ここまで酵素について説明してきました。
⇒酵素ってどんなもの?例を挙げてわかりやすく解説
⇒酵素の触媒作用についてわかりやすく解説
⇒基質特異性とは?酵素と触媒の違いも含めてわかりやすく解説
今回の記事では酵素の最適温度について、
特に植物の最適温度は何℃くらいなのか?わかりやすく解説していきます。
植物における酵素の最適温度は?
酵素には反応するのにもっとも適した温度というのがあって、
そのことを酵素の最適温度といっています。
だいたい動物や人だと酵素の最適温度は35℃から40℃程度です。
では植物の酵素の最適温度は何℃くらいでしょう?
20℃くらいでしょうか?
植物は外ですくすく育つし、
冷たくて血が流れてなくてないから植物の酵素における最適温度は低いのではないか?
と思っている方が多い気がします。
たとえば神奈川県だったらどの時期に草がすくすく育っていますか?
3月ですか?それとも10月ですか?
結論としては7から8月の真夏に草が一気に伸びてますよね。
平均気温は30℃だいです。
そんな時期に植物は一番成長していますね。一番元気な時期ですよね。
だから植物の酵素といえども最適温度は35℃から40℃くらいとなります。
なんとなく植物は血が流れてなくて冷たいみたいなイメージを持っている人も多いでしょう。
でも、植物は血管の代わりに導管や師管が通っていて血の代わりのものが通っています。
⇒維管束とは?簡単にわかりやすく解説
植物細胞は昔は細胞1個1個が勝手に生きていると思われていました。
でも、最近は細胞同士がつながって大きな塊になっているのではないか、
その大きな塊の周りがまた大きな環境になっているのではないか?
と考えられるようになりました。
植物の細胞同士はつながっているということです。
植物の細胞は1個1個別々になっているわけではなく、
細胞同士がお互いに穴を通して原形質を連絡させて
1つの細胞で何か起こったら、隣の細胞に情報を送っているのです。
意外な話だと思った方もいるでしょう。
でも、シンプラスト、アポプラストという専門用語がついています。
ウィキペディアによると、
以下Wikipediaより引用
シンプラスト(Symplast)は、水や小分子の溶質が自由に拡散できる植物細胞の細胞膜の内側部分のことである。原形質連絡は、糖やアミノ酸等の小分子やイオンが細胞間で直接流れることを可能とする。転写因子や植物ウイルス等のより大きな分子もアクチンの助けを借りて輸送することができる。これにより、濃度勾配に沿って、細胞質-細胞質間の水とその他の栄養素の流れができる。特に、根で土壌中から栄養素を吸い上げるために用いられている。表皮から外皮を通って内皮、内鞘に至り、そこで木部に入って、長距離の輸送がなされる。対義語はアポプラストで、これは細胞壁を用いた輸送であり、長距離輸送用のシンプラストとは対照的である。
以上、引用終了
『植物細胞の場合』、細胞壁の隙間を通して
細胞同士がつながって大きな塊を作っているということです。
とにかく植物だからといって最適温度が低いわけではありません。
ちなみに、動物も植物も酵素の最適温度は35℃から40℃くらいだと説明しました。
でも、最適温度が変な酵素も世の中には存在しています。
私は獣医師として日々ペットの診療をしていて
アミラーゼなどの酵素の勉強はかなりしているのですが、
かなり興味深いのが人間の唾液アミラーゼです。
最適温度は40℃代後半です。
ちょっと暖かめでフーフー言って食べるのが45℃から50℃くらいでしょう。
70℃くらいになると火傷のリスクも出てきます。
そんなこともあってか、
40℃代でも働けるような酵素が残ったのかもしれません。
だから、100℃が最適温度みたいな酵素はありません。
逆に低すぎるような最適温度の酵素もありません。
以上で解説を終わります。