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光合成の化学式で両辺の水を消したらいけない理由




今回の記事では光合成の化学式で両辺の水を消したらいけない理由について解説します。

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光合成に関する一般知識

光合成って同化でしたね。
同化の中でも光合成は炭酸同化でした。
2種類の同化についてわかりやすく解説
炭酸同化(炭素同化)について例を挙げてわかりやすく解説

同化って酸化と還元のどちらですか?
同化は還元です。

還元は水素がつくこと、離れること、どちらでした?
還元は水素がつきます。離れません。

ちなみに還元の反対の言葉に酸化はありましたが、
酸化は水素が離れることです。
そして還元はエネルギーを閉じ込める(入ってくる)反応になります。

そして還元は分解か合成かというと、合成です。

だからこれから解説する

光合成の化学式は

・同化(炭酸同化)
・合成
・エネルギーの封じ込め

です。

これを頭から外してしまうと、
光合成の化学式の意味がわからなくなってしまうので
先に解説しました。

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なぜ光合成の化学式で両辺の水を消したらいけないの?

では本題です。
光合成の化学式は
$6CO_2 $+$12H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $+$6H_2O $
です。

光合成の化学式ですが、
$H_2O $(水)が両辺にありますね。
化学反応式のルールからしたら左辺の$12H_2O $と右辺の$6H_2O $を相殺して

$6CO_2 $+$6H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $
とするものなのではないでしょうか?
ただの化学反応式というならOKではありますが・・・

でも、光合成の化学式としてはダメです。
どうしてでしょうか?

光合成を表す式としては正しくありません。
両辺から水を切ってはいけません。残さないといけません。

こちらが正しい光合成の化学式ですが、
$6CO_2 $+$12H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $+$6H_2O $
原子の数は無視してみていきますと、、、

グルコース$C_6H_{12}O_6 $は炭素C、水素H、酸素Oでできていますね。
水$12H_2O $は水素Hと酸素Oでできています。
二酸化炭素$6CO_2 $は炭素Cと酸素Oでできていますね。

で、グルコース$C_6H_{12}O_6 $を二酸化炭素$6CO_2 $から作るのか、
水$12H_2O $から作るのか?
つまり、グルコースという物質を生物が水と二酸化炭素から作るとき、
土台があって、その土台にトッピングして作っているんです。

パンケーキだってそうですよね。
パンケーキがあって、その上に上記画像のように生クリームをのっけて
さらにイチゴのジャムをのっけます。

何がいいたいか?というと、パンケーキがベースで
生クリームやイチゴジャムがトッピングということです。

逆はありませんよね。
たとえば、生クリームを大量にお皿の上に置いて
その上にパンケーキを乗っけるパターンとか。
こうなったら生クリームがべちょっとして
見た目が悪くなってしまいますよ。

では、この常識(!?)を光合成の化学式に当てはめてみましょう。
$6CO_2 $+$12H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $+$6H_2O $
において、二酸化炭素$6CO_2 $に水素Hをつけてグルコース$C_6H_{12}O_6 $を作るのか
それとも$12H_2O $に炭素Cをつけてグルコース$C_6H_{12}O_6 $を作るのか?という話です。

正解は二酸化炭素$6CO_2 $に水素Hをつけてグルコース$C_6H_{12}O_6 $を作る方です。
$12H_2O $に炭素Cをつけてグルコース$C_6H_{12}O_6 $を作りません。

どうしてでしょう?
光合成は同化であり、還元でしたね。
$12H_2O $に炭素Cをつけて還元になりますか?
$12H_2O $に炭素Cがついたって還元になりませんね。

酸化か還元は酸化数を変えないといけないから
酸素Oか水素Hかです。

水素Hがつくのが還元ですよね。
だから、二酸化炭素$6CO_2 $に水素Hをつく還元により
グルコース$C_6H_{12}O_6 $ができるわけですね。

だから光合成というのは二酸化炭素$6CO_2 $がベースなわけですね。
二酸化炭素がデザートのパンケーキでいうところの、パンケーキ部分です。
そして水素Hが生クリームやイチゴジャム(トッピング部分)です。

ということは
$6CO_2 $+$12H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $+$6H_2O $において
水の$12H_2O $の中の水素Hが還元のために使われたわけですから、
残りの酸素Oは不要なので残りかすとして右辺の$6O_2 $として現れているわけですね。

ここまで大丈夫ですか?

この右辺の酸素$6O_2 $は左辺の水$12H_2O $の残りかすです。
右辺の酸素$6O_2 $において酸素原子はいくつありますか?
酸素分子は6個だから酸素原子は12個(6×2)ありますね。

原子というのは酸素Oそのものの数で
分子というのは$6O_2 $の左側の6の文字の部分ですからね。
話を元に戻して酸素原子は12個ありますが、
これは明らかに全部、左辺の水$12H_2O $からきていますね。

もし、光合成の化学式で左辺、右辺を相殺したパターンである
$6CO_2 $+$6H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $
となったら、左辺の水$6H_2O $は何個ありますか?
酸素原子は6個しかありませんね。
右辺の酸素は$6O_2 $だから、酸素原子は12個なので足りません。

だから、光合成の化学式においては
左辺と右辺を相殺して$6CO_2 $+$6H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $としてはいけないのです。

$6CO_2 $+$12H_2O $⇒$C_6H_{12}O_6 $+$6O_2 $+$6H_2O $
と書かないといけません。

左辺の水$12H_2O $から右辺の$6O_2 $ができたということを意味しているわけですね。
だから化学反応式のルールで両辺を相殺したいと思っても
光合成の化学式においては相殺してはいけないのです。

光合成は呼吸の反対の反応になります。
呼吸は酸化であり、分解であり、エネルギーの放出であります。
これに対して光合成は還元であり、同化であり、エネルギーの閉じ込めであります。
そして二酸化炭素をベースにして水素をトッピングするという反応です。

その反応が大きく2つの場所で行われています。
葉緑体のチラコイドと葉緑体のストロマで行われています。
葉緑体の特徴をわかりやすく解説



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