ動きをするということです。

屈性の例え話

たとえば、ドアは押すと開きますが、
引っ張ると閉まりますよね。

ドアがこのように動くのは、
ドアの構造がそうなっているからです。

これと同じように、
植物もその構造によって、
刺激がどの方向から来ても動き方が決まっていることがあります。
これを傾性と呼びます。

屈性とは?

では、具体的にどんなものかを紹介する前に、
まず屈性についてお話しします。

屈性の一例として光屈性がわかりやすいと思います。

植物は必ず光の方向に向かって成長します。
この現象を光屈性といいます。

ここに植物の芽を描いてみますね。
細胞がどうなっているかも見てみましょう。

光屈性

両側とも同じ大きさの細胞です。

今、片方から光が当たるとします。
たとえば、この左側から光が当たるとしましょう。

そうすると、光が当たる側と当たらない側に分かれますね。
こちらが光が当たる側で、こちらが当たらない側です。
このように、光の方向によって植物の動きが変わるのが屈性です。

伸長成長

それでは、このあと植物がどうなるかというと、
光の方向に向かって成長します。
上の図(右側)で説明すると、
こんな風に植物は光の方へ向かって伸びていきます。

光が当たる側と当たらない側に分けると、
光が当たる側では細胞があまり大きくなっていません。

一方で、光が当たらない側の細胞は縦に伸びています。
極端に描くと、
上の図の右側のように縦長になっているのがわかりますね。

この縦に伸びる成長のことを伸長成長と呼びます。
光が当たらない側だけで細胞が縦に伸びるのが伸長成長です。

そして、この伸長成長を引き起こすのがオーキシンという成長ホルモンです。
これからオーキシンについては別記事で解説しています。
オーキシンの働きについてわかりやすく解説

話を元に戻します。
まず屈性の原因について解説しますね。

光が当たらない側だけが伸長成長していることが、屈性、
つまり植物が光の方向に向かう原因になっています。
このように片方だけが伸びることを「偏差成長」と呼びます。

ですので、「光屈性の原因は偏差成長である」と一言でまとめることができます。
偏差成長というのは、
光が当たらない側だけが伸長成長するということです。

これを例えると、お菓子を貰えなかった側の幼稚園児のようなものです。
お菓子を貰えなかった子は「なんで僕だけ…?」と悔しがりながら、
もっと欲しくなって頑張って手を伸ばすかもしれませんね。

まるで「オーキシン」の力で、もっと成長しようとしているようです。
でも、その頑張りのおかげで、
ついにはお菓子(光)にたどり着けるかもしれません!

このように、光がどちらの側に当たっているかが植物にとって非常に重要です。
これが屈性の定義であり、
「刺激の方向に依存している」ということになります。
植物は光に向かって一生懸命成長し、
その結果として光屈性が起きるわけです。

傾性(けいせい)とは?

それでは、次に傾性の例について説明します。
傾性には、膨圧運動と成長運動の2つのタイプがありますので、
それぞれの例を紹介しますね。

傾性(1)成長運動

チューリップ
まずは「成長運動」の例として、
チューリップの花の開閉についてお話しします。
この現象は温度傾性と呼ばれています。

チューリップの花は、朝になると開き、夜になると閉じます。
一見、光が関係しているように思えますが、
実はそうではありません。

温度傾性の具体例

上の図はチューリップの蕾(つぼみ)の断面図の私が作った下手くそなイラスト(苦笑)です。
最初、蕾の花びらは親指の第二関節くらいの大きさしかありませんが
1週間ほど経つと、手のひらサイズまで大きくなります。
花びら一枚一枚が大きく成長していくのです。

