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減数分裂の特徴を体細胞分裂と比較して分かりやすく解説




以前、体細胞分裂について解説しました。
体細胞分裂は普段の私たちの細胞を増やすもので、
一生続いているものです。
体細胞分裂についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
植物細胞における体細胞分裂を図を使ってわかりやすく解説

これに対して今回解説する減数分裂はいつでも起こるわけではありません。
減数分裂は主に有性生殖に絡んだときに行われている特殊な分裂です。

今回の記事では減数分裂の特徴を体細胞分裂と比較しながら
わかりやすく解説していきたいと思います。

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もし有性生殖を減数分裂でなく体細胞分裂で行ったら・・・

減数分裂は主に有性生殖の場合に起こります
有性生殖とは受精が起こることによって子孫を残すことです。
キーワードは『受精が起こる』です。

ちなみに私は獣医師として日々、ペットの診察をしていますが、
ペットの肝臓だって人間の肝臓と同様に、日々体細胞分裂によって
肝臓の細胞が作られています。
こういう細胞分裂を体細胞分裂といいます。
この場合、当たり前ですが受精なんて起こってません。
だから減数分裂は起きていません。

逆にオスとメスによって受精が起こるような有性生殖の場合には
減数分裂が起こります。

有性生殖では体細胞分裂では
まかないきれない部分があります。

そこで減数分裂があるのです。

主に有性生殖にともなっておこる減数分裂ですが
なぜ有性生殖にともなうのでしょう?

有性生殖の特徴として細胞同士の融合が起こるということです。
具体的にいうと必ず精子と卵の受精によって子供ができますね。
2つの細胞が合体するという現象に絡んで減数分裂が起こります。

ところで、もし細胞の作り方が体細胞分裂だけだったら
いったいどうなるのでしょう?
体細胞分裂だけで有性生殖は可能なのでしょうか?

私たち人間の染色体数は46本です。

上記図で、たとえば親Aを母親、親Bを父親だとすると
母親は卵を父親は精子を作ります。
そのときの細胞の作り方が体細胞分裂だとしましょう。

するとお母さんが作った卵は体細胞分裂は染色体数が変わらないのが特徴です。
となると染色体数は46本のままになってしまいます。
もちろんお父さんが作った精子も染色体数は46本のままです。

この46本の染色体を持った人間の細胞同士が受精すると
受精卵ができて子供Cができます。
子供の染色体数は染色体を足すので92本になってしまいます。

染色体数が92本って人間でしょうか?
実は私たち人間は染色体が2組あるので2倍体といいます。
わかりやすくいうと私たちの設計図が2組あるということです。
両親から1組ずつもらうからです。

ところが3組、4組ある場合、上記図のケースでは4組となります。
1人の人間の染色体は2組(2倍体)で
両親から2組ずつもらうから4組です。

染色体数が増えると細胞が大きくなるという特徴があります。

たとえばアユ。


アユという魚はだいたい20㎝くらいの小さな魚なのですが、
この20㎝のアユの3倍体のアユがいます。
つまり、2倍体(通常のアユ)の1.5倍(2×1.5=3)ということです。

この3倍体のアユの大きさは30㎝くらいになります。
つまり、2倍体の20㎝の1.5倍の3倍体のアユは20㎝×1.5=30㎝以上になるわけですね。

アユの寿命は1年なのですが、
3倍体のアユは数年生きます。

何が言いたいか?というと、通常の2倍体でない3倍体や4倍体は
同種の生物とは言えなくなりそうですね。

植物も同じです。
通常の植物の4倍体や6倍体というものもあります。
4倍体や6倍体になるとすごく大きくなります。
もちろん花も大きくなります。

たとえば、

3倍体のスイカとして

・秋試交16号
・あきた夏丸

などがありますが、2倍体のスイカよりも糖度が高く甘くておいしいそうですよ。

とにかく染色体数が92本という子供Cは非常に大きな人間になってしまう可能性があります。
たとえば身長が3メートルくらいになるかもしれません。
そうなると同種の生物とは生物学的には言えない可能性が高いです。
しかも子供同士が結婚したら184本の染色体数になります。

