キョウチクトウには青酸カリよりも強力な毒があります。
しかも葉っぱにも花にも根っこにも、
周辺に土にも毒が存在します。
そんな恐ろしい毒を持つ夾竹桃(キョウチクトウ)をどうして
街路樹とか公園に植えるのでしょう?
不思議じゃありませんか?
🌼河川敷で 強い経口毒性が有るのに植栽の #キョウチクトウ 【 #夾竹桃 】が咲き始めました
暑い💦季節の到来です#キョウチクトウ 【 #夾竹桃 】 pic.twitter.com/Ni7jjdoqyE— 大犬 ᦍ (@ooinufuguri83) May 17, 2020
もし街路樹とか公園にあるキョウチクトウを子供が食べたり舐めたりしたら
命の危険が出るんじゃないか?と冷や冷やしてしまいます。
このように書くと、「そんなこと起こらないでしょ!」
って突っ込まれそうですが、実際に小学校に植えてあるキョウチクトウを
食べてしまい、救急搬送されたという実例があります。
《小学校の校庭に植えられたキョウチクトウの葉を3枚から5枚食べた2年生の児童2人が、吐き気や頭痛などの中毒症状を起こし、一時入院》
小学校の校庭に植える方もおかしいし、小学2年生とはいえ葉っぱを3~5枚も食べる児童が2人居るのもまぁまぁおかしいんよ。— ⛩️ の─みん ⛩️ (@nouminT) July 4, 2022
ではどうして強烈な毒を持つ夾竹桃を
公園とか街路樹に植えるのでしょうか?
今回は5つの理由をご紹介したいと思います。
目次
キョウチクトウ(夾竹桃)をなぜ植える?
では以下、5つの理由をご紹介していきます。
理由(1)子供たちを有害な虫から守るため
記事の冒頭でも書きましたがキョウチクトウの葉っぱを食べて小学生が救急搬送されたという実例があります。
でも、こういった悲惨な事例は年に何件も起きているわけではありません。
ごく少数です。
こういった悲惨な事例以上にキョウチクトウを公園などに植えるのは
メリットがあるからです。
ではどんなメリットがあるのでしょう?
キョウチクトウを公園などに植えると
有害な昆虫とか小動物、毒蛇などを別の場所に追いやってくれるというメリットがあります。
ところで私は獣医師として日々犬猫の診察をしています。
⇒当ブログ管理人のプロフィール
犬のノミ取り首輪ってご存じですか?
動物病院で販売されてなくてペットショップで販売されているのですが、
ノミ取り首輪には忌避剤っていって、犬にノミが近寄らなくするという効果があります。
夾竹桃(キョウチクトウ)の毒もある意味ノミ取り首輪と似たような作用があるのかもしれませんね。
ホームセンターやペットショップで購入したノミ取り首輪、いつから付けていますか?大体の製品は半年程で効果が無くなります。しかも、効果というのも忌避効果(ノミが寄り付きにくくなる効果)であって、駆除や完全な予防はできません。できる限り、病院処方の駆除薬の使用をオススメします。
— あんじゅ@犬猫の獣医さん (@vets_magazine) October 27, 2022
キョウチクトウは強烈な毒を持っているがために
有害な虫や生物が近寄りにくくなります。
つまりキョウチクトウをなぜ植えるか?というと
公園や小学校にいる子供たちを害虫や有害な生物から守るというメリットがあるわけですね。
なので人間がキョウチクトウを食べたり燃やした煙を吸ったりするのは危険。
でも自然界では有害な生物を寄せ付けないという意味で
有用な植物だと考えることもできますね。
まさにキョウチクトウは「毒を以て毒を制す」ってことわざがピッタリな植物だと思います。
【毒を以て毒を制す】
悪人や悪事に対抗するために、他の悪人や悪事を利用すること。
類似表現に「油を以て油煙を落とす」「邪を禁ずるに邪を以てす」がある。
