上記画像のような黒い斑点がアジサイの葉っぱにできていて困っている方に向けて記事を書いています。
今回の記事ではアジサイの葉っぱに黒い斑点ができる原因と対処法を5つご紹介したいと思います。
目次
アジサイの葉に黒い斑点ができる5つの原因
アジサイの葉っぱに黒い斑点ができる原因は
・さび病
・黒点病
・ごま色斑点病
・炭疽病
の4つが考えられます。
あと5つ目として『葉焼け』が考えられます。
つまり、
・葉焼け
・さび病
・黒点病
・ごま色斑点病
・炭疽病
です。
ちなみに私は獣医師として動物の病気の診断をして治療をしています。
その延長線上で植物の勉強をしています。
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では1つ1つの原因を以下、詳しく解説していきますね。
アジサイの葉にできた黒い斑点(1)葉焼け
上の画像は葉焼けが疑われるアジサイの葉っぱです。
・直射日光の当たりすぎ
・葉っぱの温度が急激に上昇した
・葉っぱが乾燥した(人間や動物でいったら脱水症状)
などが原因で葉っぱが焼けたように変色してしまう症状のことです。
葉焼けが原因でアジサイの葉に黒い斑点ができることがあります。
以下、葉焼けの原因について詳しく解説します。
葉焼けの原因(1)直射日光の当たりすぎ
上記画像は息子にアジサイの前で愛犬を抱っこさせてみたところです。
このときは曇りだったので、
快適に散歩ができました。
でも、上記画像くらいの直射日光が一日中続くと
人間の肌が痛くなりますよね。
息子も肌が真っ黒に焼けてました。
こんな感じで人間も肌が黒く焼ける感じで
アジサイの葉っぱも強い光(直射日光)に当たりすぎると焼けてしまうのです。
ではどうして強い直射日光に当たりすぎると
アジサイの葉っぱは焼けてしまうのでしょう?
アジサイに限った話ではありませんが、
植物は太陽の光に当たると光合成をします。
そして植物の成長にとって必要なエネルギーを合成します。
「光に当たったら光合成してエネルギーができるんだったら
何の問題もないんじゃないの?」って思った方もいるかもしれませんね。
でも、これは『適度な太陽の光』に当たった場合の話です。
植物が同じ時間に光合成できる量には限界があります。
もしアジサイの葉っぱが大量の光に当たったらどうなるでしょう?
光合成できる以上の量の光だと、もらった光が余ってしまうのです。
これは人間でいったら
先輩や上司にご飯をおごってもらうケースと似ていると思います。
お腹がすいているうちは、
注文された料理を食べれるでしょう。
でも、お腹いっぱいを通り越しても
「食べろ!飲め!」って上司に言われたら
気持ち悪くなってくるでしょう。
これと葉焼けは似たような状態です。
光合成により酸素ができます。
ただ、光合成できる量以上の光に葉っぱが当たると
余った光が原因で活性酸素ができることがあるのです。
活性酸素は人間や動物でも発生しますが、
体に悪い物質です。
そんな体に悪い活性酸素が光の当たりすぎにより
アジサイにできてしまいます。
結果、葉焼けが起こるのです。
・葉緑素が分解される
・遺伝子に変化が起こる
・細胞が破壊される
などの被害が出ます。
なので、光の当たりすぎによって
アジサイに活性酸素が発生し、
葉っぱが破壊されるために葉焼けという現象が起こるということです。
葉焼けの原因(2)葉っぱの温度が急激に上昇した
人間も犬も火に当たると火傷しますよね。
火傷した皮膚って元の状態に戻らないことがあります。
火傷の跡が残るってことです。
これは高温によってタンパク質(酵素など)に不可逆的な反応が起きたからです。
不可逆的とは元に戻らないという意味になります。
高温による不可逆的な反応はこちらで解説しています。
この記事では酵素で解説していますが、皮膚も葉っぱも同じです。
・温度による酵素の失活と熱変性の違いを分かりやすく解説
人間や動物の火傷と同じで
アジサイなどの葉っぱも高温に当たり続けると
細胞が死んでしまい、葉焼けしてしまうことがあります。
この記事を書いているのは2022年7月下旬です。
イギリスでは熱波の影響で連日気温が40℃になっています。
そんな状況だと、葉っぱが葉焼けする可能性が高いです。
特に葉焼けが起こりやすいのは低い気温から急激に気温が上がるような状況です。
