以前の記事でクスノキの特徴について解説しました。
⇒クスノキの特徴は?
今回の記事ではクスノキの葉っぱ
はどんなことに利用されているのか?解説します。
クスノキの葉は何に利用されてきた?
(1)心臓病の薬として利用
まず以下の記事をご覧ください。
以下Wikipediaより引用
クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると結晶として得ることができる。
以下Wikipediaより引用
かつては強心剤としても使用されていたが、今日ではその用途にはほとんど用いられなくなった(現在ではアドレナリン作動薬が工業的に大量生産できるため、それらが用いられる)。しかし現在でも、「駄目になりかけた物事を復活させるために使用される即効性のある手段」を比喩的に”カンフル剤”と呼ぶことがある。
以上、wikipediaから引用しました。
このようにクスノキの葉っぱの成分はその昔強心剤として利用されていたようです。
クスノキの葉っぱをもんだり傷つけたりすると
香りが出てくるのですが、この香りは樟脳(しょうのう)という物質です。
樟脳は別名カンフルといわれたりします。
昔は心臓病の患者さんに樟脳(カンフル)を利用していたようです。
私は獣医師として日々犬猫の診察をしています。
⇒当ブログ管理人のプロフィール
犬猫も心臓病になります。
私個人としては心臓病の薬を使うのでがクスノキの葉っぱの成分を
犬猫に処方したことはありません。
犬猫の場合、心臓病のお薬は
いっぱいあって、樟脳よりも効果的なものがいっぱいありますから。
また人間の医療でも現在はクスノキの葉っぱを
心臓病の治療薬として利用されてはいないようです。
そりゃそうですよね。
人間の医療だって心臓病の治療薬は
いっぱい開発されているので
わざわざクスノキの葉っぱを利用する必要はありませんからね。
(2)防虫剤
あなたの大切な衣服を害虫に食べられたことないですか?
例えばヒメマルカツオブシムシは毛皮を食べます。
衣類を食べる害虫って先ほど解説した
クスノキの葉っぱから採れる樟脳の香りが嫌いです。
こういうのを忌避効果(きひこうか)といいます。
どういうことか?というと樟脳の香りで害虫が死ぬのではなく
樟脳の香りが嫌だから逃げていくということです。
もし樟脳の香りで害虫が死ぬとなると
もしかしたら人間にも悪影響が出るかもしれませんよね。
でも単純に害虫が樟脳の香りを嫌がるだけなら
人間にとって健康被害はないわけです。
実際、先ほど解説したように
樟脳は昔心臓病のお薬として利用されてきたくらいです。
なのでクスノキの葉っぱから採れる樟脳は
人や動物に危害を加えることなく
衣服を食い荒らす害虫を遠ざけるという効果があるということです。
樟脳は現在でも防虫剤として利用されています。
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一般家庭では箪笥の中に
樟脳の香りがするものを入れておき
害虫を遠ざけるようにしています。
また、お寺などではクスノキを素材にした仏像を造ったりして
そもそも仏像に害虫を寄せ付けないなどの工夫をしているところもあるようです。
(3)肌荒れ防止
東京農業大学地域環境科学部 森林総合科学科 上原 巌先生によると
引用元URL:https://www.nodai.ac.jp/news/article/24600/
以下引用
クスノキの葉をビニール袋で24時間覆い、その香りをトラップします。寒天培地の上に大腸菌を置いたシャーレを20個準備し、10個のシャーレはそのままに、もう10個のシャーレにはトラップしたクスノキの香りを入れて置いておきます。すると、何もしなかったシャーレの中の大腸菌はぐんぐん大きく成長しますが、クスノキの香りの入ったシャーレの中の大腸菌はさほど大きくなりません。統計計算をすると、その有意差も明確に出ます。つまりクスノキの香りは大腸菌の成長を妨げることがわかります。普段何気なく眺めているクスノキですが、このような抗菌作用を持っているのですね。
以上引用終了
以下の内容の参考文献はこちらです
⇒https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18322727
上記引用元からわかるようにクスノキの葉っぱには抗菌効果があることがわかります。
例えば肌が荒れる原因にばい菌が考えられます。
ニキビの原因はばい菌ですからね。
そんなこともあって
クスノキの葉っぱに含まれる樟脳を含んだ肌荒れ用ローションが
販売されていたりします。
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(4)クスノキ自体は名前として利用されてきた
人名としてクスノキという名称が利用されてきました。
クスノキの葉っぱを利用したというより
クスノキという名前を利用したものになります。
樹齢2000年以上のものもあるくらいクスノキは長寿です。
そんなこともあって、
長寿や延命を願って『クスノキ(楠)』という漢字を
昔から人名に利用されてきました。
たとえば南方熊楠は自身をクスノキの成長とリンクさせて
考えられていたようです。
今回の記事は以上になります。