上記図双子葉類と単子葉類の維管束の断面図は暗記することをおすすめします。
ただ、いきなり暗記といわれても、大変だと思うので、
双子葉類と単子葉類の違いを解説していきます。
双子葉類と単子葉類の違いとは?
以下の画像のように葉っぱが網模様になっていると思いますが、
これが維管束です。
そして上記画像のように網模様に維管束ができているものが双子葉類です。
矢印の先はオレンジ色に塗ってますが、他の葉っぱを見てください。
本物の維管束の状態を確認できます。
上記画像のような双子葉類の葉っぱを作るものを生物学的には草本(そうほん)とか木本(もくほん)といいます。
つまり、
・草
・木
両方存在するということです。
それからイネとかトウモロコシなんかもそうですし、
以下の植物の葉っぱもそうですが、維管束が平行に走っているもの。
こういう植物は単子葉類です。
単子葉類は草本しか存在しません。
ここがまず双子葉類と単子葉類の違いです。
つまり、
・双子葉類は草も木も存在する
・単子葉類は草だけ(木は存在しない)
ということです。
だからイネは単子葉類ですが、イネの木とか
聞いたことも見たこともないはずです。
ユリも単子葉類ですが、ユリも木にはなりません。
⇒ユリの花を猫が食べる危険性を獣医師が解説
ただ、勘違いしないで欲しいのはユリノキという木と上記画像のユリはまったく別物です。
お間違いのないようにお願いします。
ユリノキの方は双子葉類で、ユリの花を咲かせるユリは単子葉類です。
たとえばカクレミノの木は葉っぱの画像からしても
明らかに双子葉植物ですね。
⇒カクレミノの葉の特徴は?
⇒カクレミノの風水|おすすめの方角は?
⇒カクレミノでかぶれる原因は?
では理解度テストです。
以前解説したデュランタ宝塚の葉っぱをご覧ください。
双子葉植物ですか?それとも単子葉植物ですか?
葉をよく見てくださいね。維管束が網状ですね。
だからデュランタ宝塚は双子葉植物です。
⇒デュランタ宝塚の名前の由来
ではオシロイバナはどうでしょう?
オシロイバナの維管束も網状なので双子葉植物ですね。
⇒オシロイバナの種の中はどうなってる?画像を使って説明
ではムラサキゴテンはどうですか?
維管束がまっすぐ、平行に走ってますね。
だからムラサキゴテンは単子葉類に該当します。
⇒ムラサキゴテンの花の特徴を画像付きでわかりやすく解説
⇒ムラサキゴテンの毒性について英語文献を翻訳しながらわかりやすく解説
・双子葉類は草も木も存在する
・単子葉類は草だけ(木は存在しない)
と説明しましたが、
草と木の決定的な違いは?というと、
背の高さと太さですが、あとは茎の維管束にあります。
こちらの図をご覧ください。
双子葉類は草にも木にもなれるわけですが、
どうして木になれるのか?というと、上記図を見てください。
形成層が分裂することで太っていけるのです。
形成層を挟んだ形で維管束があって、
維管束が同心円状に並んでいます。
⇒維管束とは?簡単にわかりやすく解説
ここで大事なのが形成層です。
形成層があるから太れるのです。
形成層があるから肥大成長します。
双子葉類に対して単子葉類はどうでしょう?
単子葉類がて木になれない、太く高くなれないのはどうしてか?というと、
丈夫であることは間違いありません。
でも、双子葉類だと木部と師部が同心円状に並んでいましたが、
単子葉類の場合、木部と師部が放射状に散らばっていますね。
あともう1つ決定的な違いがあります。
単子葉類には形成層がありません。
だから、単子葉類は太れません。
つまり、木になれないということです。
なぜ単子葉類に木がないのか?と聞かれたら
形成層がないからですと答えます。
あともう1つ。
双子葉植物の木物と師部の位置関係を見てください。
木部は内側で師部は外側にありますね。
上記は茎の断面図でした。
今度は双子葉植物の根っこの断面図を見てみましょう。
木部と師部は同心円状に並んでいます。
これに対して茎は木部は完全に内側で、師部は外側です。
この違いです。
ところで木部と導管の働きは?というと、
水分の通り道でしたね。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒維管束とは?簡単にわかりやすく解説
で、根っこでは水分を取り込むわけですが、
取り込んだ水分は早く導管や仮道管にのせないといけません。
木部にのせないといけないということです。
ちなみに導管の原型は仮道管といって、原始的なシダと裸子植物の木部は仮道管でできています。
進化した被子植物は導管になっています。
この辺はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒植物の器官と組織についてわかりやすく解説
茎の場合だと、木部が内側で「水が早く来ないかな」と待っているだけですが、
根っこに存在する木部は内側でなく表面に近づいて行って
取り込んだ水をできるだけ早く木部に取り込んで導管や仮道管を伝って
上に(茎)上げようとするわけです。
では逆にどうして茎の木部は内側にあるのでしょう?
地面の中は湿度が高い、水分がいっぱいです。
だから木部が表面にあったって水分は逃げません。
でも、地上は乾燥しています。
もし木部が表面に近いところにあったら
そこを導管が通って行ったら、水分が蒸発してしまいますね。
だからそういう植物が取り込んだ水分の蒸発を防ぐために
茎では木部は内側にあるわけです。
逆に根っこでは木部は外側にあるのは
地中に存在する水分をできるだけ早く取り込むためです。
だから、木部や師部の位置、形成層があるかないか、
植物ってうまいことやっているわけですね。
植物は現在でも生きているわけですから、
そりゃうまいこと適応してやっているということです。
双子葉類と単子葉類の違いまとめ
以上、少し話が脱線しましたが
双子葉類と単子葉類の違いについて解説しました。
双子葉類と単子葉類の違いは
双子葉類には形成層があるから太れるけど、
単子葉類には形成層がないので太れない、だから単子葉類には木がない。
あと、双子葉類の茎の木部は内側にあって根っこから吸い上げてきた水分の蒸発を
防ぐようにできているけど、単子葉類の場合は放射状に並んでいるだけです。
以上で解説を終わります。