アジサイ自身が気温の急激な上昇に耐えられないようです。
逆に少しずつ気温が上がるような状況だと
アジサイ自身が気温の上昇に慣れ、
葉焼けが起こりにくいといわれています。
でもイギリスの40℃レベルの熱波が起こると
アジサイも葉焼けを起こす可能性は高いと思います。
なので対策として、真夏の炎天下の時期には
直射日光に当たらないように日陰を作ってあげるとよいでしょう。
葉焼けの原因(3)葉っぱが乾燥した
葉っぱが乾燥しすぎても葉焼けを起こします。
なので、葉っぱがカピカピに乾燥しすぎないようにしましょう。
たまには霧吹きを使って、葉っぱに水を吹きかけてください。
かといって真夏で直射日光が葉っぱに当たるときに
水を吹きかけると、直射日光の熱で水が暑くなります。
かえって葉焼けを起こすことがあります。
今この記事を読んでいるのが夏だったら
葉っぱに水を吹きかけるなら早朝とか夜にした方が無難でしょう。
アジサイの葉にできた黒い斑点(2)ごま色斑点病
ごま色斑点病は葉っぱに黒い斑点ができるのですが、
その周辺に紅色の斑点ができるところが特徴的です。
単なる葉焼けとはまったく違いますね。
葉焼けとごま色斑点病の違いは見た目だけではありません。
葉焼けだったら、その葉っぱが枯れても
また新たに葉っぱができる可能性があります。
でも、ごま色斑点病の場合は、枯れて落葉したら
最悪、あじさい全体が枯れてしまうことがあります。
葉焼けだったら通常、その葉っぱだけの問題になる事が多いですが、
ごま色斑点病だと、アジサイの株全体が被害に遭う可能性が高いってことです。
それだけごま色斑点病の方が被害が甚大だといえます。
なので、同じような黒色の斑点がアジサイの葉っぱにあったとしても
葉焼けとごま色斑点病の見分け方はしっかりと覚えておいた方が良いでしょう。
・黒い斑点の周囲に紅色の斑点ができる
・黒い斑点がなく、紫色~紅色の斑点ができることもある
です。
よく覚えておいてくださいね。
ごま色斑点病を放っておくと、
アジサイの葉っぱが全部落ちてしまい、丸坊主状態になることもあります。
ご注ください。
ごま色斑点病対処法
ごま色斑点病の原因は糸状菌というカビの仲間です。
これは犬や猫もやっかいな病気です。
犬や猫も糸状菌というカビの菌に感染します。
もし感染すると犬や猫の皮膚が丸く脱毛し、めちゃくちゃかゆがります。
治療は抗真菌剤を使いますが、人間にもうつるので
早期発見早期治療が重要です。
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これと同じ仲間の糸状菌がアジサイに感染すると
ごま色斑点病を引き起こします。
カビの感染なので
ごま色斑点病の病変を発見したらできるだけ早く、感染した葉っぱを除去しましょう。
でないと、胞子によってどんどん広がっていきます。
病気にかかった葉を見つけたらできるだけ早くこれを摘み取り、落葉した葉は取り除き焼却します。
あと、ごま色斑点病の原因菌をやっつけるために
こちらのお薬を1週間おきに何回か使用します。
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ちなみに
・糸状菌(顕微鏡で見たら糸状の真菌
・酵母用真菌(いわゆる酵母の仲間)
があって、犬や猫はどちらの真菌にも感染します。
酵母用真菌だとマラセチアという真菌が有名で
犬や猫に感染すると外耳炎や皮膚病を引き起こします。
でも、糸状菌みたいに丸い脱毛は起こりません。
また病変を取って顕微鏡で観察すると明らかに形が違うので
簡単に診断できます。
なので獣医療でも鑑別診断が可能です。
アジサイの葉にできた黒い斑点(3)炭疽病
炭素病は牛に感染する細菌性の病気で獣医師国家試験に必須の法定伝染病です。
もし牛に炭疽菌(細菌の仲間)が出たら大変なことです。
でも、アジサイなどの植物で見られる炭素病は細菌ではありません。
糸状菌(真菌)の仲間です。
なので、先ほどのごま色斑点病と兄弟といっても言い過ぎではありません。
牛の法定伝染病である炭疽であれば
人間が食べるのは大変危険な行為です。
でも、アジサイなどの植物に感染する炭疽病という糸状菌は
牛や豚に感染する炭疽菌よりはマシです。
でも、植物に感染する炭疽病は農家にとっては
壊滅的な被害になることもあります。
もしアジサイなどの植物が炭疽病に感染するとどうなるのでしょう?
