前回の記事では植物の器官や組織の説明をしました。
⇒植物の器官と組織についてわかりやすく解説
表皮系って分かりやすかったと思います。
で、維管束系と基本組織系はわかりにくいです。
基本組織系は表皮系と維管束系以外を指します。
では維管束系の維管束とはいったいどんなものなのでしょう?
今回の記事では維管束とは何か、簡単に分かりやすく解説してみたいと思います。
維管束とは何か?簡単に説明します
維管束系は読んで字のごとくで
繊維の維です。
繊維の維っていうのは鉄筋コンクリート、
簡単にいうと鉄の筋だと思ったらわかりやすいでしょう。
これは何をイメージしているのか?というと、
植物の維管束は柱だと思ったらわかりやすいです。
ビルには柱がありますね。
ビルの柱の場合はまず構造を支えるために、
鉄筋には鉄の筋が入っています。
そして、ビルでは1階の人も20階の人もまんべんなく
水道やガスが使えるように、ガス管や水道管や電気の配線が
ところどころに入っているわけです。
ところで鉄筋という鉄の筋は引っ張る力には強いのですが
押す力には弱いです。
押す力に強いのはコンクリートです。
そこでコンクリートを入れます。
これは植物では柔組織(じゅうそしき)が担っています。
具体的には木部柔組織、師部柔組織です。
それから木部繊維、師部繊維は鉄筋で、導管や仮道管、師管はガス管や水道管に該当します。
導管や仮道管についてはこちらの記事で解説しています。
⇒植物の器官と組織についてわかりやすく解説
つまり人間がビルを効率よく利用するために
構造や機能を集約させた柱を作ったわけです。
そうやって人間が作ったビルの構造と同じようなものを
植物は自分の体の中で作っているわけです。
ビルの構造は植物の構造を見てできたといわれています。
ノーベル賞とれる天才たちが出てきて閃いて
発見したものもあるかもしれません。
でも、実際は動物や植物がやっていることを
人間社会にもってきて利用していることもあるのですね。
こんな感じで人間が何十年もかけて作った柱と同じようなものを
遠い昔から植物は体の中に持っているわけです。
だから植物にとって維管束って何?と聞かれたら、『柱』だと答えます。
もう少し簡単にいうと、維管束とは『丈夫な茎』を作るためのシステムだと答えます。
維管束があるから植物はシャキッと立ってられます。
草だって数メートルになるものもありますし、100メートルの木もありますが、
これらが倒れないでいられるのは維管束があるからです。
ただ丈夫なだけじゃなくて根っこから吸い上げた水を
数メートル上に葉っぱなどに与えないといけません。
ちなみに葉っぱから水分を吸収できるのはコケとか海藻しかありません。
それ以外の植物は根っこからしか水分が入ってきません。
話を元に戻して、水がなかったら光合成できませんからね。
⇒光合成の仕組みを図を使いながらわかりやすく解説!中学高校生物の復習
水が無かったら酵素が働けません。
酵素は水に溶けて働きますからね。
地上何メートルのにある葉っぱが光合成したり酵素反応したりするのは
水が根っこから運ばれているからです。
通る道は導管や仮道管です。
根っこは水分を取り上げて葉っぱに上げるために頑張っています。
また植物が倒れないために頑張っています。
逆に葉っぱでたとえば光合成をやりますね。
光と二酸化炭素と水を使ってグルコースを作りますね。
これを根っこの方に送るわけです。
でも、維管束の話でいうと、導管は通りません。
導管は水だけです。
葉っぱで作ったものを根っこや他の場所に送ります。
ちなみに葉っぱで作ったものを同化産物といいます。
同化産物とは葉っぱでなくてもいいのですが、
その植物が体の中で作ったもの、つまり水や水に溶ける無機物以外のもののことです。
この同化産物の通り道は維管束の話で言ったら師部、師管です。
師管を通って根っこまで行きます。
根っこだって生きているので、アミノ酸やグルコースなどの栄養が必要です。
もらった栄養を自分の体の一部にしたり、壊してエネルギーにしたりして
根っこは頑張って吸った水を導管を通して上の葉っぱや茎に送るわけですね。
そう考えると、植物は花が偉いとか葉が偉いとか
そんなことはないわけですね。
根っこだって偉いです。
植物の世界ではみんな平等なんでしょうね。
維管束とは?簡単にまとめます
最後にまとめますと、維管束って何?と言われたら
生物学的にいうと組織系の一種ですと答えます。
⇒組織系とは?なぜ植物にあって動物にないの?
維管束はどういう構造をしているの?と聞かれたら
木部と師部でできていて、
木部は維管束ですから、繊維の維で、管だから水を通す導管と仮道管、
それから鉄筋コンクリートのコンクリートの役目で柔組織でできています。
師部は師管があって、葉っぱでできた水以外の栄養を根っこなどに送るときの通路になります。
それから師管の横に伴細胞(はんさいぼう)というのがついていて、
この伴細胞がエネルギーを師管に渡して師管の中の物質の輸送をコントロールしています。
つまり、伴細胞と師管は必ず存在しています。
で、師部は師部繊維と師部柔組織でできています。
だから維管束とは、繊維と管(師管、導管)と柔組織の3つが集まってできた
丈夫な茎を作るための単位だということです。