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アジサイ科

アジサイの花の色を赤にするための土壌の条件とは?

アジサイ 色 土壌 赤




毎年6月下旬くらいになったら
どこでも咲いているのがアジサイです。

紫陽花 犬

それくらい有名な植物ですし、
それくらい育てやすい植物だといえるでしょう。

アジサイ

ただ、花の色のコントロールが難しいという難点があります。
「赤色のアジサイの花にしたい」とか
「青色のアジサイの花にしたい」と思っても、
同じ場所、同じ土壌なのに、目の前のアジサイの花は赤色なのに
隣のアジサイの花は青色みたいなことってよくあります。

そこで今回の記事ではアジサイの花の色を赤にするために
具体的にどうすればよいのか、解説したいと思います。

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アジサイの花の色が赤色や青色などに変化するのは土壌しだい

アジサイ

あくまで一般論になりますが、

アジサイの花の色は土壌のpHが

6.0~6.5と高めなら赤色
・5.5~6.0くらいだと紫色
・5.0~5.5と低めなら青色

に変化するといわれています。

どうしてそうなるのでしょう?
それはアジサイに含まれるアントシアニンという物質が関係しています。

また、

土壌には少ない順に

・マグネシウム
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・鉄
アルミニウム
・ケイ素

が含まれています。

本質的な話になりますが、アジサイの花の色は
アジサイに含まれるアントシアニンと土壌に含まれるアルミニウムが関係しています

アジサイの花の色は

・アントシアニンだけなら・・・赤色(ピンク色)
・アントシアニンとアルミニウムが結合・・・青色

となります。

逆にいうと土壌のpHが高かろうが低かろうが、
そもそもアジサイにアントシアニンが含まれていなければ赤色にも青色にもなりません

「じゃ、アントシアニンがアジサイになかったら何色になるんだよ!」
とツッコミの声が聞こえてきそうです。

何色になるかはこちらの記事をご覧になっていただければ解決します。
アントシアニンがないアジサイの花は何色になる?

また、土壌中にもしアルミニウムが含まれていないなら
アジサイのアントシアニンと結合することができないので
赤色のままで青色にはなりません。

ということはアジサイの花の色を赤色にしたかったら
土壌中にアルミニウムが存在しなければよい
ということです。
まぁ、難しい話ですけどね。

そこで土壌中のpHに私たちは頼ることになります。
土壌中のpHが6.0~6.5くらいだと土壌中のアルミニウムと
アジサイのアントシアニンが結合しにくいため、
花の色が赤色になる可能性が高くなります。

『可能性が高くなる』と書いたのは
土壌中にアルミニウムが存在するなら
絶対にアントシアニンとアルミニウムが反応しないとは言い切れないからです。

アジサイ

ちなみに日本の土壌って酸性寄り(pHが低めだということ)だといわれています。

先ほど

アジサイの花の色は土壌のpHが

・6.0~6.5と高めなら赤色
・5.5~6.0くらいだと紫色
・5.0~5.5と低めなら青色

と書きました。

ということは日本の土壌だとどうしても
アジサイの花の色はどうしても青色になりやすいといえます。

どうして日本の土壌は酸性寄りなのでしょう?
理由として、日本って梅雨の時期があったり台風が来たりして
大雨が降る機会が多いですよね。
雨には空気中の二酸化炭素が含まれています。

二酸化炭素は酸性です。

だからいっぱい雨が降ると雨に含まれる二酸化炭素がいっぱい土壌に染み込み
結果として、土壌が酸性寄りになります。

しかもいっぱい雨が降ると
土壌中に含まれるアルカリ性の成分が流されてしまうのです。
アルカリ性の成分とは石灰などの成分なのですが、
こういった成分が大雨で流されるため、
さらに土壌が酸性寄りに傾いてしまうのです。

アジサイ

だから日本だとアジサイの花の色は青色になりやすいといわれています。

とはいえ、先ほど解説したように土壌中のpHが酸性寄りであっても
赤色(ピンク色)の花が咲く可能性はあります。

先ほどもいいましたように
アジサイの花の色が赤色になるか青色になるかは
アジサイに含まれるアントシアニンと土壌中に含まれるアルミニウムで決まるからです。
土壌中のpHは絶対的な条件ではありません。

アジサイ

つまり、土壌中のpHが高いからアジサイの花の色が青色になるのではなくて
土壌中に含まれるアルミニウムがアジサイの根っこから吸収され
アントシアニンと反応して青色になるのです。

私は大学時代に薬の研究をしていたことがあります。
当ブログ管理人のプロフィールはこちら

そのときに衝撃だったのは
pHが低いから絶対に~になるとか高いから~になるみたいなことはないってことです。
教科書通りに話が進むのは、やはり教科書の中だけです。
100%ってことはありません。