<例文>
ガキ大将のいるクラスの新任教師は、昔地元で名を轟かせた問題児であり、周囲から毒をもって毒を制していると揶揄されている。— 然云うbot【物書きのための語彙】 (@xarther98) November 27, 2022
よく除草剤を舐めて
嘔吐や下痢などの激しい症状が出ている犬の診察をします。
でも、キョウチクトウなどの有毒な植物を食べたという診察はかなり少ないです。
何がいいたいか?というと
除草剤とか殺虫剤という化学物質で害虫などの被害を防ぐよりも
キョウチクトウみたいな自然に存在する植物で
害虫などの被害を防ぐ方がかえって安全なのかもしれませんね。
『毒を以て毒を制す』タイプの植物はキョウチクトウ以外にもあります。
たとえばシキミです。
シキミには毒があって実もできることから『悪しき実』っていわれてたりします。
そして悪(あ)しき実の『悪(あ)』が取れて『シキミ』という名前になったそうです。
【シキミ】
シキミ科の植物 仏前に備えることから漢字では「梻」(「樒」とも) 毒成分が強く「悪しき実」を略してシキミとなった説があり、また植物として唯一劇薬に指定されている。「いかにも仏教に関係がありそうな感じ」を意味する「抹香臭い」の「抹香」はこの木の香りのことである— 植物クイズbot (@flower_quiz) November 29, 2022
シキミもキョウチクトウと同じで全体的に毒を持っています。
シキミを墓場で見かけることもあると思います。
なぜ墓場で見かけるか?
野生動物やマムシなどがこの毒を嫌って近寄らないようにするためです。
シキミを置いておけば墓場を荒らす動物や有害生物が近寄らないわけですね。
先ほど一旦外出していた。お彼岸のシキミを買いに母とキラメッセ室戸の直売所「楽市」に行き、その足で墓場に買ったシキミを立てに回っていた。今の時期はシキミが大量に入荷されるが、早く行かないと品切れにあう。
— 鮪鯨人(ゆうげいじん)@角刈り (@yuugeijinn) September 19, 2018
理由(2)復興のシンボルになっているから
キョウチクトウは日本原産の植物ではありません。
外来種だってことです。
ネパールとかインドに自生する植物です。
日本ではキョウチクトウは有毒で食べたり煙を吸ったら
命に関わる危険な植物だと認識している方が多いと思います。
でも、インドやネパールでは『ネパール・インドの聖なる植物事典』に掲載されるほど
神聖な植物として扱われてます。
⇒ネパール・インドの聖なる植物事典 [ トゥリロク・チャンドラ・マジュプリア ]
ネット漁るとほぼ毒性や罪人だの死者だのの物騒なネタばかり出てくるキョウチクトウ
一方「ネパール・インドの聖なる植物事典」で葉がスーリヤ神の供儀用に重要視されてるというネタが。
赤花のキョウチクトウはカーリー女神とシヴァ神が好むとかも pic.twitter.com/OLBRyVnYNk
— べれんと (@velmt) February 19, 2021
こんな感じで場所が変わればキョウチクトウに対するイメージが
違ってくるわけですが、同じ日本でもイメージが違うってこともあります。
たとえば広島市です。
広島は原爆が投下された場所です。
原爆が投下された当初は「今後70年間は草木さえ生えないだろう」
といわれていたそうです。
広島は原爆を落とされた時に「今後70年草木も生えない」と言われたが怒涛の復興を成し遂げた。福島も「もう人は住めない」などと言われたがちゃんと復興して今も多くの人が住んでる。何が目的か知らないけど勝手に他人の土地を諦めないでくれないか。
— もりちゃん🥁🎸🎹 (@morichanemorich) December 5, 2021
