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ナス科

ワルナスビの毒成分と有害性とは?

ワルナスビ




上記画像はホームセンター近くの道端に咲いていたワルナスビです。
ワルナスビ=悪茄子=悪いナスビ
ってことです。

ワルナスビは北アメリカ原産で日本にやってきた植物です。
ただ、あまりの繁殖力の強さから、
上記画像のように道端でも普通に見つけることができます。

見た目的には悪そうには見えませんし、
きれいな花を咲かせていると思います。

でも、ワルナスビは全体的にトゲがあるので、
触るととげが刺さって痛みを感じることもあります。

ノイバラ

トゲと言えば、ノイバラなんかもトゲがありますね。
ノイバラの花の特徴

ただ、さらにワルナスビには毒があります

繁殖力が強いのでどんどん増えるのに、
トゲがあって毒があるなんて、ワルナスビは厄介な植物ですね。

アラゲハンゴンソウ

厄介さでいったら前回解説したアラゲハンゴンソウよりも厄介です。
アラゲハンゴンソウとオオハンゴンソウの見分け方

ワルナスビ

ではここからが本題です。
今回の記事ではワルナスビに含まれる毒ってどんな毒なのか?
成分名やワルナスビに含まれる毒が私たちの体内に入ると
どんな症状が出るのか?解説したいと思います。

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ワルナスビに含まれる毒成分

ワルナスビ

結論としてワルナスビにはソラニンという毒が含まれています

じゃがいも

ソラニンという毒はジャガイモの新芽部分にも含まれています。
だからじゃがいもの場合には新芽部分を除去してから料理に使いますね。

でも、ワルナスビの場合、ソラニンは株全体(植物全体)に含まれているので
じゃがいもとはレベルが違います。

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ワルナスビに含まれる毒『ソラニン』とは?

ワルナスビ

ワルナスビに含まれる毒『ソラニン』はコリンエステラーゼを阻害する作用があります。

コリンエステラーゼってどんな物質なのでしょう?
一応私は別記事でも正体を明かしているように獣医師として
日々、ペットの診察に従事しています。
原核細胞と真核細胞の違いをわかりやすく解説

ペニシリン

ですので、箱に入った状態で薬局では買えないお薬の画像も撮影できます。

以下帝京大学 医療技術学部 学部長 滝川 一 先生監修肝機能ナビより引用

コリンエステラーゼとは、肝細胞でのみつくられる酵素で、血液中へ放出され、からだ中に存在しています。
神経伝達物質の一種を分解する働きをします。
以上、引用終了

コリンエステラーゼは神経伝達物質の一種を分解するとのことです。
では神経伝達物質とは何なのでしょう?

難病情報センターによると、

神経細胞の間で情報を伝える物質。
以上、難病情報センターより引用

神経伝達物質

神経細胞って運動会のリレーのバトンを想像していただけると分かりやすいと思います。
バトンを次々に渡していきながら情報を伝えていきます。
そして最終的に伝えたい相手に情報が伝わるわけです。

なので、コリンエステラーゼ単味で見たら神経伝達物質を分解するわけだから
バトンを破壊するイメージです。
コリンエステラーゼにより情報が伝わらなくなります。
でも、ソラニンはコリンエステラーゼを阻害するわけだから
逆に情報を伝える力が増強されます。

「情報が伝わればいいんじゃない?」
と思われるかもしれません。
でも、そんなことはありません。

伝えるべき情報を伝えたら、バトン(情報伝達物質)が消えないと
伝えなくてもいい情報をどんどん伝えようとするわけですよ。

コリンエステラーゼ阻害薬としてアリセプトみたいな認知症のお薬があります。
アリセプトみたいに狙った部分だけに作用してくれるようなお薬なら
コリンエステラーゼを阻害するのは問題ありません。
お医者さんの指示通りに服用してください。

でもソラニンみたいに無差別にコリンエステラーゼを阻害されてしまうと
体にとっては有害です。

こんな感じで無差別に狙う毒を原形質毒といいます。

植物毒は

・消化器障害型
・神経障害型
・原形質毒性型

の3つに分けることができます。

消化器毒性型は毒が体内に入って1時間前後で症状が出始め
嘔吐下痢、全身の倦怠感などの症状が出るタイプをいいます。

神経障害型は読んで字のごとく、神経に障害が出るタイプです。
症状が進行すると、瞳孔が縮小したり、血圧が落ちたり、
精神が錯乱したりすることがあります。

ワルナスビに含まれるソラニンという毒は原形質毒性型で
細胞の中のRNAに作用することでタンパク質の合成を邪魔します。

細胞は全身にあるため、
作用する部位によっていろんな症状が出ます。
非常に恐ろしいです。

ソラニンの場合、赤血球を壊す溶結作用や
体液の電解質バランスをおかしくしたり
よだれが出たり、うまく体を動かせなくなったり、痙攣が起きたり
昏睡状態になったりすることもあります。

軽い症状の場合には、嘔吐や下痢、頭痛などの症状がでます。

ところでマウスのLD50は42mg/kgです。

ワルナスビ

LD50(エルディーゴジューと読みます)とは50%致死量のことで
動物群にある物質を投与した時に、その動物群の半数が亡くなる量のことです。

通常、LD50が体重1㎏あたり1500mgだと安全な物質だといわれています。
ですので、ソラニンのマウスのLD50は42mg/kgですから
危険性の高い物質だといえるでしょう。

ちなみに兵庫県宝塚市の小学校で
ジャガイモのソラニン類による食中毒が発生しています。

以上、ワルナスビに含まれる毒についての解説を終わります。