ヤマハギは、アジア原産のマメ科の顕花植物です。
北海道から九州まで広く分布しています。
観葉植物として広く栽培され、
生長すると高さ2~3mまで育つ落葉低木です。
日当たりのよい山野でよくみられるヤマハギは、
密集した枝にたくさんの花が咲き、それが風に揺れる姿はとても趣があります。
とても趣があるヤマハギは、
昔から和歌や俳句でよく読まれてきました。
「万葉集」にも、秋の季語としてヤマハギを詠んだ句が多く載っています。
秋の七草の1つでもハギですが、
これは万葉集において奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえおくら)が、
秋に咲く草の中から代表的な7種を選んで詠んだものとされています。
『秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七草の花』
『萩の花 尾花(すすき) 葛花 なでしこの花 女郎花 藤袴 朝がほの花』
と山上億良は万葉集の中で詠んでいます。
春の七草と言えば、七草がゆにして無病息災を祈るものですが、
秋の七草は、植物の美しさを鑑賞して楽しむものとされています。
しかし、昔は花を見て楽しむだけでなく、薬用として使える実用的な草花として
親しまれていたものが選ばれたと言われています。
万葉集のなかで、植物を詠んでいる句はたくさんあります。
その中でも、ハギは141首も歌われており
人々に親しまれていたことが分かります。
『高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに』 歌人 笹金村
『わが岡に さをしか来鳴く 秋萩の 花妻問ひに 来鳴くさをしか』 歌人 大伴 旅人
今回は、昔から人々に親しまれてきたヤマハギの花の特徴や花言葉をご紹介します。
ヤマハギの花の特徴
ヤマハギの花は、6月~9月にかけて咲きます。
花は、直径1㎝程度の小さな蝶形で、
葉腋つく複総状花序に2つずつらせん状についています。
花の色は、翼弁は濃い紅紫色で、旗弁はやや色が濃い。
花序の柄が長く、柄と花序の中軸の長さが等しいか、
柄が同じくらいので、葉群から花が出ているのがヤマハギの特徴です。
葉群より花序が外側に出ているので花が目立ちます。
草原などで刈り取った後に再び生長したヤマハギは、
花序の柄があまり長くなりこともあります。
茎を刈りとならければ、
高さが2mほどまで生長することもあります。
花の時期は、他の植物に比べて長く6月から9月ごとまで続きます。
ハギは、日本だけでなく世界の広い地域で自生している植物です。
野生のものは、40種以上あると言われています。
その中でもヤマハギは、ハギの代表的な品種で
ハギと言えばヤマハギのことを指します。
ヤマハギは、木の高さが2mほどで、枝がやや細いのが特徴です。
日本で庭木として広く親しまれているミヤギノハギは、
宮城県に多く自生することからこの名前がつきました。
ミヤギノハギは、生育が旺盛で、地面近くまで刈り込んでも
翌年には1mほどの高さまで生長します。
その他にも、マルバハギ、ネコハギなど日本にも
多くの種類のハギが自生しています。
マルバハギは、別名「カワチハギ」と呼ばれ
関東より西の地域に多く自生しています。
花期は、7~9月で、
葉の間に埋もれるように紅紫色の花が咲きます。
ヤマハギの花が枯れたら…
9月を過ぎてヤマハギの花が枯れてきたら、
枯れた花がついている枝を切り落とします。
剪定は、年2回くらい行いましょう。
1回目は、1~3月または11~12月に行い、枝先の花の枯れた部分を切り落とします。
株元から10㎝ほどのところで刈り取ると、翌年に新しい枝が育ちやすくなります。
2回目は、5~6月い行います。
2回目の剪定は、株の大きさを保つためのもので
新しく生えた枝を育てたい大きさに切りそろえます。
ヤマハギの株が大きくなりすぎている場合は、
株分けをするか、外に広がっている枝を根元から切り落とす方法もあります。
ヤマハギの花言葉
ヤマハギの花言葉は、
『思案』
『内気』
『想い』
ハギの細い枝に小さな花を咲かせる姿を
奥ゆかしい趣と控えめながらたくましさを感じさせることから
つけられたとされています。
また、しなやかに枝が垂れる姿から『柔軟な精神』という花言葉もあります。