・白色
・赤色
・青色
・紫色
など、いろんな色がありますよね。
「赤色のアジサイの花を咲かせるために土壌のpHを・・・」
みたいな記事を見かけませんか?
私は獣医師なので、犬や猫の尿のpHを調べる機会がよくあります。
なのでpHという言葉を見るだけでビクンと体が反応してしまいます(苦笑)。
青色や赤色のアジサイの花を咲かせるために
土壌のpHをアルカリ性にしてとか酸性にして
みたいな話はよく見かけますね。
では白色のアジサイの花を咲かせるために
土壌など気をつけるべき点はあるのでしょうか?
解説したいと思います。
目次
アジサイの花の色と土壌の関係
先ほど、
・白色
・赤色
・青色
・紫色
があるといいました。
となると、自宅の庭に「青色のアジサイの花を咲かせたい」
と思ったら、ネットショップなどで『青色のアジサイ』の苗を買う人もいると思います。
⇒【開花株】アジサイ(紫陽花・あじさい) テマリテマリ ブルー 5号鉢植え【22年入荷株】
そして庭に苗を植えたとします。
でも、庭の土壌の状態しだいでは赤色の花を咲かせることがあります。
どうしてだと思いますか?
アジサイには『アントシアニン』という物質を持っています。
そして土壌にはアルミニウムが存在します。
土の中っていろんな物質が入っているんですよ。
・ケイ素
・アルミニウム
・鉄
・カルシウム
・カリウム
・ナトリウム
・マグネシウム
などの成分が含まれています。
なので、アルミニウムって土壌中の成分の中でも第2位くらい多く含まれているわけですね。
これはたいていの土の中で当てはまります。
ここまでまとめると
・紫陽花にはアントシアニンが含まれている
・土壌中にはアルミニウムがたくさん含まれている
ところでアジサイに含まれるアントシアニンって何でしょう?
簡単にいったら自然に存在する色素のことです。
人工的なものだったら絵の具ですよ。
これに対してアントシアニンは自然にできた色素です。
・だいだい色
・赤色
・紫色
・青色
などに色が変化します。
じゃ、どうなったら色が変化するのでしょう?
・アルミニウムなどの金属イオン
・pH(酸性とかアルカリ性)
・温度(暑い、寒い)
・酸素(酸化還元反応)
などがあります。
アジサイの花の色は自身に含まれているアントシアニンと
アルミニウムが化学反応を起こすことで変化するといわれています。
アントシアニン(アジサイに含まれる自然の色素)+アルミニウム⇒花の色が変化
ここまでよろしいでしょうか?
先ほど、アントシアニンによって
・アルミニウムなどの金属イオン
・pH(酸性とかアルカリ性)
・温度(暑い、寒い)
・酸素(酸化還元反応)
と書きました。
だから土壌中にアルミニウムがあるだけで
アジサイの花の色をコントロールできるわけではありません。
たとえば、pH。
pHが7より小さいと酸性で7より大きいとアルカリ性です。
・pH6.0~6.5くらいだと土壌中に存在するアルミニウムは溶けにくい
・pH5.0~5.5くらいだと土壌中に存在するアルミニウムは溶けやすい
です。
つまり、土壌中のpHが低い方がアルミニウムが土の中に溶けやすく
結果、アジサイがアルミニウムを吸収し、アントシアニンと反応しやすいってことですね。
逆にpHが高い方がアルミニウムが溶けにくいです。
溶けにくいってことはアジサイがアルミニウムを吸収しにくいので
アントシアニンと反応しません。
「もしかしたらアルミニウムが溶けることが
どうアジサイによる吸収と関係しているんだろう・・・」
と疑問に感じた方もいるかもしれませんね。
たとえば食塩水を想像してください。
水の中に塩が溶けているから
私たちは飲んだら塩っ辛いって感じるわけじゃないですか。
この状態だと私たちはコップの水を飲んだら塩を吸収できます。
でも、塩がもし水に溶けなかったら
コップの下の方に塩がたまっているだけです。
となったら私たちがコップの水を飲んでも、
塩っ辛くないはずです。
ということは私たちは塩を吸収できていませんね。
ここまで理解できたら水を土壌、塩をアルミニウムに置き換えると
理解できると思います。
大丈夫でしょうか?