小さな円形の斑点ができるのが特徴です。
炭疽病は梅雨の時期や秋の長雨の時期に発生しやすいです。
炭疽病は糸状菌というカビが原因です。
カビって雨でジメジメした時期に増えますものね。
お風呂のカビを想像していただいたら納得していただけるでしょう。
またカビの仲間ってジメジメだけでなく、
風通しの悪い場所で繁殖しやすいです。
なので、アジサイの葉っぱや枝が混み混みしているようなら
炭疽病が発生しやすいです。
それから水はけの悪い土壌だと
それだけ根っこ周辺は湿気がすごいので
やはり炭疽病が発生しやすくなります。
くどいようですが炭疽病はカビが原因です。
すでに炭疽病に感染しているアジサイに対して
水やりは要注意です。
水やりによって葉っぱに存在する炭疽病の原因菌が
周りに流れ出し、感染が拡大することがあります。
なので炭疽病の感染が疑われたら
そのアジサイに対する水やりは要注意です。
具体的には炭疽病の病変が見られる場所には
水をかけないようにしてください。
ちなみに炭疽病が悪化すると
葉っぱだけでなく枝も枯れていきます。
なので炭疽病が疑われる病変を見つけたらその部分は切り取りましょう。
そして周りに当たらないように別の場所に持って行き
適切に処分してください。
それと同時にこちらの薬剤を散布することをおすすめします。
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アジサイの葉にできた黒い斑点(4)さび病
黒い斑点の周りに黄色い縁ができるような病変があったら
もしかしたらさび病かもしれません。
ごま色斑点病だと周辺が赤や紫色になるのに対して
さび病だと黄色っぽくなるのが両者の鑑別ポイントだといえます。
・ごま色斑点病は赤や紫の斑点
・さび病は黄色
です。
さび病も炭疽病などと同様、
原因は糸状菌というカビの仲間です。
なので放っておくとどんどん広がっていき
葉っぱや茎が枯れる原因になります。
またカビの仲間なので梅雨の時期や秋の長雨の時期あたりに発生します。
もしさび病らしき病変が見つかったら
その部分を他に当たらないように除去し、
処分してください。
それからこちらの薬剤などを使って対処しましょう。
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アジサイの葉にできた黒い斑点(5)黒点病(黒星病)
黒点病(黒星病とも)も他と同様、糸状菌というカビの仲間が原因で発生します。
葉っぱに小さな黒い斑点ができるのが特徴です。
小さな黒い斑点ができるから黒点病という名前になったんだとか。
黒点病もカビの仲間なので
お風呂のカビと同様に、放っておくとどんどん被害が拡大していきます。
結果、アジサイ全体に被害が及んで枯れてしまうことがあります。
カビの仲間ってたいてい25℃前後で一番活発になります。
また、ジメジメしたところが大好きです。
なので、今回解説した他の病気と同様、
梅雨の時期に黒点病が発生しやすいです。
もし黒点病らしき病変を発見したら
その葉っぱ全体を除去し
他に当たらないように処分してください。
カビの仲間って地面に落ちるだけでも
そこで生存し、他のアジサイなどの植物に感染する機会をうかがい続けます。
そういった意味でも、サプロール乳剤などの薬剤を
定期的に撒くようにしたほうが良いでしょう。
あと繰り返しになりますが
黒点病などのカビの仲間はジメジメした場所が大好きです。
なので、風通しを良くしてください。
例えば葉っぱや枝がぎっしりになっていると
風通しが悪く、カビが発生しやすくなります。
なので、適度に葉っぱや枝を切るなどしましょう。
以上で解説を終わります。