X

植物の器官と組織についてわかりやすく解説




以前の記事で植物の組織系について解説しています。
組織系とは?なぜ植物にあって動物にないの?

ただ、もう少し植物の組織や器官について詳しく解説したいと思い、
記事を書いています。

スポンサードリンク




組織とは?

私は獣医師として日々ペットの診療をしているので、
犬や猫の組織検査はよくやっているのですが、
植物と動物の組織の比較はすごく勉強になります。

そこで私が得た知識をここで書いていきたいのですが、
まず組織とは何かわからないと、ただ組織の名前を暗記しただけになってしまいます。
そこで組織の定義を書いてみたいと思います。

組織の定義

組織とは同じ形、同じ機能を持つ細胞の集団のこと

となります。

ちなみに

人間や植物個体でみたときに

個体⇒器官系⇒器官⇒組織⇒細胞

となっています。

動物(人間含む)で想像するとわかりやすいのですが、
たとえばシマウマなどの個体がありますね。

それから個体を細かく見ると、器官系があります。

器官系というのは

・消化器官系
・脳神経系
・循環器系

のことです。

それから器官は胃や腸のことです。
器官を細かく見ると、胃という器官にも組織があり、
この組織をさらに細かく見ると細胞でできています。

では植物の器官や組織はどうなっているのでしょう?

スポンサードリンク




植物の器官

植物には器官系というのは以前解説した記事の通り、まともにありません。
組織系とは?なぜ植物にあって動物にないの?

でも植物にだって器官はあります。

植物の器官は

・根
・茎
・葉

に分かれます。

植物の根は吸水をしたり体を支えるという役割があります。
茎は立ち上がったり、体を支えたり、水分や栄養分を運ぶ働きがあります。
水分や栄養分を運ぶのは導管や師管が関係しています。

それから、葉の役割は栄養分になる光合成の場で葉緑体を多く持っています。
他にも葉は生殖にも関係しています

「葉が生殖?」と思った方もいるでしょう。
葉といっても花のことです。
花というのは葉が変形したものです。

スポンサードリンク




植物の組織

植物の組織は

・分裂組織(体細胞分裂のこと)
・永久組織

に分かれます。

それから

分裂組織は

・一次分裂組織
・二次分裂組織

に分かれます。

一次分裂組織は根端分裂組織や茎頂分裂組織になります。
分裂組織とは?植物にあって動物にない理由もわかりやすく解説

二次分裂組織は形成層のことです。

上記図は植物だとします。
一次分裂組織は茎の先端(茎頂)と根っこ(根端)にあります。
この一次分裂組織が茎の先端と根っこにあることで、
植物が上下に伸びることができます。

それから二次分裂組織は茎を輪切りにして断面図にした図の右側をご覧ください。
維管束があります。
そしてこの部分がどんどん太るわけです。
太っていくものが木(樹木)です。

逆に太らないものは草といいます。
たとえば、竹は草です。太りませんから。
ただ大きくなるだけです。

すべての植物に存在する分裂組織が根端、茎頂にある分裂組織があり、
こられが一次分裂組織といいます。

場合にはよっては横に太るということで
形成層をもった二次分裂組織があるということです。

ここまでが分裂組織の解説でした。

次に残りの永久組織ですが、

永久組織には

・表皮系
・維管束系
・基本組織系

があります。

たとえば、表皮系は『原則として』葉緑体を持たないという特徴があります。
例外は孔辺細胞です。

孔辺細胞はこちらの記事で解説しています。
植物の気孔の働きをわかりやすく解説

表皮系の例として

・表皮
・根毛
・孔辺細胞

があります。

それから維管束系ですが。

上記図の断面図だけにした図をご覧ください。

上記図が維管束系になります。
そして図のように師部(しぶ)と木部(もくぶ)に分かれます。
師部は生きた細胞で、木部は死細胞です。

それから師部には師管があり、木部は導管があります。
導管の原型は仮道管といって、原始的なシダと裸子植物の木部は仮道管でできています。
進化した被子植物は導管になっています。

導管は根っこから水分を輸送するという役割があります。
師管は葉っぱでできた糖やホルモンを能動輸送で運びます。

最後に基本組織系ですが。
基本組織系は大きく2つに分かれます。

基本組織系は

・皮層(ひそう)と髄(ずい)・・・茎の部分
・葉肉(ようにく)・・・葉っぱの部分

の2つに分かれます。

上記図は茎の断面図です。
一番外側が表皮です。

そして中央部分に形成層(維管束部分)があります。
皮層は形成層よりも外側にあり、隋は形成層よりも内側にあります。
これが植物体を支える構造たいです。

それから葉肉ですが、
葉っぱを切ったのがコチラの図になります。

すると、表皮が両サイドにあります。
その間に縦に牧場の柵みたいなものが見えます。
だから柵状組織といいます。

その下に隙間が空いて緑色の細胞があります。
これを海綿状組織といいます。

海綿状組織と柵状組織の2つが葉肉です。

場合によっては孔辺細胞があって気孔を作っていることもあります。
簡単ですが、植物の組織や器官について解説しました。

以上で解説を終わります。



junvetjp: