前回の記事では長日植物と短日植物にはどんな植物が該当するのか?
覚え方を解説しまし、そのあと、長日植物と短日植物のメカニズムについて解説しました。
⇒長日植物・短日植物の覚え方
前回の記事では短日植物は長夜植物、長日植物は短夜植物という名称の方がふさわしいのではないか
という説明もしましたね。
今回の記事では長日植物、短日植物に存在する限界暗期とはどういうものなのか、
わかりやすく解説していきたいと思います。
長日植物・短日植物に存在する限界暗期とは
まずこちらのグラフをご覧ください。
ここまで解説した内容をグラフにしたものです。
横軸は上段が1日の昼の長さで下段が夜の長さです。
1日は24時間しかありませんから、昼の長さが0時間なら夜は24時間です。
そのときにたとえば短日植物のグラフ(黄色い線)を見てください。
4時間明るくて、20時間くらい状況だと花芽形成までの日数は10日です。
11時間明るくて13時間くらいと花芽形成までに約13日かかります。
そのあと12時間明るくて12時間くらいと花芽形成までに約20日くらいかかります。
これ以上、明るくなると、つまり11時間よりも暗い時間が短くなると
短日植物は花芽形成までに無限に時間がかかってしまいます。
つまり、11時間よりも暗い時間が短くなると短日植物は花芽形成しないことを意味します。
短日植物は11時間よりも長い暗期により花を咲かせるってことですね。
そして、花芽形成するかどうかの限界の時間を限界暗期といいます。
だから短日植物は限界暗期が短いほうにまたぐと花芽形成しないということです。
これに対して長日植物は限界暗期を長いほうにまたぐと(横軸に左の方向)、
花芽形成しなくなります。
長日植物は言い換えれば短夜植物ですからね。
だいたい昼が10時間切るくらいで夜が14時間超えるあたりで
だいたい花芽形成までの日数が30日くらい。
さらに昼が9時間くらいで夜が15時間くらいになると花芽形成しなくなります。
つまり、長日植物の限界暗期ということです。
寒い地方は長日植物が中心である理由
長日植物ってどこに咲いている植物かわかりますか?
「うちに庭に咲いてますよ」という方もいると思いますが、
ここでは原産地の話です。
前回の記事で
・コムギ
・アブラナ
・ほうれん草
・カーネーション
・ダイコン
・アヤメ
などがあると説明しました。
上記長日植物の具体例の覚え方はこちらで説明しています。
⇒長日植物・短日植物の覚え方
上記のような長日植物の原産地ってどこでしょう?
言い方を変えると、今、アラスカなどの寒い地方で咲いている植物は
・長日植物
・短日植物
・中性植物
・どれでもあり得る
のどれでしょう?
アラスカってめちゃくちゃ寒いです。
アラスカは夏だと気温が7℃くらいから18℃くらい、
冬だと―4℃から2℃くらいです。
正直寒さに弱い私はアラスカには住みたくありませんね。
では、アラスカではどんな植物が咲いているのでしょう?
おそらく多くの方は「短日植物でしょう」
と答えるはずです。
アラスカは寒いから夜が長そうですものね。
実はアラスカやロッキー山脈なんかで咲いているのは長日植物です。
アラスカのデナリ国立公園は9月1日になったら閉園するそうです。
雪が降るからです。
つまり、寒いところって8月くらいから霜が降ったりし始めます。
霜が降るような時に昆虫が飛ぶわけはありませんね。
アラスカとかロシアみたいな寒いところで夏から秋にかけて花を咲かせるわけがありません。
昆虫がいないと受粉して種ができませんからね。
だから寒い地方の植物は例外なく
日本でいったら納沙布岬、知床とか根室みたいな寒い地方の花は
6月の終わりから7月の中旬にかけて咲きます。
でも7月の終わりから花はほとんど咲いていません。
北海道の東側は寒いですからね。
長日植物が多いです。
だから植物は勝手に長日植物、短日植物、中性植物が増えていくわけではありません。
寒いところの植物は長日植物でないと生きていけないのです。
早めの時期に花を咲かせないと生きていけません。
短日植物は秋あたりに咲く花ですからね。
⇒長日植物・短日植物の覚え方
寒い地方の秋は雪が降っていて昆虫がいません。
だから、寒い地方は日の長い春から夏にかけて咲く長日植物が咲くわけです。
寒い地方は冬が早く来るから長日植物となるわけですね。
では、暖かいところはみんな短日植物でしょうか?
そんなことはありません。
暖かいところの植物は冬がなかなか来ないから
春咲いてもいいし、夏咲いてもいいし、秋咲いてもいいわけです。
選択の幅があるわけです。
中性植物は栽培植物に多いです。
日照に関係なく花が咲くように、実がなるように
人間の手で作られていますからね。