今でもそうですが、犬や猫に薬を処方しても
教科書通りに治療が進むってこともありません。

土壌中のpHもそうです。
pHが高いから絶対に青色になるとか低いから赤色になるとか
そんなことはありません。

ただ、アルミニウムとアントシアニンが反応するかどうか?だけの話です。
反応すれば青色、反応しなければ赤色ってだけです。

土壌中のpHはアルミニウムとアントシアニンが反応する確率を上げるだけだということです。
単純に土壌中のpH型解法がアルミニウムが水に溶けやすくなるから
アジサイの根っこから吸収されやすくなるだけの話なのです。

想像してみてください。
食塩そのものよりも食塩水の方が人間だって飲みやすいですよね。
これと同じでアジサイの根っこから吸収しやすいのはアルミニウムの固体ではなくて
水に溶けたアルミニウムの水溶液なのです。

で、アルミニウムの水溶液になりやすいのはpHが高い時なのです。
ただそれだけの話です。

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赤色のアジサイの花を咲かせるならどんな土壌がよい?

アルミニウムのない土壌づくり

アジサイ

では具体的に赤色のアジサイの花を咲かせるために
どうすればよいのでしょう?

一番いいのはアルミニウムが含まれていない土壌で
アジサイを育てること
です。

くどいくらい書きましたが、
土壌中の水に溶けたアルミニウムがアジサイの根っこから吸われ
アントシアニンと反応することで青色の花になります。

ということは土壌中にアルミニウムがなければ
アジサイのアントシアニンと反応せず、赤色の花を咲かせるということです。

ではどうすればアルミニウムの存在しない土壌を作ることができるのでしょう?
ピートモスを使ってください。
ピートモス約15L

ピートモスの特徴はアルミニウムが入っていないことです。
アルミニウムが入っていない土でアジサイを育てれば
どう頑張っても青色の花にはなりません。
赤色の花が咲きます。

逆に「こんな土を使っちゃダメですよ!」というものを挙げるとすると赤玉土でしょう。
赤玉土 14L〜天然乾燥〜

赤玉土にはアルミニウムが含まれているため、
青色の花を咲かせる確率がグーンとアップしてしまいます。
赤色の花を咲かせたいならピートモスを使ってください。

ピートモスなら土壌中のpHがいくらとか
そんな細かいことを気にする必要がなくなります。
ピートモス約15L

後はここまで解説してきた理屈を踏まえて作られた赤色の花を咲かせる専用の土もあります。
理屈がわかっているので安心して利用することができますね。
赤アジサイの土 5L プロトリーフ 培養土

アルミニウムが溶けない土壌づくり

(1)水不足

アジサイ(赤)

繰り返しますが、土壌中にアルミニウムがなければ赤色の花が咲きます。
先ほどいったような土を使ってない場合には
その土壌中にはおそらくアルミニウムが含まれていることでしょう。

土壌には少ない順に

・マグネシウム
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・鉄
アルミニウム
・ケイ素

ということで、土壌中に多く含まれる物質ナンバー2がアルミニウムですからね。

じゃ、どうすればアルミニウムがアジサイの根っこから吸われないのでしょう?
繰り返しになりますが、アルミニウム水溶液を根っこが吸います

逆にいうとアルミニウムが水に溶けなければ
水溶液になりません。だからアジサイの根っこが吸えないため
赤色の花を咲かせる確率が高まります。

ではどうすればアルミニウムが水に溶けないのでしょう?
土壌中の水分が少なければアルミニウムは溶けませんよね。
食塩があっても、周りに水がなければ食塩水にならないのと同じ理由です。

だから水不足気味でアジサイを育てることで
土壌中のアルミニウムが水に溶けにくくなり、
結果として赤色のアジサイの花を咲かせる可能性が高まります。
でも、水不足だとアジサイが枯れる可能性もあるので自己責任でお願いします。

また、水不足を利用して赤色の花を咲かせるより
先ほど解説したようにピートモスや専用土を使った方が安全だと思いますよ。
ピートモス約15L
赤アジサイの土 5L プロトリーフ 培養土

(2)リン酸固定を利用する

アジサイ 色 土壌 赤

土壌中にリン酸が多いとアルミニウムが
根っこから吸収されにくくなり、赤色の花を咲かせやすくなります。

これをリン酸固定といいます。

リン酸を多く含む肥料を利用し、
土壌中のリン酸含有量を増やします。

すると、リン酸は土壌中に多く含まれるカルシウムやアルミニウムや鉄と結合します。
リン酸と結合したアルミニウムは水に溶けにくいという性質があります。
なので、アジサイの根っこからリン酸と結合したアルミニウムを吸収できません。

結果、アジサイのアントシアニンとアルミニウムが反応できないので
赤色の花を咲かせます。

つまり

肥料としてリン酸を使う
⇒リン酸が土壌中のアルミニウムと結合
⇒水に溶けにくくなる
⇒アジサイの根っこからアルミニウムを吸収できなくなる
⇒アントシアニンと反応できない
⇒アジサイの花が赤色になる

