道ばたを歩いてたら、
ズボンのすそになんかくっついてる…。
「うわ、また引っ付き虫ついてるし!」
って経験、ありますよね。
それ、けっこうな確率でヤブジラミかもしれません。
セリ科の雑草で、夏前になるとひっそり咲く白い花──
そして何より、あのトゲトゲの果実で
服や犬の毛にぺったり…
地味だけど手強いヤツです。
この記事では、そんなヤブジラミの特徴を総まとめ!
よく似たオヤブジラミやヤブニンジンとの違い、
開花時期や分布、生える場所まで、
「そこ気になってた!」
というポイントを一気に解決していきます。
「ひっついたけど、これ何?」
「庭に増えてきたけど、どう対処するの?」
そんな疑問があったら、きっと役立つはず。
読めばきっと、草むらを見る目がちょっと変わりますよ!
目次
ヤブジラミとは?名前の意味と分類を解説
ヤブジラミは、服にくっつく
ひっつき虫の代表として知られる雑草です。
見かけたことはあるけれど、
名前までは知らなかった…という人も多いかもしれません。
この植物、実はセリ科ヤブジラミ属の二年草で、
日本全国の道ばたや空き地にふつうに生えています。
ちなみに二年草とは、1年以上たってから花が咲いて実ができ、
しかも2年以内に枯れてしまう植物のことです。
二年草の植物としてはほかにベニバナセンブリが有名です。
→ベニバナセンブリの特徴を画像付きでわかりやすく解説
「なんか面倒そうな名前だな〜」って感じですが、
名前にはちゃんとした理由があります。
具体的には、
「果実がシラミみたいにくっつく」から「ジラミ」。
「藪に生える」から「ヤブ」。
こうして、ヤブジラミという
ちょっとクセのある名前が誕生したわけです。
このあとは、分類や名前の由来について、
それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
ヤブジラミの学名と植物分類
ヤブジラミの学名は Torilis japonica(トリリス・ジャポニカ)。
ラテン語で「日本のトリリス属」って意味になります。
植物分類ではセリ科ヤブジラミ属に属していて、
セリやミツバと同じグループ。
だから葉っぱもどことなくセリっぽい切れ込みがあります。
また、二年草(越年草)として
春〜初夏にかけて花を咲かせ、
実をつけた後に枯れていきます。
この辺の情報は、オヤブジラミやヤブニンジン
などとの見分けポイントにもなるので、
ぜひ押さえておきたいところです。
なぜ「虱(しらみ)」?名前の由来に迫る
「ジラミってシラミのこと?え、マジで!?」
って思いますよね。…はい、マジです(笑)
実はヤブジラミの果実には
カギ状の刺毛がびっしり生えていて、
これが服や動物の毛にぺたっとくっつく構造になっています。
このくっつき方が、まるで昔の人が嫌っていた
「シラミ」にそっくりだったんです。
つまり、名前の「ジラミ」は
ひっつく果実を虫っぽく例えた表現なんですね。
ちなみに「ヤブ」は、
そのまんま「藪(やぶ)」に生えているから。
人があまり入らない、
湿った草むらなんかでよく見かけます。
今も昔も、見た目や性質から名前をつけるのは
変わらないんだな〜と、
ちょっと親近感がわいてきます。
ヤブジラミの特徴まとめ【外見・花・実】
草丈や葉の形など見た目の特徴
ヤブジラミは、パッと見だと
「ただの雑草かな?」って思うかもしれません。
でも、よく見ると意外と特徴がハッキリしています。
草丈はだいたい30〜70cmほどで、
思ったよりも背が高めです。
茎はまっすぐに立ち、先のほうで枝分かれしています。
葉っぱはちょっと複雑で、
「2〜3回羽状複葉」というタイプ。
ざっくり言えば、1枚の葉がさらに細かく分かれていて、
全体がギザギザした形をしています。
羽状複葉の代表選手はほかに
オジギソウが有名でこちらの記事で解説しています。
→植物が動くって本当?屈性と傾性の違いで解き明かす動きのメカニズム
話を元に戻しますね。
ヤブジラミの表面にはざらっとした短い毛が生えていて、
これがまた独特の手触りです。
この葉の形や手ざわりは、
他のセリ科植物と見分けるときにけっこう役立ちますよ。
続いて、あの白くて小さな花の話です。
白い小花が咲く時期と形状
ヤブジラミは、
5月から7月ごろにかけて白い花を咲かせます。
花はとても小さく、直径はわずか3mmほど。
近くで見ないと気づかないレベルです。
花は「複散形花序」という並び方で咲きます。
これは、小さな花の集まりがいくつも合体して、
全体として1つの大きな花のように見える構造です。
花びら(花弁)は5枚で、
外側のものが少し大きくなっているのが特徴です。
しかも先端が少しくるっと曲がっていて、
ちょっと不思議な形をしています。
地味だけど、ちゃんと個性がある花なんです。
次に、あのひっつき虫の正体を見ていきましょう。
ひっつく果実の構造と仕組み
ヤブジラミといえば、やっぱり実の部分ですよね。
服やペットの毛にくっついて、
「また何かついてる!」ってなるあれです。
果実は楕円形で、長さは2.5〜3.5mmほど。
表面にはカギ状に曲がった
トゲトゲがびっしりと生えています。
この構造が、服や動物の毛に
しっかり引っかかる秘密なんです。
実はこの仕組み、植物が自分の種を
遠くまで運ぶために進化させたものなんですよ。
果実は熟すと2つに分かれて落ち、
それぞれの種子が新しい場所で芽を出します。
自然って、本当にうまくできていますよね。
ヤブジラミはどこに生える?よく見かける場所
道ばたや空き地…生育しやすい環境とは
ヤブジラミって、ほんとにいろんなところで見かけます。
僕自身、4年前に草むらの中を観察していて、
偶然に撮影したのがこの写真です(↑このやつ!)。
場所は、ちょっと人目の少ない空き地。
草がぼーぼーに伸びていて、
「あ、ここ放置されてるな…」って感じの場所でした。
パッと見ではまったく目立っていません。
でも、しゃがんでよく見ると、
白い小さな花がぽつぽつ咲いていて、
そのまわりには、細かい切れ込みの
入った葉っぱがぎっしり広がっていたんです。
「あ、これヤブジラミだ!」
ってすぐにわかりました。
地面もやや湿っていて、日もよく当たっていたので、
「なるほど、こういう環境が好きなんだな」と納得です。
このあと、世界ではどんな場所に
生えているのか?を見ていきますね。
世界と日本での分布状況
日本では、北海道から沖縄まで、
全国どこでも見られます。
身近な道ばたから、ちょっとした空き地、
林のふちまで…本当にいろんな場所に生えているんです。
そして世界でも、ユーラシア大陸を中心に、
南アジアや北アメリカなど広い地域で確認されています。
中には、もともと自生していなかったのに
帰化植物として定着しているエリアもあるんですよ。
つまり、暑くても寒くても、
湿ってても乾いてても、生えてくるってことです。
これってつまり、かなりの適応力。
こんなふうに、
ヤブジラミは『ザ・雑草魂』を持った、
タフな植物なんです。
「なんか最近あちこちで見るな〜」と思ったら、
けっこうあるあるなのかもしれませんね。
ヤブジラミはいつ見られる?季節と開花時期
花が咲くのはいつ頃?
ヤブジラミの花は、早いと5月上旬から咲き始めます。
実際、僕が撮影したのも5月3日。
しっかり白い花が咲いていました。
「6月ごろから」と
書かれていることも多いですが、
場所やその年の気温によっては、
5月の連休中にもバッチリ咲いていることがあります。
咲き方はちょっとおもしろくて、
「複散形花序」というタイプです。
簡単に言うと、小さな花の集まりが、
さらに大きな花の集団になって咲いているイメージ。
ひとつひとつはすごく小さいですが、
まとまって咲くので案外目立ちます。
道ばたや林のふちで、
「なんか白いの咲いてるな〜」と思ったら、
近づいてよーく見てみてください。
もしかしたらヤブジラミかも。
じゃあ、そのあとのひっつき虫タイムは
いつ来るのか?見ていきましょう!
種が飛ぶタイミングと注意点
花が終わると、今度はあのトゲトゲの実が出番です。
気づいたら服やズボンにくっついてて、
「うわ、またか…」ってなるやつですね。
ヤブジラミの実は、7月〜8月くらいにかけて熟してきます。
表面には、カギのようなトゲがびっしり生えていて、
動物の毛や人の衣服にも、しれっとくっついてきます。
つまり、夏の散歩や草むら遊びのときは
ちょっと注意が必要です。
「えっ、また種ついてるやん!」
ってなる可能性、大です(笑)
でも、それもぜんぶヤブジラミなりの生きる工夫。
こうやっていろんな場所に広がっていくんですね。
「うわ、またついた〜」だけじゃなくて、
「お、これも植物の作戦か…」って思えたら、
ちょっと自然観察レベルが上がった気がしませんか?
