この記事では植物における分化全能性とは何か?わかりやすく解説していきたいと思います。
分化全能性とは?

IPS細胞ってご存じですか?
角膜濁る病気にiPS細胞 視力回復目指す 慶大が研究を計画
目の表面にある角膜が濁る病気の患者にiPS細胞から作った細胞を移植して、視力の回復を目指す世界で初めての臨床研究を慶応大学のグループが計画しています。https://t.co/ikycT0Zbzl
— NHK生活・防災 (@nhk_seikatsu) June 13, 2021
こんな感じで、IPS細胞は角膜など、いろんな組織になることができる細胞です。
IPS細胞や植物でなく、動物や人間に利用されていますが、
植物の細胞はIPS細胞みたいにいろんな組織になることができます。
しかも、植物の細胞は最終的には完全な固体になることさえできるのです。
茎の細胞であろうが葉っぱの細胞であろうが、
それぞれの細胞が1つの個体を作ってしまう能力のことを分化全能性といいます。
植物の細胞に分化全能性があることは
1958年に植物生理学者スチュワードさんによって発見されました。

スチュワードさんはニンジンの根から
細胞を抽出し栄養物を含んだ液体につけてみたところ・・・
カルスができたのです。
カルスとは、根っこでもなく葉っぱでもなく花でもない
単なる細胞の塊のことです。
『細胞の塊』というのがミソです。
細胞1個1個じゃなくて、
細胞が塊になると、その塊は組織になり、
葉っぱになったり茎になったりします。
実際、スチュワードさんがやった研究では
根っこの細胞から完全なニンジンになったそうです。
これが植物の分化全能性です。

細胞の分化全能性の具体例は
当ブログでもたびたび登場している挿し木ですね。
挿し木は植物から枝だけを切り取って、
その枝を上記画像のように土に半分くらい埋めます。
すると、その枝からなぜか根っこができたり芽がでたりするのです。
植物の細胞ってすごいです。
動物や人間の細胞だと、受精したころの細胞だったら
肝臓の細胞になったり、骨の細胞になったりできます。
でも、赤ちゃんになったころには
骨の細胞が肝臓の細胞になったり、
肝臓の細胞が脳の細胞になったりしません。
でも、植物の細胞はどんな細胞でも
葉に茎にも花にもなれるんです。
これが植物の分化全能性です。
以上で植物の分化全能性についての解説を終わります。