自然植物図鑑

6月下旬くらいになったら
どこに行ってもアジサイの花を見かけませんか？
それくらいのアジサイって育てやすい植物だということです。

でも、だからといって
完全に放置で何もしないとなると
うまくいかないことがあります。

たとえば、今回の記事のテーマでもありますが、
アジサイの葉っぱが丸まる（内側に巻く）とか。

健康なアジサイの葉っぱは上記のようにまっすぐです。

ではどうしてアジサイの葉っぱが丸まることがあるのでしょう？
この記事ではアジサイの葉が丸まる原因と対処法について解説します。

アジサイの葉が丸まる（内側に巻く）原因

唐突かもしれませんが、
あなたはアジサイに『水やり』していますか？
最後に『水やり』したのはいつでしょうか？

もし「あれ、そういえば水やりしてなかったっけ？」
となったら水不足が原因でアジサイの葉っぱが丸まっているのかもしれません。

この記事は2022年に書いたものなのですが、
今年は梅雨がものすごく短期間であけてしまいました。

アジサイは梅雨に咲く花です。
例年通りなら梅雨の時期は大量に雨が降ります。
だから外で育ててるなら水やりしなくても
アジサイの葉っぱは丸まらないでしょう。

でも、2022年のように梅雨が最速で明けるような年だと
水やりしないとアジサイは水不足になってしまうでしょう。

特に葉っぱが厚くない、薄めで柔らかいような葉っぱの植物ほど
水不足により葉っぱが丸まります。

アジサイも葉っぱが柔らかくて薄めです。

葉っぱが薄いとか柔らかいとか、
極端な例を見てみないとよくわからないかもしれませんね。

たとえば、朧月。
上記画像を見るだけでも、
明らかに葉っぱが厚くて、アジサイよりも硬そうですよね。

他にも

シロタエギクも葉っぱが厚くて硬そうですよね。

マツバギクも、上記画像のようにいかにも地面が干からびているような状況でも
葉っぱが硬くて厚いので、丸まるようなことはふつうありません。

こういった葉っぱが厚くて硬いような朧月、シロタエギク、マツバギクみたいなタイプだと
水不足が原因で葉っぱが丸まるようなことは普通はありません。

逆にアジサイみたいに葉っぱが薄くてやわらかい植物だと
水不足が原因で葉っぱが丸まることがあるのです。

だからアジサイの葉っぱが丸まりやすい時期は
梅雨が明け気温が高い夏になります。

つまり

です。

どんな植物でも根っこから水分を吸い上げます。
吸い上げた水分は葉っぱなどに行きます。
そうやって水分が植物全体に流れています。

ですが、直射日光が葉っぱに当たると蒸散（じょうさん）という現象が起こります。
蒸散とは植物の中にある水分が水蒸気となって出ていく現象のことです。
水蒸気は気孔という場所から出ていきます。

蒸散という現象は人間でいうところの
汗が出る現象と似ています。
だから蒸散という現象自体、正常であって問題ありません。

などの役割があります。

私は獣医師なのでよく診察で飼い主さんに
「人間や植物は汗（蒸散）をかけるけど
犬や猫はまともに汗をかけないから熱中症になりやすいです」
とよく説明します。
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犬や猫よりもしかしたら汗をかく機能というのは
アジサイなどの植物の方が優れているのかもしれませんね。

ただ、この蒸散という現象により
アジサイに直射日光が当たりすぎると
蒸散が活発に起こり、アジサイから水分が水蒸気となって出ていきます。
人間だったら暑いと汗をかき、汗が水蒸気に変わる時の気化熱によって
皮膚が冷やされるのです。

だから暑いときほど人間は汗をかきます。
これと同様、植物も暑い時ほど蒸散が活発になり
水蒸気となって外に出ていくわけです。

でも、水不足だと根っこから吸い上げる水分がありません。

するとアジサイはどうするか？というと
ちょっとでも蒸散が起こらないように葉っぱを丸めるのです。

葉っぱがまっすぐ伸びているより
丸まっていた方が太陽の光に当たる面積が少なくなりますよね。
こうやってアジサイなどの葉っぱが柔らかくて薄い植物は
生き延びてきたのでしょう。

ちょっと残念な話になりますが一度でも葉っぱが丸まると
元に戻らないことの方が多いといわれています。

なのでアジサイの葉っぱが丸まっているということは
水不足が疑われます。
放っておくと枯れてしまう可能性が高いので
できるだけ早く水やりをしてください。

しかも水不足で葉っぱの表面が乾燥しているとハダニなどの害虫が
寄生しやすくなります。

すると、葉っぱに白い斑点ができ出し
枯れてしまうことがあります。

そうならないためにも
とにかく葉っぱが丸まっているようなら水やりをしてください。

アジサイの葉が丸まる（内側に巻く）場合の対処法

繰り返しになりますが、

です。

ということですから、対処法としてはまずは水やりが重要でしょう。
根っこから吸い上げる水分量が増えれば
気温が高くて蒸散が起きても、
アジサイの中で水分不足になりません。

目安として、水やりの前にアジサイの株元付近の土を
指でほじってみてください。
土が乾燥していたら土が指からサラサラと落ちていくはずです。

そんな状態だったら乾燥していますからすぐに水やりしてください。

逆に指に土がねちょねちょくっつくようなら
水不足ではないかもしれません。

あと、植物は根っこからだけでなく葉っぱからも水分を吸収します。

だから葉っぱに直接霧吹きなどで水を吹きかけてください。
この行為を『葉水（はみず）』といいます。

アジサイの葉っぱが丸まるのを防ぐためなら
土に水やりするだけでなく葉水も重要になってくると思います。
だってアジサイの葉が丸まる原因の多くは、
葉っぱからの蒸散を防ぐためですからね。

あと風通しをよくするのもよいでしょう。

以上で解説を終わります。