ヤブジラミと似てるけど違う?オヤブジラミとの見分け方
ヤブジラミとオヤブジラミ、
名前も姿もそっくりで、
初見だと「ん?同じやつ?」ってなりますよね。
でも、ちゃんと見れば、
意外と違いははっきりしています。
ここでは、花の咲き方や実の形、
花の色、咲く時期のちがいなど、
見分けポイントをサクッと整理していきます!
花や果実の違いを図解で比較
まずは、花の咲き方から見ていきましょう。
ポイントは「花柄(かへい)」の数です。
※ちなみに花柄っていうのは、
花を支えてる細い茎みたいな部分のこと。
要は花の持ち手みたいなやつですね。
ヤブジラミ:花柄が多めで、花が密集して咲いています。
オヤブジラミ:花柄が少なくて、
花はちょっとまばらな印象です。
並べて見ると、
「あ、けっこう違うかも」となります。
そして、果実にも注目です。
ヤブジラミ:果実は小さくて緑色。
表面には不規則に刺毛(しもう)が生えています。
オヤブジラミ:果実はやや大きめで、
形は細長く、刺毛がきれいに列状に並んでいます。
色は淡い緑色〜やや白っぽいものが多く、
熟すと赤紫色を帯びることもあります。
※刺毛っていうのは、
あのトゲトゲのことです。ひっつき虫の正体ですね!
実際に並べて図で比較すると、
けっこうパッと見で差がわかるようになりますよ。
色や開花時期の違いもチェック
さらに見分けポイントになるのが、花の色と咲く時期です。
ヤブジラミ:花は真っ白で、
一般的には6月〜8月中旬ごろに開花します。
ただし、僕が撮影した写真(5月3日)ではすでに満開だったので、
場所や年によっては5月上旬から咲き始めることもありそうです。
オヤブジラミ:花はうっすらピンクっぽいことがあり、
咲くのは4月下旬〜5月と少し早めです。
つまり、春に咲いてるのはオヤブジラミ、
初夏に咲いてるのはヤブジラミって覚えておくと便利です!
いざ観察するときに、
「うーん、どっちだろ?」って迷うこともあると思います。
でも、こういうポイントを1つずつ押さえておくだけで、
だんだん見分けがついてくるようになりますよ!
「見分けゲーム」だと思って、
ぜひ次の散歩のときにチャレンジしてみてくださいね🌿
ヤブニンジンなど他の植物との違いは?
葉や実の形で見分けるポイント
ヤブジラミとヤブニンジンって、
パッと見かなり似てるんですよ。
名前もそっくりだし、同じセリ科だし、
「これ同じやつちゃう?」ってなります。
でも!よーく見ると、ちゃんと違いはあるんです。
まずは葉っぱ。
ヤブジラミの葉は、細かく切れ込みが入ってて、
ちょっとギザギザ。
「羽状複葉」ってタイプで、
小さい葉がいくつも並んでます。
それに対してヤブニンジンは、
葉っぱがもうちょい丸くて柔らかそうな感じ。
2回に分かれて3つずつ葉が出てる
「2回3出羽状複葉」ってタイプです(←急に理科っぽい!)。
次は実(=果実)の違い。
ヤブジラミの実は、小さくて丸っこい形。
しかも表面にトゲ(刺毛)がたくさんついてて、
服にぺったりつきます。いわゆるひっつき虫。
一方、ヤブニンジンの実は、細長い棒みたいな形。
トゲは少なめで、ぱっと見の印象がまったく違います。
つまり、葉っぱと実の形が決め手!
「どっちかな?」って迷ったら、そこに注目してみてください。
間違いやすい雑草リスト
似てるのはヤブニンジンだけじゃないんです。
他にも「えっ、これヤブジラミ?」ってなる草たちがいます。
たとえば…
オヤブジラミ:ヤブジラミの親っぽい名前だけど、
まばらに咲く花や、列になったトゲトゲの実が特徴。ちょっと大柄。
セントウソウ:葉っぱは3つずつ分かれてて、
ちょっとテカテカしてる。
春先に咲く白い花がポイントです。
どれもセリ科で似てるけど、
葉っぱ・実・咲く時期が違うので、
見分けるポイントはしっかりあります!
ちょっとした違いに気づけると、
野草観察がぐんと楽しくなりますよ。
「このギザギザ、どっちや…?」って葉っぱ見ながら、
自分なりの見分けスキル育ててみてください!
ヤブジラミに利用価値はある?
