前回の記事では炭酸同化と光合成の違いであったり
窒素同化と窒素固定の違いについて解説しました。
今回の記事ではさらに理解を深めるために炭酸同化と窒素固定の違いについて解説します。
窒素同化と炭酸同化の違いとは?
植物の体の中ではいろんな事が起きています。
植物の体にとって必要なものを作ったり
植物の体に必要なエネルギーを取り出すために物質を壊したり
それに伴ってエネルギーの出入りがあったりといったことが常に起きています。
以上のようなことをまとめて『代謝』といいます。
・異化(好気呼吸、嫌気呼吸)
・同化(炭酸同化、窒素同化)
の2つがありますね。
これは前回までの記事でくどいくらいに解説しました。
そして同化とは植物の体にとって必要なものを作ることで、
・炭酸同化
・窒素同化
の2つがあります。
私は獣医師なので、動物の方がさらに詳しいですが、
ペットが植物を食べて中毒を起こす事例を研究していることもあって
この植物専門サイトを立ち上げています。
⇒当ブログ管理人のプロフィール
このサイトは植物専門なので、炭酸同化と窒素同化の違いといっても
植物に限定して説明させていただきますね。
炭酸同化は二酸化炭素と水(混ざると炭酸)から炭水化物を作る同化の一種で
炭酸同化には光合成と化学合成の2つがあるのでしたね。
そして窒素同化は空気中の窒素ガスを窒素固定してできた
アンモニウムイオンや土の中に水に溶けたアンモニウムイオンを使って行います。
窒素同化と窒素固定の違いはこちらで解説しています。
・窒素同化と窒素固定の違い
ここまでのことから
・炭酸同化で利用されるのは二酸化炭素と水(混ざると炭酸)でできるものは炭水化物
・窒素同化で利用されるのはアンモニウムイオン
という違いがあります。
炭酸同化って何かというと炭酸同化というのは
$H_2O $(水)と$CO_2 $(二酸化炭素)から$C_6H_{12}O_6 $(グルコース)を
はじめとした炭水化物を作る反応です。
ここで$H_2O $(水)、$CO_2 $(二酸化炭素)、$C_6H_{12}O_6 $(グルコース)の部分を
目を凝らして眺めてみてください。
何かに気づきませんか?
「???」ってなりましたか?
よーく見てくださいね。
よーく見たら炭酸同化には$N_2 $(窒素)がありませんね。
生物(植物)の体の中には窒素を含むタンパク質、アミノ酸があります。
他にもDNAやRNAの成分に窒素が含まれています。
なのに、植物はどんなに頑張って光合成や化学合成という炭酸同化をやっても
炭水化物しかできません。
ちなみに脂肪は炭素C、水素H、酸素Oでできているから、脂肪も植物は
作ることができます。
でも、植物はタンパク質や核酸(DNAやRNAのこと)を炭酸同化では作れないのです。
では植物の体の中にある
窒素を含むタンパク質や核酸(DNAやRNA)はどうやってできているのでしょう?
答えは窒素同化です。
窒素同化という過程で窒素を含む化合物が作られています。
・炭酸同化は炭水化物を作るけど、核酸やタンパク質を作れない
・窒素同化は炭水化物は作れないけど、タンパク質や核酸を作るのに関係している
ということです。
もしかしたらこの記事を読むまで、
「どうして窒素同化なんて植物はやっているの?
光合成を含む炭酸同化があるから必要ないのでは?」
って思ってた方もいるかもしれませんね。
光合成を含む炭酸同化をやっても
植物の体の中で作れない物質(タンパク質や核酸)があるわけです。
炭酸同化では作れない物質(核酸やタンパク質)を作る為に
窒素同化があるということです。
ここまで読んでいただければ炭酸同化と窒素同化の違いや
役割の違いがよくわかったと思います。
以上で解説を終わります。