でも、原爆が投下された次の年には
キョウチクトウの花が咲いたそうです。
そして広島市民に生きる希望が生まれたそうです。
広島市の花、キョウチクトウ♪
原爆投下後にいち早く咲きだし
希望を与えてくれた花だそうです。
世界に平和が訪れますように☆#TLを花でいっぱいにしよう pic.twitter.com/LGg8qwKUMh— Kudochan (@kudochan_tweet) August 6, 2022
そんなことがあって原爆からの復興の象徴として
広島市の花になったそうです。
だから毒があるかどうかという問題でなく
復興の象徴としてキョウチクトウを植えるということもあります。
1945年8月6日午前8時15分、アメリカ軍B29が広島に原子爆弾を投下
そして大きな被害が#黙禱広島市の花 #キョウチクトウ
原爆を投下された荒れた土地に
いち早く咲いた花 pic.twitter.com/ouJvEcMeVA— ささっち😺 (@sasacchi_y) August 5, 2021
理由(3)有害物質を防ぐから
キョウチクトウは少し寒さに弱いです。
インドやネパールみたいな比較的暖かい地方が原産ですからね。
仕方ないかもしれません。
あさのいろ おはよう
キョウチクトウ:恵まれた人
キョウチクトウ科 同属
夾竹桃、常緑低木
インド原産、寒さに少し弱い
花期6~9月
葉が竹に花が桃の花に似る
受粉に成功すれば果実が実り
長い褐色の綿毛の種子#種子は #Wikipedia の#MrJúlioReis による pic.twitter.com/XrWVbmHW7q— ✰miles.スマイル♡ 事情により休止 (@milessmile_0311) August 8, 2017
でも、寒さ以外でいったら
キョウチクトウは人間で例えるとものすごく強靭な体をしています。
・水不足に強い
・塩水(他の植物だと枯れる原因)に強い
・大気汚染の影響も受けにくい
です。
夾竹桃(キョウチクトウ)✨
海岸保安林に植わっていて、ひときわ鮮やかな花が空に向かって咲いていました。夾竹桃は、乾燥や大気汚染に強い植物で街路樹にも利用されます🌱
夾竹桃には、花、葉、枝、根、果実のすべての部分に毒性があり、注意が必要だそうです😱
花言葉「注意」「危険」「用心」🥰🌿 pic.twitter.com/JhZaY8lWtt— わげん あいご (@AigoWagen) July 29, 2021
しかもキョウチクトウは空気をきれいにしてくれますし
毒性が強くて大気汚染の原因になる二酸化硫黄ガスを吸収できます。
おそらく気象庁が二酸化硫黄濃度に気を払っているところをみると、今回の火山活動では、硫化水素ガスよりも二酸化硫黄ガスの方がはるかに優勢なんだろうね。きっと。前者は毒性が強く、臭いに麻痺しやすい。後者は有害性もさることながら、刺激が強く、救援活動を直接妨害する。
— 山猫だぶ㌠ (@fluor_doublet) September 30, 2014
これはキョウチクトウといいまして、空気を浄化してくれる木です。きれいなピンクのお花が梅雨前に咲きます。主に工場倉庫の近くに植えられています。😊 pic.twitter.com/zSCTUpaXtn
— ねこさば (@msnewtype5) March 6, 2021
夾竹桃はピンク(濃いのと薄いの)が多いですよね(*´∇`*)
ここは白でした!
キョウチクトウは毒があるけど、浄化力も高いから、原爆後の広島でも活躍したのでしょうね(♡´◡`♡) https://t.co/uPVZg4Swx9— Bebe Suave Betty (@Bebe_Suave) June 1, 2020
どうしてキョウチクトウは空気を浄化してくれるのでしょう?
