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学術

被子植物の生殖方法についてわかりやすく解説

被子植物の生殖




前回の記事では被子植物の生殖方法を理解する前提となる、
シダ植物の増え方について解説しました。
シダ植物の増え方について図を使ってわかりやすく解説

今回の記事では被子植物の生殖方法について
図を使いながらわかりやすく解説していきたいと思います。

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被子植物の生殖の前提となる葯と胚珠の由来

被子植物にはどんな名前の植物があるか知ってますか?

「えーっと・・・」みたいになる方もいるかもしれせん。
でも、あなたが想像する植物の大半は被子植物です。

被子植物をまとめたリストがあるのでこちらをご覧ください。
被子植物一覧

とはいえ、一例を示しますと

セキチク

セキチクは被子植物です。
セキチクの花の特徴と名前の由来

で、ですね。
被子植物だって子孫を残していかないと
絶滅してしまいますよね。
ということは被子植物だって繁殖活動をしているわけです。

では被子植物はどうやって、どんな場所で繁殖していると思います?
被子植物は『花』で繁殖活動をしています。

セキチクの花

じゃ、花って何でしょう?
「花ってきれいなあれでしょ!?」
みたいに思った方もいるかもしれませんね。

まぁ間違ってはないのですが・・・
花はもともと葉っぱが形を変えたものです。

将来葉っぱになることが決まっている芽を葉芽(はめ)といいます。
ところが、葉芽は植物ホルモンによって花芽(かが)に変わってしまうのです。

ちなみにですが、将来葉っぱになるはずだった葉芽を
花芽に変えてしまう魔法みたいな植物ホルモンですが、
具体名はフロリゲンとなります。

たとえば、雌しべはもともとはメスの胞子葉で
雄しべはもともとはオスの胞子葉です。

胞子葉とは胞子を作る葉っぱのことです。

胞子っていうのはそれだけで新しい個体になれる細胞のことです。

ここまでまとめますと、
雌しべはもともとはメスの胞子葉で
雄しべはもともとはオスの胞子葉だったということは
雌しべも雄しべも最初は葉っぱだったってことですね。

普段、軽く見ているだけだと「キレイな花だな」ですけど、
もともとは葉っぱだったものを
魔法の液(フロリゲン)で花になり、一部が
雄しべや雌しべに変わり、
自分の子孫を残していくなんて、深く考えるとなんかすごい話ですね。

シダ植物の成長

ところで前回、シダ植物の生殖方法について解説しました。
シダ植物の増え方について図を使ってわかりやすく解説

シダの葉っぱの裏に胞子のうがあるのでしたね。
この胞子のうが雄しべに置き換わったらどうなるのでしょう?
単純にいうと、葉脈だけ残って胞子のうだけがいくつかぶら下がっている感じです。
これがさらに簡略化されていき、被子植物における雄しべになったといわれています。

ノイバラの雌しべ

そんなこともあって、雄しべの胞子のうの部分を葯(やく)といいます。
葯についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
雄しべの先端部分の名前は?役割は?

では雌しべの由来はどうでしょう?
シダ植物の胞子のうが折りたたまれ中に封入されてしまい
最終的に雌しべになりました。
だから雌しべの中に胞子のうがおさまっています。

この雌しべにおいて胞子のうに当たる場所を胚珠(はいしゅ)と呼んでいます。

こんな感じで雌しべも雄しべもシダ植物だったころは
もともと胞子のうを持った胞子葉でした。

これがある程度分化してオス的な胞子のうを持った葯と
メス的な胞子のうを持った胚珠に分化しました。

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被子植物の生殖方法(雄しべに関係する部分)

以下の図は雄しべの先端についている葯(やく)の中のものだと思ってください、

胞子

まず上記図の左上の『2n』のところがスタートです。
これはこれから減数分裂をして胞子になる細胞ということになります。
この『2n』の細胞を雄しべの葯にある細胞なのに
花粉母細胞(かふんぼさいぼう)といいます。

