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学術

ウェントのアベナテスト(オーキシン発見につながった実験)とは?

ウェントの実験




植物からオーキシンという物質を発見するまで、
ダーウィンさんやボイセン=イェンセンさんたちが
いろんな実験をしています。
ダーウィンがやった光屈性の実験についてわかりやすく解説
ボイセン=イェンセンの実験についてわかりやすく解説

ダーウィンさんやボイセン=イェンセンさんの実験のおかげで
植物が光に向かって屈曲して成長するにしても

・成長するのに必要な物質が植物の先端部分に存在すること
・先端から発生した物質は下側の伸長域に流れていること

がわかりました。

以上のことを前提にウェントさんが
オーキシン発見につながった実験をしています。

今回の記事ではオーキシン発見につながったウェントさんの実験について説明し、
アベナテストについてもわかりやすく解説していきたいと思います。

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ウェントの実験

ウェントの実験

ウェントさんはマカラスムギの幼葉鞘を利用して実験しました。
やったことは①としてまず、マカラスムギの幼葉鞘の先端を切って
③の寒天培地の上に置いておきました。

そして③寒天の上に置く時間を変えました。
5分とか10分とか15分とか。

で、寒天の上に置いておいた先端を
④みたいにマカラスムギの幼葉鞘の片側に置きます。

で、⑤みたいにどれくらい曲がったか観察します。
すると、先端を寒天の上に長く置いたものほど
より曲がるという結果が得られました

逆に短時間しか寒天の上に置かなかったものほど
ちょっとしか曲がりませんでした

寒天側が良く伸びる

つまり、幼葉鞘の曲がり方というのは
寒天側が良く伸びたということです。

よくわからない方はこちらの記事をご覧ください。
オジギソウの特徴(成長運動と膨圧運動の違いを知っておこう)

寒天自体は何も伸びる物質を持っていないわけですから、
寒天側から、伸ばす物質が上の方から降りてきたと考えるべきでしょうし、
実際、前回の実験でその辺はわかっているわけです。
ボイセン=イェンセンの実験についてわかりやすく解説

では、どれが伸ばす(成長させる物質)を出したのか?
というと、幼葉鞘の先端でしょう。

幼葉鞘の先端でできた物質が寒天側にしみこんだと考えるのが適切です。

寒天側が良く伸びる

しかも、③でより長く先端を置いておいた方が
よりたくさん、寒天側にしみこみ、
④みたいに置くと、たくさん作用して
⑤でたくさん屈曲して成長します。

逆に③で短時間しか寒天の上に先端を置かないと
④みたいに置いてもちょっとしか作用しないから
⑤であまり曲がらないと考えました。

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アベナテストとは?

で、ウェントさんは芽生え(幼葉鞘のこと)の先端部でできた
成長促進物質は寒天片に集めることができると推論しました。

そして寒天片に集まった濃度によって
芽生えが屈曲する度合いが違ってくると推論したのです。

成長促進物質の度合いによって屈曲が異なるということは
成長促進物質がたくさんあるものは寒天の上にしみこませれば
屈曲の角度が大きくなるということです。

ですから、逆に屈曲の角度が大きくなった寒天片の中には
この成長促進物質が濃く入っているということです。

つまり、屈曲の角度で成長促進物質の濃度を推察しようとしました。
これをアベナテストといいます

アベナテストのアベナとは
ウェントさんが使用したマカラスムギの学名です。
マカラスムギの学名のアベナをとってアベナテストと名付けました。

ただし気をつけてください。
前回解説したボイセン=イェンセンさんもマカラスムギを使っていますが、
彼の実験はアベナテストではありません。
ボイセン=イェンセンの実験についてわかりやすく解説

屈曲した角度が成長促進物質の濃度によってどれくらい曲がるか
という角度と濃度の関係を調べないとアベナテストとはいいません

だからマカラスムギを使って実験をしたからといって
何でもかんでもアベナテストというわけではありませんからご注意ください。

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オーキシン発見につながった実験まとめ

植物の屈性の実験として

・ダーウィン
・ボイセン=イェンセン
・ウェント

を説明してきましたが、それ以降もいろんな研究者が出てきました。
ダーウィンがやった光屈性の実験についてわかりやすく解説
ボイセン=イェンセンの実験についてわかりやすく解説

以後もいろんな物質をしみこませた寒天を利用して
植物が屈曲するかどうかを調べる実験が行われて行きました。

そうこうしているうちに人間の尿中から植物の成長促進物質が発見されたのです。
この物質のことをオーキシンと名付けられました。

その後、オーキシンは植物中に広く存在することがわかったのです。
だからウェントさんなどが「この辺に成長促進物質があるな」と推論を立てていたわけですが、
実はオーキシンという名前の植物ホルモンだった
わけですね。

ところで植物ホルモンって何種類あるか知ってますか?
現在、植物ホルモンは10種類近くあります。

ですが、高校の教科書レベルでは5種類くらいしか習いません。

高校レベルで習う植物ホルモンとして

・オーキシン
・ジベレリン
・アブシシン酸(アブシジン酸)
・エチレン(エチレンガス)
・サイトカイニン

の5種類です。

他にも植物ホルモンにはブラシノステロイドやジャスモン酸、
フロリゲン、ストリゴラクトンなどがあって現在も研究が続けられています。

植物ホルモンについては次の記事で詳しく解説します。
植物ホルモンとは?わかりやすく解説