理由としてはキョウチクトウの葉っぱの裏側にちょっとくぼんでいるところがあって
内側に毛が生えていてそこがフィルターの役割を果たしているそうです。
これって人間や動物と似ています。
人間や動物の鼻の中には線毛という細かい毛があって
ホコリや菌などをくっつけて
体内に有害なものを入れないようにしています。
キョウチクトウの異物から自分の身を守る機能と人間や動物の線毛の役割と
すごく似ていますよね。
女医:寒くなって空気が乾燥してくると、鼻やのどの粘膜にある線毛の動きが悪くなるので、コロナ含めて様々なウイルスに感染しやすくなります。
自分の感想:高温多湿の真夏に大発生した第7波はご存知?#ゴゴスマ
— 🐦小桜 萌吉♨️ (@moekichi_tantan) November 10, 2022
そんなこともあって
・公園
・街路樹
・高速道路沿い
・工場周辺
などに植えるわけですね。
キョウチクトウって自分は猛毒を持っていて人間や動物を傷つけるのに
有害物質を含む空気を浄化してくれるという役割を果たしているって
不思議な植物なんですね。
理由(4)そもそも食べたいと思える要素がないから
記事の冒頭で、小学生がキョウチクトウの葉っぱを食べて
救急搬送されたという事例をご紹介しました。
2017年の児童が葉っぱ食べちゃって吐き気と頭痛ってニュースが報道された直近の人間への中毒症状のようなので、注意喚起ならこれだけでいいんじゃないかな。
キョウチクトウで小学生2人が食中毒 高松:朝日新聞デジタル https://t.co/D7DcDgz615
— はづき真理 (@August16th2018) June 3, 2019
ただ、日本で子供がキョウチクトウを食べて中毒を起こした事例というのは
上記事例くらいです。
他にも必死で探せば数検くらいはあるでしょうけどその程度です。
それからキョウチクトウに毒があることを一般の方はほとんど知らないと思います。
ですが大人が公園で見つけたキョウチクトウの葉っぱをあえて食べたりしないでしょう。
キョウチクトウって赤い実がなりますが、
硬そうですし、あえて食べたくなるような見た目は持ち合わせていません。
気づいたら、前のおうちの庭木に赤い実がなってました。
キョウチクトウの実、可愛いけどヤバいやつらしい💦#キョウチクトウ pic.twitter.com/wKWShU1l2S— wakko (@gurekitchan) October 21, 2022
以上の点から、公園や街路樹にキョウチクトウを植えても
食べて中毒を起こすということはほとんど起こりません。
逆に有害ガスを吸収してくれたり、
害虫や有害な動物から公園や墓を守ったりというメリットの方が大きいので
キョウチクトウはいろんなところで植えられているのです。
理由(5)街路樹の要件を備えているから
先ほどもいいましたが、
キョウチクトウは有害ガスを吸収してくれます。
一般的な植物なら有害ガスを吸収する前に枯れてしまうでしょう。
でもキョウチクトウは有害なガスに対しての防御力が高いです。
何がいいたいか?
というと街路樹とは道路の両側に並んで植えられている樹木のことです。
京都市:Q1 「街路樹」とは何ですか? https://t.co/hZLIHU18Zy
— じゅん (@hibinitijou2) November 30, 2022
道路の周辺って排気ガスがいっぱい出ているわけですよね。
そんなところに植える植物は当然、排気ガスなどの有害ガスに対して
強い植物でないといけません。
排気ガスの影響ですぐ枯れる植物を植えたら
枯れた木を除去したりと手間が増えたりしますから。
しかもキョウチクトウは乾燥に強いです。
水やりをあえてやる必要はないってことです。
おはようございます☀
蝉の声が日に日に少なくなってきましたね❣
もう少ししたら、鈴虫やコオロギの鳴き声で秋を感じてくるのかもしれませんね☺
🍀今日の誕生日の花 キョウチクトウ🍀
花言葉:たくましい精神
乾燥や公害に強いため、都会の公園や街路樹としてよく利用されています。 pic.twitter.com/q5xekIbR67— アコ@神明株式会社 北大阪営業所 (@Q1d1Ewstj23JEjD) August 3, 2022
もし水やりが頻繁に必要なら
道路の管理者である市の職員の仕事が無駄に増えます。
でもキョウチクトウは水やりがほとんど不要なため
手間がかかりません。
しかもキョウチクトウはきれいな花を咲かせます。
以上の理由からキョウチクトウは街路樹に向いている植物だから
あえて植えられているのです。
キョウチクトウ(夾竹桃)は最近になって植えるのを控えるところも
以上の理由からキョウチクトウは公園などに植えられているわけですが、
現在の日本は安全意識が高まっていますよね。
そんなこともあって小学校とか公園で
あえてキョウチクトウを植えるという機会が減ってきているようですよ。
キョウチクトウ。
珍しい三輪生。千葉市では、市の花木になっているけれど、公園や学校では新たに植栽はしていないんだって。
有毒だしね。 pic.twitter.com/jHOu7xaC2e
— 市原樹木 (@jumokuichi) September 10, 2022
以上で解説を終わります。
次の記事ではキョウチクトウの毒性や花言葉などについて解説します。