以前の記事でクスノキの特徴について解説しました。
⇒クスノキの特徴は?
今回の記事ではクスノキの葉っぱ
はどんなことに利用されているのか?解説します。
クスノキの葉は何に利用されてきた?
(1)心臓病の薬として利用
まず以下の記事をご覧ください。
以下Wikipediaより引用
クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると結晶として得ることができる。
以下Wikipediaより引用
かつては強心剤としても使用されていたが、今日ではその用途にはほとんど用いられなくなった(現在ではアドレナリン作動薬が工業的に大量生産できるため、それらが用いられる)。しかし現在でも、「駄目になりかけた物事を復活させるために使用される即効性のある手段」を比喩的に”カンフル剤”と呼ぶことがある。
以上、wikipediaから引用しました。
このようにクスノキの葉っぱの成分はその昔強心剤として利用されていたようです。
クスノキの葉っぱをもんだり傷つけたりすると
香りが出てくるのですが、この香りは樟脳(しょうのう)という物質です。
樟脳は別名カンフルといわれたりします。
昔は心臓病の患者さんに樟脳(カンフル)を利用していたようです。
カンフル〖kamfer〗
①クスノキから得られる昇華性の結晶。特異な芳香をもつ。防虫剤・局所刺激薬など用途は広く、化学的にも合成される。かつては強心剤としても用いられた。精製樟脳。
②「カンフル注射②」の略。 #daijirin— 🌚Vatanabe Takàjuki (@Segsyoxafu) December 28, 2018
私は獣医師として日々犬猫の診察をしています。
⇒当ブログ管理人のプロフィール
犬猫も心臓病になります。
私個人としては心臓病の薬を使うのでがクスノキの葉っぱの成分を
犬猫に処方したことはありません。
犬猫の場合、心臓病のお薬は
いっぱいあって、樟脳よりも効果的なものがいっぱいありますから。
また人間の医療でも現在はクスノキの葉っぱを
心臓病の治療薬として利用されてはいないようです。
そりゃそうですよね。
人間の医療だって心臓病の治療薬は
いっぱい開発されているので
わざわざクスノキの葉っぱを利用する必要はありませんからね。
(2)防虫剤
あなたの大切な衣服を害虫に食べられたことないですか?
例えばヒメマルカツオブシムシは毛皮を食べます。
@Crab_general 皮・絹・毛皮なんかがしまってあったりするとヒメマルカツオブシムシが沸いている可能性はあると思う。幼虫はアカっぽいちょっと毛が生えてる感じの姿。で、成虫は小さい赤っぽい甲虫
— ハムスター詩季 (@HamsterShiki) July 15, 2014
衣類を食べる害虫って先ほど解説した
クスノキの葉っぱから採れる樟脳の香りが嫌いです。
こういうのを忌避効果(きひこうか)といいます。
どういうことか?というと樟脳の香りで害虫が死ぬのではなく
樟脳の香りが嫌だから逃げていくということです。
もし樟脳の香りで害虫が死ぬとなると
もしかしたら人間にも悪影響が出るかもしれませんよね。
でも単純に害虫が樟脳の香りを嫌がるだけなら
人間にとって健康被害はないわけです。
実際、先ほど解説したように
樟脳は昔心臓病のお薬として利用されてきたくらいです。
なのでクスノキの葉っぱから採れる樟脳は
人や動物に危害を加えることなく
衣服を食い荒らす害虫を遠ざけるという効果があるということです。
樟脳は現在でも防虫剤として利用されています。
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一般家庭では箪笥の中に
樟脳の香りがするものを入れておき
害虫を遠ざけるようにしています。
また、お寺などではクスノキを素材にした仏像を造ったりして
そもそも仏像に害虫を寄せ付けないなどの工夫をしているところもあるようです。
【奈良・法隆寺/観音菩薩立像(7世紀前半)】国宝。像高179.9cm。木造。金箔押し。クスノキ材。木彫仏像の現存最古例。739年に法隆寺東院伽藍の夢殿に安置されたが、それ以前の所在は不明。 pic.twitter.com/uotOyl51XC
— 美しい日本の仏像 (@j_butsuzo) September 8, 2022
(3)肌荒れ防止
東京農業大学地域環境科学部 森林総合科学科 上原 巌先生によると
引用元URL:https://www.nodai.ac.jp/news/article/24600/
以下引用
クスノキの葉をビニール袋で24時間覆い、その香りをトラップします。寒天培地の上に大腸菌を置いたシャーレを20個準備し、10個のシャーレはそのままに、もう10個のシャーレにはトラップしたクスノキの香りを入れて置いておきます。すると、何もしなかったシャーレの中の大腸菌はぐんぐん大きく成長しますが、クスノキの香りの入ったシャーレの中の大腸菌はさほど大きくなりません。統計計算をすると、その有意差も明確に出ます。つまりクスノキの香りは大腸菌の成長を妨げることがわかります。普段何気なく眺めているクスノキですが、このような抗菌作用を持っているのですね。
以上引用終了
以下の内容の参考文献はこちらです
⇒https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18322727
上記引用元からわかるようにクスノキの葉っぱには抗菌効果があることがわかります。
例えば肌が荒れる原因にばい菌が考えられます。
ニキビの原因はばい菌ですからね。
そんなこともあって
クスノキの葉っぱに含まれる樟脳を含んだ肌荒れ用ローションが
販売されていたりします。
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(4)クスノキ自体は名前として利用されてきた
人名としてクスノキという名称が利用されてきました。
クスノキの葉っぱを利用したというより
クスノキという名前を利用したものになります。
樹齢2000年以上のものもあるくらいクスノキは長寿です。
大谷の樟【33】
須崎市の大谷地区 須賀神社内にあります。
樹齢約2000年、四国最大のクスノキです。
情報によると樹高18m、地上5mの周囲が16m。幹には空洞があって中に楠神を祀ってあります。健康増進に効果があるとか。 pic.twitter.com/y9Col6STwL— パラボラ (@JoHjaxw9MqwY6Rj) July 10, 2020
そんなこともあって、
長寿や延命を願って『クスノキ(楠)』という漢字を
昔から人名に利用されてきました。
たとえば南方熊楠は自身をクスノキの成長とリンクさせて
考えられていたようです。
トーテム思考に似ているが、南方熊楠は名前に楠が入っていることから、自分の生をクスノキの成長と結びつけて考えていた。北欧神話『ヴォルスンガ・サガ』に出てくる勇者Sigmundと同じ名前をつけられたフロイトが、ファロセントリスム的傾向を持つのは、この勇者との同一化が起きているせいか?
— 原田 忠男 (@harapion) December 16, 2013
今回の記事は以上になります。