雄しべなのに『母』がついてます。
すっごくまぎらわしい受験生泣かせの細胞ですね。

胞子

話を元に戻します。
2nの花粉母細胞が減数分裂をしたら、減数分裂ですから
4個のnの細胞になります。
これを花粉四分子(かふんしぶんし)(図の右上)といいます。
これはもう立派な胞子です。

この花粉四分子がバラバラになると花粉細胞(図の右下)となります。

「減数分裂って何?」
という方はこちらの記事をご覧ください。
減数分裂の特徴を体細胞分裂と比較して分かりやすく解説
減数分裂の細胞周期について図を使ってわかりやすく解説

花粉四分子と花粉細胞の違いは成熟の度合いになります。
花粉四分子はまだ若いレベル、花粉細胞はちょっと成熟した感じです。
ただ花粉四分子も花粉細胞もどちらも雄の胞子になります。
シダ植物とまったく同じです。
シダ植物の増え方について図を使ってわかりやすく解説

胞子のうの中で減数分裂が起きて胞子ができます。
でも、被子植物は進化しているから雄的な生殖をします。

そしてこのあとシダは胞子のうから出て前葉体になります。

胞子

ですが、被子植物の場合は、葯の中でふ化してしまいます。
核分裂をして大小2つのnの核になります。
さらに大きい方の核の周りに細胞膜ができます。
これを膜形成といいます。

すると大きな細胞(ややこしいですが、大小2つのnを囲む細胞)の中に
小さな細胞(といっても大小2つの細胞のうち大きい方の細胞を指します)があるので
多細胞と学問的にはされています。

これが雄の前葉体ということになります。

胞子

ちなみに膜のある中の細胞(大きい方の細胞)を雄原細胞(ゆうげんさいぼう)といいます。
若い精子ということです。
若いというのは受精能力がないということです。

そしてこの状態のものを精子を持っているから配偶体と呼ばれます。
また、精子を持った雄ですから花粉ということになります。
雄の前葉体が花粉の正体といえます。

つまり、花粉は雄だということです。

このように胞子のうの中で雄を作ってしまうというのが被子植物です。
シダ植物は外で前葉体を作るわけです。

では雌の場合はどうなるのでしょう?

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被子植物の生殖方法(雌しべに関係する部分)

雌しべに関する部分は胚珠が関係します。

胚のう母細胞

胚珠は植物の雌しべの中にあります。
上記図の左上で、形としてはつぼ型です。
中に2nの細胞が入っています。
これは葯と最初はまったく同じですね。
葯は花粉母細胞でしたが、こちらは胚のう母細胞です。

胚のう母細胞はすぐに減数分裂をします。
まず2nの細胞が減数分裂で大小の細胞に分かれます。
第2分裂で全部で4つになりますが、3つが退化します。
1個だけnの細胞が残ります。

これは卵形成とまったく同じです。

胚のう母細胞

すると見かけ上は変わりませんがつぼ型の胚珠の中にnの細胞が1個残ります。
これが雌の胞子となります。
これを胚のう細胞といいます。

先ほど解説した花粉(雄)と同じで、
この場合、胚のう細胞(雌の胞子)がふ化します。

胚のう母細胞

そうやってできあがったのが胚のうとなります。
nの細胞が核分裂だけして核が8個できます。
これを多核体といいます。

そして最終的に膜形成をします。
膜形成をすると、上に核が3つ、中央に2つ、下に3つできます。
そしてそれぞれに膜ができます。
こうやってできあがったものが胚のうです。

重要なのは入り口にある細胞が『卵細胞』です。
卵細胞の両隣にあるのは助細胞(じょさいぼう)です。
助細胞は受精を助ける役割があります。
中央にある細胞が中央細胞です。
中央細胞は核が2個あるのが特徴で極核といい、n+nです。

それから下の3つは前葉体の名残で反足細胞(はんそくさいぼう)といいます。

次に重複受精が起こります。

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被子植物の生殖方法(重複受精)

