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減数分裂の細胞周期について図を使ってわかりやすく解説




前回の記事では減数分裂ってどういう分裂なのか?
わかりやすく解説しました。
減数分裂の特徴を体細胞分裂と比較して分かりやすく解説

私は普段は獣医師として日々ペットの診療をいsていて
遺伝病などの診断も行うことがあります。

今回の記事では減数分裂の細胞周期について説明してみたいと思います。

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体細胞分裂と減数分裂の違い

減数分裂の細胞周期は体細胞分裂の細胞周期とかなり違います。

体細胞分裂というのは1個の細胞が最終的には2個になるのですが、
減数分裂だと2回繰り返されるので1個から4個の細胞になります

減数分裂の場合には第1、第2と2つの分裂が続けて起こるということです。

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減数分裂の細胞周期

2n=4というモデルで解説します。
2n=4というのは
2n(2ゲノム、設計図が2組あるという意味)でA,a,B,bという4つという意味です。

まずG1期(DNA合成準備期)から。
中心体など細かい情報は抜きにして染色体のDNA量にフォーカスして
図を書いていきます。

上記図はG1期の細胞を書いています。
A、aはたとえばまぶた遺伝子など
B,bは耳などの遺伝子を意味しています。
別の他にも手の遺伝子であっても足の遺伝子であってもかまいません。

ただもしA,aがまぶたの遺伝子だとしたら
Aは二重の遺伝子でaは一重の遺伝子みたいな感じです。

そしてA,aとB,bで2組あるということです。
これを『2ゲノムある』と表現します。

次にS期(DNA合成期)になります。

S期はDNA合成期なので、DNAが増えます。
別の言い方をするとDNAがコピーされる時期です。
だから2ゲノムから4ゲノムに増殖します。

増殖した結果がG2期となります。
G2期になると核の中の染色体の状態が変わります。
上記図のようなパターンで1本が倍になります。
実際にはまだ非常に細い状態なので見えませんが、
わかりやすくするために上記図では大きく書いています。

上記図のようにAA、aa、BB,bb
の4組があります。
AAで太い1本とカウントします。
このAAはお箸だと2本で1膳(ぜん)なので
AA,BB,aa,bbをそれぞれ1膳ずつだとカウントすると4膳存在することになるわけですね。

だからG2期において数に関していうと、
太い4本(4膳)あるので、2n=4本といいます。
なので、数はまだ4のままです。
でも、DNA量は縦に見た時のAとBを1組(1ゲノム)とすると
縦に4つAB、AB、ab,abの4組あるから4ゲノムに増えていることが分かります。

G1期(DNA合成準備期)はDNA量が2ゲノムだったのが
G2期になるとDNA量が4ゲノムと2倍に増えている
ということです。

4ゲノムはAB1組が4組あるという意味になります。
だから通常よりDNA量が多くなっているわけです。
最終的には1組にしていきます。

なので2回続けて分裂せざるを得ないということがわかります。

そこで次にM期(分裂期)に入ります。

M期は第1分裂で、1個の細胞を2個に分けるということをします。
すると第1分裂の前期を上記図でお見せします。
第1分裂の前期では紡錘糸が伸びてきて染色体が出現します。

仮に体細胞分裂だったら紡錘糸と染色体とくっつきますが
減数分裂ではその前に相同染色体同士の対合ということが起こります。

対合というのは同じ遺伝子を持った染色体同士が合体することです。
見かけ上、2本が1本になります。
対合した結果が2価染色体という状態になります。

相同染色体は勘違いして覚えている方が多いです。
間違った理解にならないためにこちらの記事もご覧ください。
植物細胞における体細胞分裂を図を使ってわかりやすく解説

上記図のように長いものどうし、短いものどうしが合体し、
見かけ上は大きく2つのグループに分かれます。
ただ数は減っていません。
数はさっきと同じ4本(染色体数が4本のまま)ですが、
2つのグループに分かれたという理解でOKです。

