今回の記事ではシダ植物の増え方について解説していきたいと思います。
この記事を読んでいただければ、
どうやってシダ植物は増えていっているのか?わかると思います。
なので、最後までご覧になっていただけるとうれしいです。
シダ植物の増え方を学ぶ意味
植物っていうとあなたは何を想像しますか?
たとえば、カボチャや稲、ムギとかありますね。
これらはすべて被子植物に該当します。
被子植物ってどうやって増えているのか?というと
重複受精という方法で増えています。
次以降の記事で被子植物の生殖方法について解説していきたいと思っています。
被子植物は桜とかトマトとかたいていの植物は被子植物です。
ところで、被子植物は何から進化したのでしょう?
被子植物の1つ手前は裸子植物です。
裸子植物は松や杉、イチョウの仲間です。
裸子植物は被子植物と比べると原子的なものになります。
そして
・被子植物
・裸子植物
が入ります。
種子植物というのは種子を持つという植物です。
なので、被子植物と裸子植物は種子ができるということです。
種子を持つということは花を持つということになります。
この辺は限界暗期の記事を読んでいただけると
『種子=花ができる』ということができると思います。
⇒限界暗期とは?わかりやすく解説
上記記事の補足をしておくと
昆虫が蜜を吸うのはきれいな花が咲いているからです。
昆虫が蜜を吸うことで受粉し、種ができます。
話を元に戻します。
では、被子植物や裸子植物は何から進化した植物なのでしょう?
シダ植物から進化しました。
シダ植物は水中の藻類から進化しています。
コケはもっと原始的なものです。
ちなみにこちらがシダ植物の具体例になります。
ということで、植物の系統を見るとシダ植物が被子植物や裸子植物の原型です。
だから、シダ植物の生殖方法がそのままアレンジされて
裸子植物や被子植物になっていったわけです。
ということはシダ植物が教科書で解説しやすい原始的なというか基本的な生殖方法をとります。
だからシダ植物の生殖方法(増え方)を理解した上で
被子植物の生殖方法を勉強した方がわかりやすいわけです。
そんなこともあって今回の記事ではシダ植物の増え方について解説していきます。
シダ植物を含む植物の増え方
シダ植物だけでなく被子植物も裸子植物も植物は例外はありますが、
世代交代をするという特徴があります。
・2種類の卵(受精卵と胞子のこと)
・2種類の生物体(配偶体と胞子体のこと)
ができます。
配偶体はオスとメスです。
だから有性生殖個体です。
胞子体は胞子生殖という無性生殖をします。
だから原則性別がありません。
ちなみに私は獣医師として普段、犬猫の診察をしているのですが、
犬猫や人間は男性女性、オスメスなので配偶体、有性生殖個体だけです。
卵は受精卵しかありません。
だから世代交代はしません。これが人間や犬猫です。
つまり、人間や犬猫は男性と女性から子供ができて、
またその子供が男性か女性ということで
比較的ワンパターンで世代交代しません。
ですが、シダ植物を含む植物はオスとメスがいて子供ができたら
その子供はオスでもメスでもない胞子体です。
この胞子体はそのまま胞子という卵を大人になると産みます。
そしてできた子供は再びオスとメスになり有性生殖をします。
植物の増え方はかなりややこしいですね。
ただ、このややこしい増え方の中でも
一番シンプルな植物がシダ植物です。
これから被子植物を勉強したいという方でも
シダ植物の増え方を勉強するのは有益です。
シダ植物の増え方
まずシダ植物の場合は胞子があります。
胞子は1ゲノムしかありません。
核相がnです。
この1ゲノムみたいな意味合いは以前解説した減数分裂の記事をご覧ください。
⇒減数分裂の細胞周期について図を使ってわかりやすく解説
ちなみに2nなら、2ゲノムということで
設計図が2組あるという意味となります。
話を元に戻しますね。
胞子がふ化すると、オスとメスのシダができます。
1㎝弱くらいの非常に小さな前葉体ができます。
前葉体は緑色をしています。
この前葉体はオスのシダであり、メスのシダです。
オスであれば造精器があり、メスであれば造卵器があります。
実際には両方持っています。
これはさっき解説しましたように有性生殖(オスとメスがある)個体なので
配偶体に該当します。
そして前葉体もn(1ゲノム)です。
あとで登場しますが無性生殖個体なら胞子体となります。
そして前葉体は1ゲノムなので体細胞分裂をして
nの卵とnの精子ができます。
この辺はnが増えないと困るのか減らないと困るか?で
減数分裂か体細胞分裂かが分かれるのでしたね。
⇒減数分裂の細胞周期について図を使ってわかりやすく解説
ここではnの前葉体からnの卵子とnの精子ができるわけです。
減数分裂してしまったらnが2分の1nみたいな話になるのであり得ません。
話を元に戻します。
nの卵とnの精子が合体して受精します。
これはオスとメスという性があるので有性生殖です。
有性生殖なのでメスの方がお母さんとなり、2nの赤ちゃんを身ごもります。
以下の図はお母さんが2nの赤ちゃん(nの精子とnの卵を足して2n)を身ごもったところから続きます。
赤ちゃんを身ごもったお母さんはいつか寿命が来ます。
寿命がくると枯れてきます。
ここで身ごもっていた赤ちゃんがふ化し、葉っぱを持った子供のシダが成長し始めます。
子供のシダが成長すると大人になります。
これがツイッターなどでよく見かける大人のシダです。
この大人のシダは胞子体といいます。
胞子体は私たち人間や犬猫にはありません。
この胞子体を第2の植物体といったりします。
この胞子体は2nです。
ところでこの胞子体の葉っぱの裏を見ると
袋があります。
この袋は胞子体が作った胞子のうといいます。
この胞子のうの中で2nの細胞が減数分裂をしてnの胞子を作ります。
これは無性生殖なので卵と精子が受精とかありません。
単純にどんどん胞子のうの中でどんどんnの胞子を作ります。
そしてできたnの胞子はまた上記図のように最初に解説した地点に戻り
また有性生殖のルートを辿っていきます。
シダ植物の増え方まとめ
もう1回復習しましょう。
まず胞子ができます。
胞子がふ化すると、オスとメスのシダができます。
これを前葉体といいます。
この前葉体にはオス(造精器)とメス(造卵器)があり、
卵と精子を作ります。
この卵と精子が受精することで2nの赤ちゃん(受精卵)がお母さんの体にできます。
この2nの受精卵が成長しますが、そのころお母さんは枯れてきます。
でも、受精卵がふ化し、子供のシダができます。
この子供のシダは光合成をしながら1~2年成長すると大人のシダになります。
この大人のシダはオスでもメスでもありません。
胞子体といって成熟すると葉っぱの裏に胞子のうという特殊な卵巣を作ります。
この中で減数分裂をして胞子という新たな卵を作ります。
これは受精せずにそのままふ化します。
だから無性生殖です。
この胞子はまた元に戻って最初に戻りふ化してと続きます。
こんな感じで胞子と受精卵、
それから前葉体と胞子体という2種類の生物体があるというのがシダ植物の増え方の特徴です。
2種類の生物体が交互に入れ替わりそして繁殖していく、
だから世代交代をするという表現になります。
人間はずっと有性生殖なので世代交代はしませんね。
では次の記事では被子植物の生殖方法について解説していきます。