重複受精ですが、まず受粉が起こります。

重複受精

雌しべの先端部を柱頭といいますが、
この柱頭に花粉がつきます。

ちなみに風で運ばれて受粉するパターンを風媒花(ふうばいか)といいます。
稲が代表です。

虫が運ぶパターンを虫媒花(ちゅうばいか)といいます。
虫媒花はミツバチが運ぶケースが多いですね。

何が花粉を運んでくるかで虫媒花、風媒花というわけですね。

さらに鳥媒花とかコウモリ媒花なんかもあります。

花粉を受粉すると花粉が大人になります。
受精可能な精子を作ります。

重複受精

柱頭の上に花粉がありますが、花粉が急に伸び始めます。
それを花粉管(かふんかん)といいます。

そして大きい方(雄原細胞)は2個に体細胞分裂します。
これを精細胞といって受精可能な細胞です。
なので、精細胞はnのままです。

そしてどんどん花粉管が雌しべの中を伸びていきます。
そして最終的に助細胞の助けを得て受精をします。

2個の精細胞のうち1個(n)は卵細胞(n)と受精し受精卵(2n)となり、
もう1つの精細胞(n)は中央細胞(n+n)と受精し胚乳核(3n)ができます。
こうやってダブルで受精するから重複受精といいます

ちなみに記事解説中、精細胞のことを精子といったりしましたが、
これは理解しやすさを重視した結果です。
実際には精子はありません。
精細胞は精子ではありません。

精細胞というのは陸上への適応によりできたといわれています。
シダは精子が卵に泳いでいきます。
この場合、水が媒介しています。
水がないと子孫を作れません。
でも、裸子植物や被子植物は花粉を作ります。
花粉を作ると、花粉管を伸びていき卵細胞まで精細胞を送ります。
だから水を伝って泳ぐ必要がありません。

ということは水と縁を切った感じです。
こんな感じで被子植物や裸子植物は陸上の乾燥した場所で
最適化されていると考えることもできますね。

水を媒介しないので子孫を残す確率が高まりますからね。

重複受精が終わると次に種子形成が起こります。

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被子植物の生殖方法(胚や胚乳ができる!)

重複受精が終わると、もう精細胞は不要になるので、
以下の図のように閉じます。

種

そして2nの受精卵と3nの胚乳核をもった細胞(中央細胞)ができます。
そして2nの子供が成長します。
これを胚発生といいます。

まず大小の細胞に不等分裂(ふとうぶんれつ)します。
これは植物の特徴です。
小さい方の細胞は胚になります。
大きい方の細胞は胚柄(はいへい)となります。

種

最終的に胚柄は退化してなくなります。

そして胚軸(将来の茎の部分)などができます。

一方、3nの方は、
どんどん体細胞分裂します。
そして栄養分が次から次へと送り込まれ、巨大化し3nの胚乳になります。

以下に続きます。

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被子植物の生殖方法(種皮ができる!)

種皮

3nの胚乳ができた後、上記図のようになります。

種皮、胚乳、胚をまとめて種子といいます。
種皮は珠皮が原型です。

胚乳がある種子は特に有胚乳種子といいます。
柿の種や穀物が代表例です。

種皮

さらに外側は果皮(かひ)となります。
果物でいったら食べるところです。

種皮

それから上記図で先端部はもともと雌しべの柱頭部分だった部分です。
たとえば、トマトの先端の尖っているところはもともと雌しべの枯れ残ったところです。

種皮

そして果皮と種子をあわせて全体を果実といいます。

これで終了です。
シダ植物よりも複雑でしたね。

ちなみにこの記事では有胚乳種子で説明しましたが、
違うタイプの種子もあります。

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有胚乳種子と無胚乳種子

種子には

・有胚乳種子(胚乳を持っている)
・無胚乳種子

があります。

無胚乳種子は胚乳が発達せずに子葉に栄養分を蓄えるタイプのことです。
だから無胚乳種子は胚乳を持っていません。
無胚乳種子の代表例はマメやドングリです。

無胚乳種子を食べているといっても食べている部分は子葉ということになります。

以上で被子植物についての解説を終わります。