今回の記事では分裂組織とは?植物にあって動物にない理由もわかりやすく解説した後、
植物の分裂組織が分裂して植物が成長するとはどういう意味なのかについても説明します。
ちなみに私は獣医師として日々、ペットの診療をしています。
分裂組織とは?
植物では限られた場所に盛んに細胞分裂を行っている組織があって
これらの組織を分裂組織といいます。
ちなみに細胞分裂についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒体細胞分裂植物と動物2つの違い
⇒植物細胞における体細胞分裂を図を使ってわかりやすく解説
⇒生殖細胞と体細胞の違いを植物を中心にわかりやすく解説
ちなみに動物細胞には分裂組織という場所はありません。
どうしてでしょう?
動物細胞の場合、そこら中が分裂しているからです。
逆にいうと、動物細胞の場合、神経とか筋肉以外はかなり分裂しています。
これに対して植物の場合は、本当に限られた部分しか分裂しません。
で、この限られたところを分裂組織というわけです。
分裂組織は根や茎の先端部分にある頂端分裂組織が該当します。
頂端の頂は茎の頂上、つまり茎頂のことです。
頂端の端は根の先端、つまり根端のことです。
だから茎の先端のちょっと一部と根の先端の一部が分裂しているということですね。
中は分裂していません。
茎の真ん中は分裂しません。
茎の先端と根っこの先端が分裂しています。
分裂した細胞はどうなっているの?
では分裂した細胞はどうなっているのでしょう?
最初、植物は短いですが、徐々に背が高くなっていきますね。
こちらの図をご覧ください。
まず一番左側からスタートです。
白い部分がすでに分裂した細胞です。
盛んに分裂するという細胞が水色です。
茎頂と根端の2か所あります。
植物は最初小さいですが、徐々に大きくなっていきますが、
それは茎頂と根端が分裂するからです。
で、分裂したのがピンク色の部分です(図の真ん中)。
それから茎頂ならピンク色の下側の部分(黄色で示しているところ)
根端ならピンク色の上側の部分(黄色で示している)は分化します。
分化というのは仕事でいったら分業という意味で、ここでは水色の部分が白色の
分裂しない細胞に変わったということです。
で、このピンク色の分裂したものが上記図の左側で示すところの水色になり
また分裂するということを繰り返すわけです。
だから分裂して新たにできた細胞を、茎の先端は下に積んで
その上に分裂組織ができ、を繰り返していきます。
根っこの場合は新たに分裂したら、古い方の細胞が上にできてを繰り返します。
ですので、植物全体で見たら真ん中の方に分裂でできた細胞を置いて
新しい細胞が端にいます。
だから植物は一番先端を切ると成長(伸びること)が止まってしまいます。
その代わり植物はうまくできていて先端を切られて伸びが止まっても
その下にいた細胞が分裂細胞に変わって横から成長したりします。
これは頂芽優勢の話になるので、今後解説する予定です。
だから植物の分裂組織が分裂して植物が成長するというのはどういうことか?
というと、分裂でできた細胞をレンガのように積み上げて、
その上に乗る(茎頂)、または、分裂した細胞を上に乗っけて
その下に新たに分裂細胞が分裂する(根端)ということです。
以上で解説を終わります。