朝になるとチューリップの花が開くのは、
光が当たることで温度が上がるからです。
温度が上昇すると、チューリップの内側の部分が成長し、
それによって花が開きます。

温度傾性の具体例

次に夕方になると、光がなくなり温度が下がります。
そうすると、今度は外側の部分が成長し、花が閉じるのです。

このように、チューリップの花が開いたり閉じたりするのは、
温度の変化によるものです。

光がどの方向から当たるかは関係なく、
温度によって決まった動きをするため、
この現象は傾性に分類されます。
カーテン

たとえば、あなたが朝目覚めると、
カーテンを開けて部屋が明るくなり、
自然と活動的になりますよね。

でも、夜になるとカーテンを閉めて部屋が暗くなり、眠くなってきます。
このように、チューリップも温度の変化に反応して
花を開いたり閉じたりしているのです。

光の方向がどこから来るかは関係なく、
温度の上がり下がりに応じて決まった動きをするんですね。

自動ドア

別の例えで考えてみると、
たとえば自動ドアがありますよね。

誰かが近づくとドアが開き、誰もいなくなると自動的に閉じます。
この動きは、誰がどこから来るかに関係なく決まった動きをするため、
「傾性」のようなものです。

チューリップの花も、温度の変化という「センサー」に反応して、
一定の動きを繰り返しているんです。

このチューリップの例が「温度傾性」であり、
成長運動による傾性の一例です。

オジギソウ

でもう一つ重要なのはオジギソウです。
この植物は「膨圧運動」という仕組みで動くことで有名なんです。

次に説明するのは、
この膨圧運動がどのように働くかということです。

オジギソウは、この膨圧運動を使って動く代表的な例です。
同じような動きをする植物には「食虫植物」もありますよ。

例えば、ハエトリソウという植物が
虫を捕まえるときに口のような部分を開いたり閉じたりするのも、
この膨圧運動によるものです。

それから、オジギソウについてもう一つ覚えておいて欲しいことがあります。
それは、この植物がマメ科植物に属しているということです。
だから、マメ科の植物ならではの特徴を持っています。

オジギソウ

具体的には、オジギソウの葉っぱの形は「羽状複葉」と呼ばれるものです。
羽状複葉というのは、
小さな葉っぱが羽のように並んでいる形の葉のことです。

スズメノエンドウ

例えば、スズメノエンドウという植物も同じような形をしています。
そして、葉っぱの付け根には「葉枕(ようちん)」という特別な構造があり、
これもマメ科植物の特徴の一つです。

オジギソウ

上の図を見てください。

ここにはオジギソウの茎が描かれていますね。
この茎から「葉柄(ようへい)」が伸びていて、
その葉柄がさらに細かく分かれて、
たくさんの小さな葉っぱがついています。

図を見てもらうと、
「葉柄」と茎の境目の部分が少し膨らんでいるのがわかると思います。
この膨らんだ部分が「葉枕(ようちん)」と呼ばれるところです。

「葉っぱのまくら」と覚えるとわかりやすいですね。

この「葉枕」の中には、大きな細胞がたくさん詰まっていて、
パンパンに膨れています。これが「膨圧(ぼうあつ)」と呼ばれるものです。

図からもわかるように、
この膨圧は上と下にあり、バランスが取れています。
例えるなら、風船が上下に入っていて、
そのおかげで葉柄が斜め上にピンと上がった状態が保たれているんです。

次に、もしこのオジギソウを手で触るとどうなるかというと、
葉っぱが閉じて、葉柄がペタンと折れてしまいます。
これが、オジギソウの特別な動きで、
「接触傾性(せっしょくけいせい)」と呼ばれる現象です。

オジギソウ

図を見てもらうと、
「葉柄」と茎の境目の部分が少し膨らんでいるのがわかると思います。
この膨らんだ部分が「葉枕(ようちん)」と呼ばれるところです。
「葉っぱのまくら」と覚えるとわかりやすいですね。

この「葉枕」の中には、大きな細胞がたくさん詰まっていて、
パンパンに膨れています。
これが「膨圧(ぼうあつ)」と呼ばれるものです。
図からもわかるように、この膨圧は上と下にあり、
バランスが取れています。

例えるなら、風船が上下に入っていて、
そのおかげで葉柄が斜め上にピンと上がった状態が保たれているんです。

次に、もしこのオジギソウを手で触るとどうなるかというと、
上の動画のように葉っぱが閉じて、
葉柄がペタンと折れてしまいます。

これが、オジギソウの特別な動きで、
接触傾性(せっしょくけいせい)」と呼ばれる現象です。

オジギソウ

上の図のように触れることで刺激が伝わり、
その刺激が葉の下の細胞に届くと、
膨圧が変わって葉っぱが閉じるんです。
図を参考にしながら、この仕組みを理解していきましょう。

次の段階ですが、葉枕(ようちん)の下の細胞で「脱水」が起こります。
これは、いろいろな理由がありますが、
特にカリウムイオンという物質が細胞から失われることで起こるんです。

葉枕

ここで、葉枕の部分に注目してください。
この細胞がカリウムイオンを失うと、
中の液体が薄くなり、周りの液体が相対的に濃くなります。

これによって濃度差が生じ、「脱水」が起こるのです。

水風船

簡単に言うと、水が入っていた風船の水が抜けて、
しぼんでしまうような感じです。
その結果、「膨圧の低下」が起こります。

つまり、細胞の中の圧力が弱くなるということです。

葉枕

葉枕の上側の細胞は膨圧が高いままですが、
下側の細胞はしぼんでしまいます。
そのため、葉っぱが「お辞儀」をするように曲がるのです。

具体的には、下側の細胞がしぼんで、
上側の細胞はパンパンに膨れているので、
その結果、葉っぱが角度を変えて下を向くことになります。

このように、膨圧の変化によって一定の動きが生じるので、
これは「傾性(けいせい)」と呼ばれる現象です。
これは、刺激がどこから来るかではなく、
その刺激が重要で、この反応が引き起こされるということです。

これが膨圧による傾性と成長による傾性の二つの例です。

今回の記事は以上になります。
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