民間療法や野草利用の事例
ヤブジラミって、ただの「服にくっつくやつ」
で終わらせるにはもったいない存在なんです
。
実は昔から、民間療法の世界では
ちょこちょこ使われてた植物なんですよ
。
例えば、乾燥させた果実を
他の生薬と混ぜて、はちみつで練って丸薬にしたり──
「強壮作用がある」なんて言われたりもしてました。
さらに、腫れ物の薬として使っていた地域もあるそうです。
こういう話って、昔の知恵を感じますよね。
ただしここ、ちょっと注意です。
ヤブジラミには明確な毒性は報告されていませんが、
肌が弱い人はかぶれることがあるとも言われています。
野草として食べるのは、そもそも向いていません。
見た目が似た毒草もあるので、
「自己判断での食用」はやめておきましょう!
観察・教材としての価値
でも、ヤブジラミが本領発揮するのは観察用です。
あのトゲトゲの実、
よく見るとまるでマジックテープみたいなんですよ。
カギ型の刺毛が衣服や動物の毛にぴたっとくっつく。
そうやって種を遠くまで運んでもらうという、
超したたかな作戦なんです。
これ、生物の授業や自由研究のネタにぴったりです。
どこにでも生えてるし、探すのも簡単。
だからこそ、「身近な雑草でここまで面白いとは!」
って気づけるのが楽しいところ。
というわけで──
ヤブジラミ、なかなかやりますね。
「ただの雑草」って思ってたら損しますよ。
ぜひ一度、観察してみてください。
見る目が変わりますよ。
ヤブジラミの駆除方法と予防のコツ
引き抜き・除草剤の効果と注意点
「気づいたらめっちゃ増えてる!」
ってパターン、多いですよね。
ヤブジラミ、地味にしぶといんです。
まずおすすめなのは手で引っこ抜くこと。
土が湿ってるときなら、スルッと抜けて気持ちいいくらいです。
ただし、油断は禁物。
根っこがちょっとでも残ってると復活します。
なるべく根元からしっかり取るのがポイントです。
それでも追いつかないときは、除草剤の出番。
茎や葉に直接かけるタイプを使えば、
だいたい数日で枯れはじめます。
ただし注意!
風が強い日にやると、
周りの植物まで巻き添えになるかも。
小さなお子さんやペットが触れないように、
使ったあとはしっかり対策を。
「除草剤使ったのにまた出てきたんだけど!?」
って場合は、根が残ってるか、
種が飛んで再発してる可能性アリです。
再発を防ぐには?家庭でできる対策
ヤブジラミを本気でシャットアウトしたいなら、
「予防」がカギです。
まず、定期的な草刈り。
特に、花が咲く前(春〜初夏)にやると効果大!
種ができる前に刈っておけば、次の世代を断てます。
それでも生えてくるなら、防草シート。
シートの上に砂利を敷けば見た目もスッキリ、
再発もガードできます。
さらに、周囲の湿気対策も地味に重要。
ジメジメした場所を好むので、水はけをよくしたり、
日当たりを改善するだけでも育ちにくくなります。
というわけで、
ヤブジラミは「放っておくと地味にしつこい系雑草」ですが、
ポイントを押さえればしっかり対策できます!
ちょっとした手間で、庭も通路もかなり快適になるので、
気づいた今が始めどきです。
ヤブジラミの特徴と見分け方を総整理まとめ
さてさて、ここまでヤブジラミについて色々見てきましたが──
「ただのひっつき虫じゃないんだな…」って、ちょっと見直した人、多いんじゃないでしょうか?
名前の由来や学名、見た目や生える場所、
花の時期にそっくりさんの違いまで。
ここまで把握できたら、もう草むらマスターです。
ヤブジラミの特徴、
ざっくり振り返るとこんな感じ👇
・夏前あたりに白い花を咲かせる
・実はトゲトゲで、服とか毛にしっかりひっつく
・よく似た植物(オヤブジラミやヤブニンジン)とは、
葉っぱや実の形で見分けられる
・道ばたとか空き地とか、放置ゾーンに強い
・観察用としてはめちゃ面白いけど、食べるのはNG。
・毒性ははっきりしないけど、「とりあえず食べない」が正解
・で、「増えてきたな…」ってなったら、
引っこ抜いたり除草剤を使ったり、早めの対策がカギ
・花が咲く前に草刈りしておくと、次の年に増えにくくなり
というわけで、
ヤブジラミはうっかりくっついてくる厄介者かと思いきや──
知ってみると、けっこう面白いやつなんですよ。
今度ひっついたら、
ちょっと立ち止まって観察してみてください。
「お、ヤブジラミ来たな〜」って言えるようになったら、
あなたも立派な雑草博士です。