今回の記事では植生の遷移とは何か、わかりやすく解説していきます。
植生(群落)の遷移とは?
まず群落とはいろんな種類の集まりのことです。
群落も長期で見ると周りの環境とお互い影響を受けあいながら
一定の方向に変化していきます。
このことを遷移といいます。
隣の田中さんが引っ越したとしましょう。
そして、引っ越した後の旧田中邸跡は解体して
そこを更地にしました。
その更地を見ていると、この瞬間はただの土でしたが、
春になると芽生えが出てきて、夏になると雑草がボーボー生い茂り、
冬になると、枯れて雪が積もる。
また春になるとまた芽が出る・・・
ただ、この程度の1年スパンだと遷移というには短すぎます。
間違った例をご紹介しただけです。
遷移というのはもう少し長い期間を指します。
目的やゴールがないとダメです。
今みたいに芽が出て、生い茂って枯れて、
芽が出て生い茂って枯れてみたいなレベルじゃなく、
どっかに向かって「ここがゴールだったんだ」みたいなことを遷移といいます。
だからあまり時間の短い植物の変化は単なる季節変化といいます。
よろしいでしょうか。
で、この移り変わりの最終段階で見られるような
ゴールにあたるような、それ以上変化しない安定した状態を極相(クライマックス)といいます。
ところで遷移にはいろいろあります。
・一次遷移
・二次遷移
があるので、以下解説します。
一次遷移と二次遷移
土がない、石とか砂から始まる遷移を一次遷移といいます。
これに対して二次遷移というのは火事や伐採などによって
すでにできていた群落が壊されて、裸地化したところからスタートする遷移のことです。
つまり二次遷移の場合は土があります。
一次遷移は土がない場合の遷移でしたね。
二次遷移の場合には、土があるから、
そこには種や根っこや地下茎があるわけですから
スタートが早いわけです。
だからゴールも早いです。
だから一次遷移の場合、
何もない溶岩などからゴールという極相に達するのに
早くても300年くらいかかります。
長ければ500年くらいかかります。
これに対して二次遷移の場合は数十年でゴールに達します。
なぜなら、木の種や根っこが残っていたりしますからね。
そこから成長すればゴールに達しますよね。
一次遷移の変化
では一次遷移はどういうような過程で変化していくのでしょう?
まず一次遷移ですから、火山があったような場所で土がありません。
そんな場所って雨が降ったらサーっと流れて行ってしまうので、
そんなところでは普通の植物は育ちません。
そういう場所で育つ生物は地衣類(ちいるい)です。
地衣類というのは乾燥に強いカビの仲間です。
他にも光合成ができるけど、水がないと育たない藻類(そうるい)が育ちます。
藻類と地衣類がタッグを組みます。
地衣類は水を確保し、藻類は光合成して糖を作ります。
すると、水が流れてしまうような溶岩台地でも育ちます。
そして年月の経過とともに溶岩などが砂になっていきます。
そして地衣類が死んで土ができ、土壌ができます。
すると、そこに少し水がたまるようになるので草が生えるようになってきます。
そして次に背の低い木ができます。
次に陽樹(ようじゅ)という日向が好きな木が生えます。
最後に陰樹(いんじゅ)という日向でも日陰でも育つような木が生えます。
こういう流れで遷移は進みます。
当然のことながら陰樹が極相(ゴール)です。