というメカニズムです。

ではリン酸含有量の多い肥料にはどんなものがあるのでしょう?
例えばこちらの肥料はリン酸含有量が高いです。
花ごころ クリスマスローズの肥料 700g

逆に青色の花を咲かせたいなら
リン酸含有量の少ない肥料を使いましょう。

鉢植えでなく庭(地植え)で赤色の花を咲かせるなら土壌は

(1)肥料を利用する

紫陽花とカタツムリ

先ほどピートモスや専用土ならアルミニウムが入ってないから
赤色の花を咲かせることができるといいました。

鉢植えだったら理屈通り赤色の花が咲くと思います。
でも、庭(地植え)だと理屈通りに赤色の花が咲くとは限りません。

どうしてか?
たとえば、アジサイを植えた周辺の土だけ
ピートモスを使っても、さらに外側はアルミニウムだらけの土壌だからです。

繰り返しになりますが、
日本の土壌は酸性寄りであり、アルミニウムが多いです。
ピートモスを使った土の周辺はアルミニウム水溶液が存在します。

もし雨が降ったらどうなるでしょう?
ピートモス周辺にあるアルミニウム水溶液がアジサイ近くにやってくる可能性が高いです。

アジサイ

結果、半径1m以内なのに、あるアジサイは青色の花、あるアジサイは赤色の花みたいに
まだらな花の色になるという現象が起こります。

では地植え(庭植え)の場合、どうすれば赤色の花を咲かせることができるのでしょう?

アジサイの花の色は土壌のpHが

6.0~6.5と高めなら赤色
・5.5~6.0くらいだと紫色
・5.0~5.5と低めなら青色

と書きました。

ということは少しでも土壌のpHを上げる努力が必要だということです。

pHと肥料の関係

・pHを低くする(酸性に向かわせる肥料)
⇒硫酸カリ、塩化カリウム、硫安

pHを高くする(アルカリ性に向かわせる肥料)
⇒硝酸ソーダ、硝酸石灰、石灰窒素

です。

上記肥料の中でもpHを高くするような肥料である
硝酸ソーダ、硝酸石灰、石灰窒素を利用することで
赤色の花を咲かせる確率が高まります。
硝酸カルシウム (硝酸石灰4水塩)

(2)植える場所を意識する

アジサイ

「肥料を使いすぎても、かえって枯れるかもしれないから怖い」という方、
気持ちわかります。

私は獣医なので、ペットにお薬を使いますが
いつも副作用が出ないか心配しますからね。
当ブログ管理人のプロフィールはこちら

そんな場合には植える場所を工夫しましょう。
コンクリートの真ん前でアジサイを育ててください。

コンクリートには石灰が含まれています。
雨が降るとコンクリート中の石灰が溶けるため
土壌のpHが高くなりやすいです。

結果、アジサイの花の色が赤色になりやすいです。
これなら肥料のことを考えなくても
毎年赤色の花が咲きやすくなるでしょう。

ただこの場合、「今年は青色の花にしようかな」と思っても無理です。
コンクリートが近くにあるため
どうしても土壌のpHが高くなりがちだからです。

秘密のグッズを使ってアジサイの花の色を赤色にする方法

卵の殻

卵の殻を使うことでアジサイの花の色を赤色にすることができます。
やり方は簡単。
まず卵の殻をきれいに洗います。
次に殻の内側についた薄皮を取り除き乾燥させます。

次に臼などを使ってゴリゴリと殻を砕き、粉にします。

卵の殻

この粉をアジサイ周辺にばらまくだけです。
卵の殻には炭酸カルシウムというアルカリ性の成分が含まれています。
だから粉にした卵の殻をばらまくとアジサイ周辺のpHは高くなり、
赤色の花が咲きやすくなるのです。

アジサイ

もし青色の花を咲かせたいなら
卵の殻を使わないでくださいね。

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アジサイの花の色を赤にするための土壌の条件とは?まとめ

アジサイ 色 土壌 赤

アジサイの花の色を赤色にするための方法について解説しました。

アジサイの花の色を赤色にする条件は本質的に

・土壌中にアルミニウムがあるか
・土壌中に水分が多く含まれるか
・アジサイにアントシアニンが含まれるか

この3点が重要です。

土壌中のアルミニウムが水分に溶け水溶液になり
アジサイに吸収され、アントシアニンと反応することで青色の花を咲かせます。
逆に上記条件を1つでも断てば、赤色の花になる可能性が高いです。

でも、そもそもアジサイにアントシアニンが含まれていなければ
花は青色にも赤色にもなりません。
アントシアニンがないアジサイの花は何色になる?

あと土壌中のpHの条件はあくまでも
赤色になりやすい、青色になりやすいというだけの話であって
確実に赤色や青色にと、色をコントロールする効果としてはちょっと弱い気がします。

以上で解説を終わります。