そして初期状態のアジサイに含まれるアントシアニンはピンク色(赤色)です。
アルミニウムとアントシアニンが反応すると青色になります。
初期状態のアジサイは赤色、ピンク色だけど、
アルミニウムと反応すると青色に変化する。
・土壌のpH6.0~6.5くらい
⇒アルミニウムは溶けにくい
⇒アジサイがアルミニウムを吸収できない
⇒アントシアニンと反応しない
⇒色が変化しない(ピンク色、赤色のまま)
・土壌のpH5.0~5.5くらい
⇒アジサイがアルミニウムを吸収する
⇒アントシアニンと反応する
⇒色が青色に変化する
ということで土壌のpHが5から5.5と酸性側に傾いた方が
アジサイの色が青色に変化しやすくなるということです。
小学生のころ、リトマス試験紙でアルカリ性だったら青色、
酸性だったら赤色に変化するって習った方もいると思います。
でもアジサイの場合、土壌が酸性側に傾くと青色の花が
アルカリ性に傾くと赤色(ピンク色)になりやすいです。
リトマス試験紙とアジサイの花の色は逆ってことですね。
そろそろ庭の #アジサイ も賑わってきました☺
アジサイの色って、土壌のpHによって変わるらしいですね。
(品種にもよりますが)
酸性なら青。アルカリ性なら赤になるそうです。リトマス試験紙とは逆ですね。4~5月あたりに鹿沼土や苦土石灰で調整することで色のコントロールができるみたいです☺️ pic.twitter.com/tT0X5BlsNr
— 池袋スイーツ侍 (@ike_sweets_smr) June 10, 2020
ここまでアジサイの花の色が赤色、青色の話ばかりしてきました。
では白色のアジサイの花って土壌と関係しているのでしょうか?
アジサイの白い花と土壌は関係している?
ここまでアジサイに含まれるアントシアニンは赤色の色素であって
土壌中のアルミニウムと反応すると青色に変化するって解説しましたね。
そして土壌中のアルミニウムはpHが低い方(酸性側)の方が
アジサイに吸収されやすいって解説しました。
ここまでの解説では白色のアジサイはまったくといっていいほど
登場していませんよね。
それもそのはず。
白色のアジサイは赤や青のアジサイとはまったく種類が違うのです。
どういうことか?というと、白色のアジサイはアントシアニンを最初から持っていません。
・青色や赤色の花を咲かせるアジサイ・・・アントシアニンを持っている
・白色の花を咲かせるアジサイ・・・アントシアニンを持っていない
だから、白色のアジサイの花を咲かせようと思ったら
アントシアニンを持っていない品種を購入するしかないわけですね。
「どんな品種がアントシアニンを持っていないの(白色の花を咲かせるの)?」
と思った方も多いでしょう。
結論として『アナベル』という品種のアジサイは
アントシアニンを持っていませんから白色の花を咲かせます。
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もっというと、白色の花を咲かせるアナベルという品種はアントシアニンを持っていませんから
土壌中のアルミニウムの影響もうけません。
アルミニウムをアジサイが吸収してもしなくても
アントシアニンがないので、色が変化せず白色のままです。
なので、土壌など、外部の影響を受けることなく
白色のアジサイの花を咲かせることができます。
ただ、アナベルという品種はクロロフィルという成分の影響で
咲き始めのころは薄い緑色をしていることが多いです。
でも成長していくうちに真っ白な花に変化していきます。
白色のアジサイの花が紫色っぽくなってきた対策はある?
ここまでアナベルという品種のアジサイを植えたら
確実に白色の花を咲かせると解説しました。
でも、まれに白いアジサイが咲くはずなのに
薄い紫色が花に混ざることがあります。
どうしてでしょう?
色の変化を楽しみたいなら最初から赤色や青色のアジサイを購入すると思います。
色が白色のまま変化しないアジサイを購入したのに
薄い紫色が混ざってしまうと「あれ?やっぱり土壌のpHが関係しているのかな?」って
不安になってしまいますよね。
白色のアジサイの花が紫色っぽくなる理由(1)買ったアジサイが白色でなかった
あなたが買ったアジサイがもともと白色でなかった可能性があります。
ネットショップならしっかり確認できると思います。
以下のように『アナベル』とか『白』といった文字が入っているものを
しっかり選びましたか?
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もともと青色のアジサイであっても
日光に当たる時間が短いと色が薄くなってしまい
白っぽい花が咲くケースがあります。
アジサイって梅雨の時期に花を咲かせるため
ずっと曇りとか雨だと日光に当たる時間が極端に短くなり
白っぽい花を咲かせることがあるのです。
逆に2022年みたいに観測史上初くらいの勢いで
梅雨が最短で明けるような年だと、青いアジサイは青くなると思います。
名古屋地方気象台は27日、東海地方が梅雨明けしたとみられると発表しました。期間は観測史上最短の13日間で、時期は1963年の6月22日に次ぐ早さでした。https://t.co/0Ur5DVre5M
— 中日新聞 (@chunichi_denhen) June 27, 2022
このケースは白色のアジサイを買ったつもりが
実は青色だったというケースなので、
対策としては『次は白色の花を咲かせるアナベルという品種を買う』しかありません。
白色のアジサイの花が紫色っぽくなる理由(2)自然現象
白色のアジサイの花が紫色っぽくなる理由の2つ目は
自然現象が考えられます。
いくらアナベルという品種でも
少しは花に色がつくことがあります。
土壌中のpHが高めだと薄いピンク色が
低めだと薄い紫や青色が混ざることがあります。
これは自然現象なので、人間側がどうこうすることはできません。
以上で解説を終わります。
ところでアジサイには毒があると言われています。
人間だってアジサイを食べると嘔吐などの症状が出ることがあります。
そんな毒をもつアジサイにカタツムリが乗っているケースを
見かけたことがありませんか?
次の記事ではその辺の話について解説したいと思います。
⇒紫陽花には毒があるのになぜカタツムリはいるの?【獣医師解説】