上の画像をご覧ください。
夾竹桃の花ですがきれいですね。
でも、夾竹桃は毒を持っているので気軽に触るのは危険な植物です。
⇒毒がある夾竹桃(キョウチクトウ)をなぜ植える?5つの理由をご紹介します
では夾竹桃の毒性ってどれくらい強いのでしょうか?
私は獣医師として犬猫が植物を食べて中毒になった事例を
多数経験しています。
そこでこの記事では夾竹桃の死亡事例について
わかりやすく解説していきます。
⇒当ブログ管理人のプロフィール
目次
夾竹桃(キョウチクトウ)の死亡事例
夾竹桃にはオレアンドリンという強毒が含まれています。
オレアンドリンは花だけでなく、葉っぱや枝、根っこにも含まれています。
そして恐るべきは致死量です。
体重1㎏あたり0.3mg程度で命を落とす可能性があると言われています。
どれくらいキョウチクトウを食べたら命を落とす危険があるのでしょう?
具体的には夾竹桃の葉っぱ5枚から15枚程度が致死量になります。
ちなみに青酸カリの致死量は150~300mgです。
なのでキョウチクトウの毒は青酸カリよりも圧倒的に強いです。
恐ろしいですよね。
ただし致死量はあくまでも目安です。
これより少ない量でも命に関わる可能性もあります。
どれくらい夾竹桃を食べた量と症状は比例しないといわれています。
なので少量であっても夾竹桃の葉っぱや
花を口に入れないようにしましょう。
では以下、実際にあった夾竹桃による死亡事例を見ていきましょう。
夾竹桃が原因で起きた死亡事例:スリランカ
以下の文章をご覧ください。
キョウチクトウ(夾竹桃)は強心配糖体を含む植物
で,スリランカなどでは毎年数千人もの自殺目的の服
用による中毒患者が報告され社会問題となっており,
その死亡率は 4 〜 10%と報告されている 1) 。日本でも
死亡例が報告されている 2) が,生存例の報告はほとん
どない。
スリランカでは上記引用元のような利用の仕方で
夾竹桃を服用するという事例があるようです。
夾竹桃が原因で起きた死亡事例:千葉県の農場
昭和55年、千葉県の農場で牛用の飼料中に
夾竹桃の葉っぱが混ざっていたという事件があったようです。
夾竹桃が混ざった飼料を乳牛20頭が食べ、
そのうち9頭が亡くなったそうです。
このとき平均すると牛1頭が夾竹桃の葉っぱを0.5g程度食べていたそうです。
人間より圧倒的に大きな体をしている牛が
そんな少量の夾竹桃を食べただけで命を落としたという
大変ショッキングな死亡事例だといえるでしょう。
ちなみに牛における夾竹桃の致死量は体重1㎏あたり
乾燥の葉っぱだと50㎎だそうです。
なので人間はほんの微量であっても
夾竹桃を口に入れないほうが無難でしょう。
夾竹桃が原因で起きた死亡事例:大分県
大分県でも牛の死亡事例が報告されています。
以下ご覧ください。
管内の黒毛和種繁殖農家で、成牛の多頭、急死事例が発生した。死亡した2頭の第1胃内容物中にオレアンドリンは検出されなかったが、同居牛を含め発生時の臨床症状とキョ
ウチクトウの混入した粗飼料給与が明確となったことから、事例をオレアンドリン中毒と
診断した。
牛などの草食動物は当然、草を食べて生きています。
そして牛を飼育している農家の場合、
牛に与える草を用意しないといけません。
近くの草を集めていくわけですが、
間違って夾竹桃の葉っぱや枝が混ざってしまうと
大分県のような死亡事例が発生してしまいます。
夾竹桃が原因で起きた死亡事例:フランス
最後は人間の死亡事例です。
1975年のフランスで起きました。
男女7人が楽しくバーベキューをしていたそうです。
バーベキューには串がつきものですよね。
ただ、なぜかわかりませんが
バーベキューの串に夾竹桃の枝を使ったのだそうです。
夾竹桃の枝を火にあぶった結果、
オレアンドリンという毒が染み出てきました。
そして染み出たオレアンドリンが肉につきました。
そのオレアンドリンがついた肉を食べた結果、
中毒を起こし亡くなったということです。
夾竹桃の死亡事例についてまとめ
ここまでキョウチクトウによる死亡事例を解説してきました。
死亡事例の文章ばかり読むと
夾竹桃を食べて亡くなった方が無数にいるような気になってしまうかもしれません。
でも、夾竹桃による死亡事例は日本ではまれです。
キョウチクトウ中毒は日本では極めてまれであり,
その診断は現実的には困難も予想される。しかし重症
例・死亡例もみられることから,早期からの適切な治
療を必要とする。
実際、日本では夾竹桃を植えている公園がたくさんあります。
ちょっとでも触れたら命を落とすような危険な植物なら
公園に植えないでしょう。
また夾竹桃は広島市の市花にもなっているくらいです。
⇒夾竹桃(キョウチクトウ)はなぜ広島市の市花になったの?
ただ、実際に夾竹桃が口に入ってしまい
命を落とした方がいることは事実。
なので、過剰に恐れる必要はありませんが、
夾竹桃の花の見た目をちゃんと覚えておいて
絶対に素手で触れないように気をつけましょう。
今回の記事は以上になります。