まず大まかに種子が発芽するメカニズムを言っておきますね。
・酸素
・水分
・温度
・アブシジン酸(植物ホルモンの一種)が減ること
・ジベレリンが増えること
などの種子内の条件がそろったら
水分を吸収して発芽し始めます。
植物ホルモンについてはこちらの記事で解説しています。
⇒植物ホルモンとは?わかりやすく解説
種子が発芽するメカニズム総論
まず大雑把に種子が発芽するメカニズムを説明し、
そのあとで、細かい説明をしていきますね。
普通、最初に幼根が種皮を突き破って
次に幼芽が成長していって芽生えとなっていきます。
だからアブシジン酸という植物ホルモンの濃度が高い時期は休眠しています。
アブシジン酸の濃度が低くなり、ジベレリンという植物ホルモンの濃度が上がると
発芽の条件が揃います。
種子が発芽するメカニズム|吸水
種子は乾燥した状態では発芽しません。
種子が水分を吸水することは発芽の条件になります。
乾燥した植物の種子を水の中につけると、まずスポンジに水が入ってくるような
物理的な吸水の時期があります。
で、物理的な吸水が終わると、しばらく種子は吸水しなくなります。
この間に種子の中の酵素が目覚めてきます。
この時期を吸水一時停止期といいます。
今まで乾燥していたから酵素が働かなかったのが
酵素が水の中で動き出して働けるような状態になります。
この時期を定常的吸水期といいます。
つまり、
・物理的吸水期
・吸水一時停止期
・定常的吸水期(酵素による吸水)
の3つの期間があります。
次に発芽のときにはどんなことが起こるのでしょう?
種子が発芽するメカニズム|ジベレリン
以下の図はオオムギの種子と思ってください。
オオムギの種子の胚が赤ちゃんです。
発芽したらこの胚が伸びていきます。
オオムギはオシロイバナと同じで有胚乳種子ですから、
種子の中に胚乳という形で栄養を貯めています。
で、デンプンはいきなり赤ちゃんである胚には入ってきません。
デンプンは糖に分解されないと入ってきません。
ではデンプンを糖に分解する酵素は?というと、
αーアミラーゼとなります。
αーアミラーゼはどこが作るのでしょう?
デンプンが多い胚乳の周りである糊粉層(こふんそうと読む、黄色い斜線部分)でα-アミラーゼは作られます。
ただ、α―アミラーゼは常に糊粉層で作られているか?
というと、そんなこともありません。
発芽の時にα―アミラーゼは作られます。
さっき言いましたが、発芽するときに、ジベレリンの濃度が上がります。
ジベレリンは胚で作られるためです。
胚からジベレリンがどんどん出てきて糊粉層に働きます。
すると糊粉層でα―アミラーゼが作られます。
そしてα―アミラーゼが胚乳に作用すると
胚乳のデンプンを糖に分解されます。
そして分解された糖が胚にやってくるのです。
胚はα―アミラーゼを糊粉層に作らせ、
糊粉層でできた、α―アミラーゼが胚乳のデンプンを壊して
糖を胚に戻すのです。
どうして胚乳でα―アミラーゼを作らないのか?というと、
胚乳はデンプンを貯めるだけで、ほとんど死滅しています。
酵素なんて作れません。倉庫みたいな感じです。
この倉庫みたいになっている胚乳にα―アミラーゼを作らせることはできないので、
胚乳という倉庫の周りの細胞が生きている糊粉層に対して
ジベレリンにα―アミラーゼを作れ!という命令を
持っていかせます。
すると糊粉層はα―アミラーゼを作るわけです。
α―アミラーゼがデンプンを壊して糖ができ、
胚に戻ります。
うまくできていますね。
そして発芽していくわけですね。
以上で解説を終わります。