逆に先祖になると染色体数が減りますよね。親Aの両親の染色体数は23本になりますからね。
染色体数23本と23本が受精して46本になってしまいます・・・。
ということは先祖に戻れば戻るほど染色体数が限りなく0に近づいていくので
生物として存在できなくなります。

だから体細胞分裂だけだったら生物は成立しないことになってしまうでしょう。

ではどうしたらよいのでしょう?
どこかで染色体数を減らさないといけません。

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減数分裂の特徴

ここまで解説してきたように受精を伴う有性生殖の場合、
どこかで染色体数をうまく減らす、
つまり染色体数のコントロールをしないといけないということです。

上記図のどここあで染色体数を半分に減らさないといけないということです。
もっとわかりやすくいうと、子供Cの染色体数が92本ではなく46本であるために
親から子に遺伝子を受け継ぐ間に染色体数のコントロールをしないといけないわけです。

ではどこで染色体数を減らせばよいのでしょう?

たとえば、上記図のように親Aから卵が23本(赤い文字)、
親Bから精子が23本(青い文字)であれば、子供の染色体数は46本になり
同種だといえます。

何をしたのか?というと、卵と精子をつくるところで
染色体数を半分に減らした
ということです。
この方法が減数分裂ということになります。

上記図の二重線のところで染色体数を半分に減数させるということです。
細胞を増殖させるが染色体数を減数させるので減数分裂といいます。

具体的にただ単に染色体数を減らせばよいのか?というと
そんなに単純ではありません。
次にどう染色体数を減らすのか?考えていかないといけません。

染色体数46本で説明するのは難しいので2n=4をイメージしましょう。
この生物の設計図が2組あるという意味です。

上記図をご覧ください。
遺伝子A(メス)が2つ、遺伝子B(オス)が2つあるとしましょう。

まとめると

親Aメス・・・AA、BB
親Bオス・・・AA、BB

これは体細胞です。


そうするとどう減らすか?減数分裂は?というと、
たとえばメスが卵を作ると、上記図の右側のようにA、Bのように減らします。
ですから、AAとかBBみたいな減らし方はしません。
必ず、AとBが1つずつあります。

ですからこの場合はAとBが1組の遺伝子ですから
この2組(AとBが2つあるという2組)を1組(AとB1つずつにする)にするという減らし方をします。

オスも同様にAとB1本ずつあるように減らします。
だから4を2に半分に減らすわけですが減らし方にはルールがあるということです。
同じものが2本ずつあるので、どちらか1つを選ぶということです。
これをするのが減数分裂のルールということになります。

では、この卵と精子が受精するとどんな子供になるのでしょう?

上記図の左側がメス(卵)とオス(精子)です。
受精して子はAA、BBとなり2n=4となります。
これは親と同じだから同種であるといえるわけです。

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減数分裂の特徴まとめ

どう減らすか?
ただ単に4(AA、BB)を2に減らせばよいわけではありません。
たとえば、Aが足の指の遺伝子、Bが耳の遺伝子だとすると
AAの2つに減ってしまうと、足の指はあるけど耳がない状態になります。
ですから、2つあるうちの(AAのうちの)1つ(A)を選ぶということをするのが
減数分裂の特徴です。

なので、メスのAA、BBならAAのうちのどちらか1つ、
BBのどちらか1つというふうに必ずワンセットで減らします。
2セットを1セットに減らすという減らし方をします。

オスも同様です。
2セットを1セットにします。


1セットにしたもの同士を次に卵と精子になったので
この2つを有性生殖で受精させると2セット(AA,BB)に戻ります。
親子がともに2セットなので同種であるといえます。
これが減数分裂の特徴です。

最後にまとめますと今回の例では2n(2ゲノム、設計図が2組あるという意味)を
n(1ゲノム、設計図が1組という意味)にすることで染色体数をコントロールするというのが減数分裂の特徴です。

では具体的にどうやって減数分裂をしているか?
減数分裂の細胞終期について次の記事で解説していきます。
減数分裂の細胞周期について図を使ってわかりやすく解説



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