そして紡錘糸が伸びて、染色体と合体します。

それから、

相同染色体が対合するときに

・染色体の乗り換え
・遺伝子の組み換え

という2つのことが起こります。

ただ、染色体の乗り換えや遺伝子の組み換えを説明すると
話がややこしくなり、減数分裂の細胞周期の理解が
かえって難しくなります。

なので、この記事では染色体の乗り換えや遺伝子の組み換えの図は
あえて入れませんでした。

話を元に戻します。
中期に入ります。

中期になると赤道面に染色体が並びます。
そして紡錘糸と図のように結合します。

染色体が2本で1組になっているので紡錘糸の結合の仕方も変わってます。
とはいえ、こんな感じで紡錘糸と染色体の位置が定まります。
後期になると染色体が分かれていきます。
ここは減数分裂だけに起こります

体細胞分裂では起こりません。

続いて後期にうつります。

第1分裂の後期は相同染色体の分離が起こります。

体細胞分裂と減数分裂の違い

・体細胞分裂は染色分体の分離が起こる
・減数分裂は相同染色体の分離が起こる

ちなみに、
こちらが相同染色体です。

この相同染色体が減数分裂では分かれるのです。
減数分裂では染色分体は分かれません。

相同染色体と染色分体の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
植物細胞における体細胞分裂を図を使ってわかりやすく解説

ちなみにこちらが染色分体です。

後期では相同染色体が矢印の方向に分かれていきます。
くどいようですが、染色分体はペアで行動しているので分かれません
染色分体は一緒に移動します。

次に終期になります。

実は終期は続けて第2分裂の前期になります。
だから、ちょっと間期があるようなないような感じで
動物だとほとんど間期はありません。
植物だとちょっと間期があり、ちょっと一休みして第2分裂に入ります。

いずれにしてもこの時期ではDNAの合成(S期)はありません
なぜS期はないのでしょう?
DNAの量を減らしたいのにDNA量が増えたら意味がないからです。

終期では上記図のようにくびれます。
一時的に核膜や核小体ができかかりますが、すぐに消えてしまいます。
そして第2分裂前期になると、
極の位置がずれ別の極から紡錘糸が伸びていきます。
また第2分裂前期では、くびれが完全に切れてしまいます。

上記の動きは終期と第2分裂前期と分けていますが
ほぼ同時に起こるので、表現が難しいくらいです。

周期と第2分裂前期をまとめると

・くびれて1つになろうとしているのが終期
・ちょっと間期に一休みし核膜などができかかろうとする
・でも核膜は消えて、そのまま第2分裂前期になる
・くびれが切れて紡錘糸が伸びてくる

次に第2分裂の中期にうつります。

第2分裂の中期になると赤道面がちょうど垂直になります。
紡錘糸とすでに結合(第2分裂前期の後半)しています。

続けて第2分裂の後期に入ります。
第2分裂の後期は体細胞分裂と同じパターンです。
今度は染色分体の分離が起こります。
割り箸を割るようなイメージです。
これは体細胞分裂と同じパターンです。

染色分体は紡錘糸に引っ張られる感じになるので
『コ』の字のような形になってしまいます。

次に終期にうつります。

第2分裂の終期ではA、B1組ずつに分かれます。
Aが入るかaが入るかは確率の問題です。
とにかく、A(あるいはa)とB(あるいはb)であればOKです。

そして周期が終わり、減数分裂が終了します。
結果、4つの細胞になります。
核膜も存在します。

1つ1つの細胞が1ゲノムなので、
n=2本となります。
もともとは2n=4本だから、ちょうど半分になったということです。
染色体数が4から2、DNA量も半分になり減数分裂が終わりました。

そのあと、女性なら卵になり、男性なら精子になり、
受精すると上記図のように元に戻り、2n=4となり
親子ともに同じになります。

これで有性生殖が成立します。
減数分裂によって染色体数、DNA量を半分にした結果、
半分にした細胞同士が有性生殖に使われれば親子で染色体数もDNA量も等しくなります。
このようにして有性生殖を成立させるのが減数分裂の目的になります。

以上で減数分裂の細胞周期についての解説を終わります。



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