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彼岸花の毒性まとめ【獣医師解説】




毎年9月のお彼岸の時期になると
赤色や白色の花を咲かせる彼岸花。

田んぼの端っこでよく見かけるのですが、
それは彼岸花に毒があるからです。

「何言っているの?」って思った方、
記事を最後までご覧いただければ
どうして田んぼの端っこに彼岸花を植えるか意味が分かります。

この記事では彼岸花の毒性について
植物の毒性について勉強している獣医師が解説します。
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彼岸花(ヒガンバナ)の毒性

彼岸花はどんな毒を持っている?

彼岸花には

・リコリン
・ガラタミン

を含む、20種類を超える有毒なアルカロイドが含まれています。
アルカロイドについては後で解説しますね。

彼岸花の毒性として恐ろしいものを
2つ挙げるとするとリコリンとガラタミンになります。

特にリコリンの毒性は強烈です。
リコリンが10000ミリグラム体内に取り込まれると命を落としてしまう可能性があります
致死量が10000ミリグラムということです。

では具体的に彼岸花にはどれくらいのリコリンやガランタミンが含まれているのでしょう?

彼岸花の球根1グラム当たり

・リコリンが0.15ミリグラム
・ガランタミンが19ミリグラム

含まれているといわれています。

ということは球根が仮に100グラムあったら、
そこにはリコリンが15ミリグラム含まれているってことです。
致死量が10000ミリグラムということなので、
球根を10000グラム食べてもリコリンは1500ミリグラムで致死量に達しません。

ですから彼岸花の球根を1個丸ごと食べたとしても
命を落とす確率は相当低いでしょう。

でも、リコリンが有毒な物質であることに変わりがありません。
球根を1個食べたとして致死量に達しなかったとしても
リコリンの毒で下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性が否定できません。
さらに呼吸困難や中枢神経麻痺などの中毒症状を起こすこともあるといわれています。

ですから、過信せず、絶対に彼岸花を食べないでください。

あと、リコリンの致死量が10000ミリグラムというのは大人の話です。
赤ちゃんや子供はもっと少ない量で致死量に達する可能性があるので
彼岸花の近くでお子さんが遊んでいる場合には
細心の注意を払ってください。

もし子供が彼岸花を食べたら中毒を起こし
命の危険が出る可能性があります。

野原に普通に花が咲いている植物で毒を持っているものとして
彼岸花以外にスイセンがあります。
スイセンは冬に花を咲かせます。
彼岸花の花が咲くのは9月ですけど、
スイセンみたいに冬にも危険な植物がありますから気をつけてくださいね。

彼岸花の毒成分であるアルカロイドとは?

彼岸花に含まれるリコリンは植物アルカロイドの一種です。
簡単にいうと植物に存在する有機化合物の一種です。

有機化合物については当ブログ管理人が制作している別サイトで詳しく解説しています。
興味のある方はご覧ください。
有機化合物とは?簡単に例を挙げながらわかりやすく解説

では植物に含まれる植物アルカロイドって何のために存在しているのでしょう?
いろんな役割がありますが、
動物に食べられないようにするという役割があります。
つまり、植物アルカロイドが動物にとって有害だから
自分自身(植物)が食べられないわけです

すべての植物アルカロイドが有毒というわけではありませんが
動物に食べられないように有毒なものも存在しているのです。

彼岸花に含まれるリコリンは植物アルカロイドの一種ですが、
ツツジ科のレンゲツツジも植物アルカロイドの一種である
グラヤノトキシンという有毒物質を含んでいます。
おかげで動物に食べられるのを防いで勢力を拡大していたりします。

それから種の中に白い粉があることから名づけられているオシロイバナですが、
オシロイバナにも植物アルカロイドの一種トリゴネリンという有毒成分が含まれています

彼岸花の毒はどこに存在する?

彼岸花の毒は

・花
・茎
・葉っぱ
・球根

どこにでも存在しています。

つまり彼岸花全体に毒があるので
食べても安全といえる部位はありません。

とはいえ球根は特に毒が多く含まれています。
だから球根は特に口に入れないようにお願いします。
といっても花も茎も葉っぱも口に入れないでくださいね。

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彼岸花(ヒガンバナ)の毒は触るだけでも危険?

彼岸花の毒はどの部位にでも存在します。
そういわれてしまうと彼岸花を触るのもためらってしまうでしょう。
もし触ったら「毒が全身にまわって中毒症状が出たらどうしよう・・・
嘔吐したり下痢したりしたらつらいな」って思ってしまうかもしれませんね。

でも、彼岸花を触る『だけ』なら特に問題はありません。
彼岸花を食べるのが問題であって触るだけなら中毒の危険はほぼないでしょう
ただ、一応彼岸花は毒を持っている植物なので、触らないことをおすすめします。

特に子供さんは触るだけといっても
思わず口に入れてしまう危険性があります。
なので、子どもさんには彼岸花を触らせない方が良いと思います。

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彼岸花(ヒガンバナ)の毒性と犬猫の関係

私は獣医師として日々犬や猫の診察をしています。
当ブログ管理人のプロフィール

ワンちゃんがお散歩中に
田んぼ周辺を歩いていて農薬を食べて中毒を起こして
命を落とすケースや
猫ちゃんが自宅で毒を持っている観葉植物を食べて
命を落とすケースをよく見かけます。

たとえばユリなんてよくありますね。

彼岸花を食べて命を落とす犬や猫はユリや農薬のケースより
経験的に少ない気がします。
でも、ゼロとは言い切れません。

彼岸花の毒であるリコリンは犬や猫にとっても有害です。
食べてしまうと命の危険が生じます。
犬の飼い主さんは彼岸花を見かけたら
避けて通り抜けるようにしましょう。

猫の飼い主さんは自宅に彼岸花やユリの花などを置かないようにしましょう。
お庭に彼岸花が咲いているようなら球根ごと抜いて除去しましょう。

彼岸花は3倍体といって種ができず球根で増えるという特殊な植物です。
なので球根ごと引っこ抜いて除去すれば
彼岸花を駆除することができますよ。

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彼岸花(ヒガンバナ)の毒性を逆手にとったうまい利用方法


記事の冒頭で彼岸花を田んぼの端っこに植える農家が多いと書きました。

彼岸花の球根に存在するリコリンという毒を本能的に嫌うため
モグラやネズミが田んぼに寄り付かないようにしているのです。

以上で彼岸花の毒性についての解説を終わります。



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